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日本の長期金利についての考察

米国地銀の相次ぐ破綻、スイス大手金融グループの経営不安などが重なり、

世界的に金融不安への序章ムードがやや拡がって、先に政策金利を正常化し、過度なインフレ抑制の為利上げを行ってきた欧米の金利に下げ圧力がかかったことを受け、

日本の長期金利は日銀が金融政策の一つとして行っているイールドカーブコントロールによる長期金利(=10年国債利回り)の上限0.5%を大きく下回る0.2%台前半まで下がる場面がありました。

そもそも、3月10日の金融政策決定会合現状維持を受け、長期金利上限の更なる拡大を見込みショートポジション(金利上昇を見込み、国債の空売りや債券先物の売建て)を積み上げていた投機筋が買い戻しを余儀無くされている最中の債券買い材料であったため、ややオーバーシュートと言える水準まで低下したものと筆者は思料しています。

クレディスイスについては、AT1債券の影響はまだ残るものの、UBSの吸収合併が発表され、また、米国においては、イエレン財務長官が中小金融機関の破綻にたいしてはあらゆる措置を講じるとアナウンスしたため、金融不安の序章懸念は払拭され、あらゆるマーケットが戻る結果になりました。

日本の長期金利も0.3%近くまで戻り、オーバーシュートは修正されつつあります。

注目されるのは植田日銀の舵取りに移っていくのですが、やはり、過去の寄稿や発言などから当面は金融緩和を維持しつつ、長期金利のコントロールについては上限の拡大や撤廃を早期に行っていき、任期中には金融政策の正常化に道筋をつけていく方向と考えていいのではないでしょうか。

欧米に続き日本においてもインフレになっているわけですから、長期金利を抑え込む為に大量の国債を日銀が買い続ける理由説明が困難になっています。

外資からの売り仕掛けが鎮静化している現在のようなマーケット状況は、YCC(=イールドカーブコントロール)を修正するにはチャンスであり、植田日銀の初会合での変更もあり得るかもしれません。

文責:WebFP事務所 向井慶太

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