「音楽は言葉を越える」

この言葉はいろんなところで使われます。私自身、中高と音楽に親しんできた者として、そうだと思う瞬間もたくさんありました。

音は、唯一国によって差がないものなのではないでしょうか。ジャンルや方向性は国によって違う部分もありますが、言葉が通じなくても何かしら伝えることはできます。私はこれは、すごく素敵なことだと感じます。いくつか例を挙げてみようと思います。

一つ目は、私が高校生のときの体験です。木管楽器を演奏していた私は、学校近くの老人ホームにアンサンブルの演奏をしに行ったことがありました。老人ホームでの催しの中のひとつだったこともあり、私たちは演奏するまでは特別そこの方々とお話ししたりすることもなかったため、全く面識のない方々の前での演奏でした。当時まだ1年生で、演奏技術も未熟で、音楽に詳しい人が聴いたら即ダメ出しを食らうような演奏でしたが、聞いてくださった皆さんはすごく感動して下さり、中には涙して下さる方もいらっしゃいました。私たちのレベルは到底上手いとは言えませんでしたが、私たちなりに一生懸命演奏しました。これまで全く関わったことのない人々が、音楽を通してひとつになる、そんな感覚を初めて味わったのがこの時でした。

音楽は上手い下手に関係なく、気持ちを伝えることができるのかもしれません。何でだかわからないけど、すごく泣きたくなるとか、心の中に溶け込んでくるような感覚を感じたりとか、無条件にそういうものを感じられるのも、音楽の魅力なのかもしれません。

二つ目は、日本のアーティストの曲を、日本語を知らない人たちがすごく好きになってくれるということです。私の大好きなアーティストの一人、星野源さんの曲は、海外のみなさんにもとても好まれています。日本語がわかる人も中にはいると思いますが、わからない人も、歌詞を含めたひとつの音楽に魅了されて、いいねと言ってくれるのは、言葉がわからなくても楽しめるものだからなのだと思います。世界の人々と好きな音楽を共有できていると思うと、少し嬉しくなります。中身だけじゃなくて、全体の良さを感じることができるのも、音楽ならではの感覚だと思います。

私はいつか世界中の人々と吹奏楽を演奏するのが夢です。言葉じゃなくて、同じ音楽を共有することによって繋がれる、こんな瞬間にまた出会いたいと切に願っています。

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