見出し画像

気楽な一人暮らし

独居老人は気楽で良い。けっして強がりではなく、慣れてしまうと意外と暮らしやすいものだ。暮らしにくくなる最大の原因は、周囲でとやかく言ってくる事だ。人の生活に立ち入って欲しくない。

盆と正月に、我が家に兄弟の家族が集まる。兄弟だけなら自分を含めて5人だから良いのだが、妹がアパートでは大勢が集まれないと、この時に子供達家族も集まってくる。従兄弟会を作るとか言っていたが、コロナで裁ち切れになった。この間に一人暮らしの快適さを知り、今年の盆からは断る事にした。集まるならせいぜい5人以下にしてくれと。


年寄りの一人暮らしの家には、どうも集まりやすいようだ。娘夫婦が姑と離れて家を建てたのは、姑の妹たちが集まって騒ぎ、片付けもしないで散らかしたまま帰ってしまう。生活費は自分達が賄ってるのに、なぜ二階の一室に閉じこもって我慢しなければならないのかという不満が爆発したからだ。

別居して約二年が経ち、姑が自宅を処分して同居をしたいと言ってきたそうだ。元気にパート勤務をして、一人暮らしを楽しんでいたのだが、一人になったら妹たちが以前よりも頻繁に来るようになり、対応で疲れてしまうと言う。娘に言わせればその対応を、飲み物や食べ物を用意し、片付けをして、翌朝の4時には起きて朝食を作り弁当を作り、子供を送って出社してきた。別居して家が広くなり、より来やすくなったでは、何のために別居をしたのか分からなくなる。


同じ様な事で親戚から相談を受けてた。妻に先立たれ13回忌も終わり、さいきん一回り下の人とつき始めたという。元は大きな農家で、まだ周囲に広い土地を持っていて、兄弟夫婦がそれぞれ勝手に畑を作っている。それぞれの家族の子供達は独立して所帯を持ち、経済的にも問題はない。

相談は兄の家に、なんで今さら女が入るのかという。要は自由に畑を作り、疲れれば兄貴の家で休み、全員が勤めがないのでいつでも集まって酒盛りが出来る。ここに他人が入ってくると、集まりにくくなるという事らしい。

集まりやすい家というものがあり、集まる事に慣れてしまうと、それが当然な事になってしまう。最も年上となると、皆の面倒をみて当然と思われてしまう。連れ合いが居れば遠慮もするだろうが、一人暮らしでは強く言うものも居ない。一人暮らしに慣れてくると、何でも自分一人の判断で自由に暮らせる。兄弟といえども他人で、これが勝手に集まってこられては迷惑な事だ。

娘がしきりに、同居や近くに越してくるように言ってる。老後が心配だからと言うが、本音は義母姉妹が集まってくるようになったら、一人での避難場所確保が目的なのだろう。

夫婦二人の生活や、子供との同居は不満がたまるらしい。何処かそれの捌け口として、遅くまで話していられる、しかも兄弟姉妹という近いものだけの集まりがしたいのだろう。目を付けられるのだ、独居老人宅となる。

独居老人は一人暮らしは快適だが、勝手に生活圏内や時間に入ってこられると、これ程迷惑な事はない。付かず離れずの関係が良いのだが、近すぎる親類縁者では、その関係は難しいのだろう。

輪番制にすればと言えば、自分の家は狭いので困るそうだ。一人暮らしは気楽で良いが、年寄りは実に自分勝手になり、邪魔なものだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?