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穴原温泉 東秀館

「群馬県でさあ~、お薦めの温泉はどこ。好きな旅館は」

こういう質問を真面目に聞かれると困ってしまう。一応つい最近まで日本温泉地域学会の会員として、研究発表会や源泉井の見学、温泉旅館に先生方と泊まったりしていた。それぞれに歴史があり、効能の違いや、宿を守り続けてきた人達の心意気など、知れば知るほど甲乙付けがたいものがある。

しかも私、温泉ソムリエでもあり温泉分析書マスターの★温泉ソムリエマスターでもある・・・、ほとんど名前だけ。その他、第1回温泉名人認定試験の合格者でもあります。なんて言っても、多くの温泉ソムリエの人達に比べたら、かなり経験値は低いですけど。

自己紹介の記事でも書いたけど、幾つもの温泉地を攻略したり、1年間に何湯に入ったかという事には、全く興味が無いんです。小さな温泉地や歴史のある温泉地に、昭和初期に発刊された『温泉案内』(鐵道省発刊)に載ってる宿に数泊して、空気感を感じるのが好きなんです。

で・・・、真面目に聞かれた冒頭の質問には、「穴原温泉東秀館」と答えてる。対象は家族連れか、中高年の夫婦という設定。HPでは一人旅の受け入れはない、がリピーターのお客様は電話交渉で、部屋が開いてればOKだそうだ。なお、ほとんどの人が「穴原温泉」という名前を知らない。「老神温泉」というと分かるのだが。本来は穴原温泉は老神温泉とは違う、一軒だけが独立した自家源泉で、少し泉質も違ってる。

個人的には小さな温泉地で、ちょっとボロくて寂れた宿が好きなんですけどね。その前に新鮮な源泉で放流掛け流し、自然湧出か深くない源泉井、全くの個人的趣味として中性に近くて成分の少ないまろやかな湯が好き。いわゆる、濁り湯や強酸性・強アルカリ性などの個性の強すぎるものよりは、自分の性格と同じ、穏やかで優しくて円やかで、シッカリと効能が現れるのが良い。

そして若いときの想い出もあり、老神温泉が好き。
以前書いた記事です。

具体的に東秀館をお薦めの訳は、優しさ溢れる女将や訓練された従業員の皆さんが良い。リピーターの多い、余り紹介したくない(良い客層が多い)、これからも守り続けて欲しい、本格的日本旅館の佇まいがある。

手入れの行き届いた、崖を利用した日本庭園
熱心なリピーターさんから贈られた来湯記念の分析書

温泉宿と言うからには、本物の温泉、自家源泉の放流掛け流しであること。

温泉成分分析書:加水・加温・循環濾過・入浴剤なし
肌触りはトロリと柔らかく微かな硫黄臭、温度も高くない
東秀館の露天風呂跡、左には内湯跡:源泉の上にあった

食事も美味い。この日は一番安い宿泊の料金設定、でも個別食事会場で、孫達と自由にノンビリ食事を楽しめた。

夕食:ビールは別注文

部屋は広めに出来ていて、外は崖を利用した庭園で眺めも良い。

部屋の一角:左に8畳間、この空間が良かった。

療養として宿泊するには2泊くらいは欲しい。料金は高い設定ではない。東秀館のHPで確認を。

2泊を勧めるのは、先ずは湯の柔らかい源泉を楽しみ、広くはない老神温泉の散歩も楽しんでもらいたい。

老神温泉旅館群と下の川原には坪湯跡
温泉街
赤城神社

更に少し足を伸ばせば、吹割の滝もあり自然美の偉大さも楽しめる。

吹割の滝
吹割の滝遊歩道

沼田市の高台、城下町の散策も良い。そしてまた東秀館の源泉を楽しむ。転地療法としても優れている温泉地だと思う。

こんな風に勧めてる。


なお、個人的な好みの温泉地と温泉のランクは
先ずは、万座温泉。特にホテル聚楽「仏性の湯」。硫化水素ガス系で、硫化水素ガスの溶存率は日本で一番らしい。このガスは危険なので、常に浴室の空気排出を行っている。心臓が悪くて、ここの温泉で暖まり、硫化水素ガスを吸うと血管の通りが良くなるのが分かる。1800mの高原は、転地療法としても良い。

万座高原

次に沢渡温泉。湯小屋風の建屋が有名なまるほん旅館か、少し熱湯の龍鳴館。詳しくは下の記事で。沢渡の湯はもっとも肌に馴染む、気持ちの良い温泉だ。

次の三番手が、四万温泉老神温泉になる。四万温泉は源泉が多くて、微妙な違いもあり、飲泉できるところが多い。個人的には少しヌルいけど、やまぐち館が好きかな。老神温泉には、年に4回か5回くらい来てる。予約が取れないので東秀館ではないが、老神温泉は温泉地としての空気感も好きなので来てしまう。近くの南郷温泉しゃくなげの湯も良い温泉なので寄るようにしてる。

四万温泉:積善館


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