長濱ねるはなぜ特別なのか。非アイドルファン向けの解説

昨日(7月7日)、テレビ番組「セブンルール」にて、元欅坂46の長濱ねるが卒業以来初・1年ぶりの芸能界復帰となりました。
同番組が放送された23時台のTwitterではトレンド1位となり、主要メディアでも多く取り上げられた芸能ニュースとなりました。

ただ、アイドルに関心のない方にとっては、なぜ彼女がこれほどに注目されているのか、分からないだろうと思います。

そこで、アイドルファン(特に坂道シリーズファン)にとって、長濱ねるという存在がなぜ特別なのか。
非アイドルファンの方にも分かるように、簡単に解説していきます。


長濱ねるという存在を、特別にしている要素、
それは「2つのグループの主役であったこと」だと私は考えます。
もっと言えば「他にはない圧倒的な物語性を持っていたこと」です。

もちろん、本人の類まれなる才能・魅力も、彼女の人気の一因です。
しかし、才能・魅力を持った人であれば、姉妹グループの乃木坂46のメンバーも含め、他にも数多く存在します。

なので、なぜ彼女が特別か、という問いに対しては、
「圧倒的な物語性」が理由だと私は主張します。


2つのグループの主役となった物語性とはどういうことか。
この2つのグループとは、欅坂46と日向坂46を指します。

欅坂46は、サイレントマジョリティを歌っているアイドルグループだといえば、多くの方に理解してもらえるかと思います。
すでに卒業しましたが、中心メンバーは平手友梨奈という女性でした。非アイドルファンの方でも、名前は聞いたことがあるという人が多いのではないでしょうか。
デビューは2016年4月でした。

もう1つの日向坂46は、非アイドルファンの方は知らない方もいるかと思います。
乃木坂46、欅坂46に次ぐ第3の坂道グループで、比較的に新しいグループとなります。最近テレビ出演も増え、人気を伸ばしています。
デビューは2019年3月でした。


デビューが3年違う2つのグループの主役であったこと。
これが長濱ねるの物語性です。


長濱ねるの物語は、2015年に行われた欅坂46のオーディションから始まります。
最終オーディション手前まで、長濱ねるは最高クラスの評価を受けていて、合格確実の人材でした。
しかし、彼女のアイドルになる夢は、思わぬ形で破れます。
母親に猛反対され、最終オーディションを受けられなかったのです。

最終オーディションを受けられなかった彼女は、もちろん合格することはなく、欅坂46の初期メンバーに、長濱ねるの名前が刻まれることはありませんでした。

最終オーディションを受けられなかった後悔。
嘆く彼女の様子を見かねた父親が、欅坂46の運営会社に掛け合います。
紆余曲折を経て、長濱ねるは特別に合格を勝ち取り、アイドルとしての一歩を踏み出せることになります。

しかし、配属先は「欅坂46」ではありませんでした。
ひらがな表記の「けやき坂46」(通称:ひらがなけやき)という新グループに配属されることになりました。
これは、正規の最終オーディションで合格した欅坂46の初期メンバーと明確な線を引くためでした。

これは、要するに、日の前を浴びない2軍からのスタートとなったわけです。
そして、その2軍には長濱ねる1人だけでした。
たった1人の2軍からのスタートでした。


2016年4月6日、欅坂46はサイレントマジョリティで、衝撃のデビューを果たします。
しかし、この楽曲に長濱ねるは参加していませんでした。
今では、欅坂46の中心メンバーだったと認識される長濱ねるは、この有名なデビューシングルには参加していないのです。

一方で、けやき46は、追加メンバーを募集することとなります。
2016年5月、追加メンバーは11名が選定され、長濱ねるを含めた12名がけやき坂46として活動を開始することになります。

2016年8月、2枚目のシングルを欅坂46が発表します。
このシングルから、長濱ねるは参加が認められます。
要するに、1軍合流を果たしたわけです。

最終オーディション前に、最高評価を受けるレベルの逸材です。
そこからの彼女の躍進は目覚ましく、欅坂46の中心メンバーとしての地位を確立していきます。
彼女の写真集は、2018年上半期BOOKランキング「写真集ジャンル」で1位を獲得するなど、名実ともに人気メンバーでした。
長濱ねるは、平手友梨奈に次ぐ、グループNo2の座を手に入れたと私は考えています。
※No2は、賛否が分かれるところと思いますが、中心メンバーだったのは間違いありません


欅坂46・けやき坂46という2つのアイドルグループを兼任していた長濱ねる。
多忙を極めた、彼女にその限界が訪れます。
2017年9月、ひらがなけやきの本格的な活動開始から1年と少しが経ったタイミングで、長濱ねるの兼任解除が発表されます。
欅坂46専任となりました。
つまり、1軍専任となって、2軍と呼ばれたけやき坂46には参加しないことになりました。


長濱ねるのいない「けやき坂46」は、
モンキー・D・ルフィのいない麦わらの一味のようなものです。
元々、彼女が1人のために作られたグループだったわけです。
彼女がいなくなったのに、存在する価値はあるのか。
残されたメンバーは悩むことになります。

しかし、残されたメンバーも諦めることはありませんでした。
2軍と呼ばれていようと、地道に、しかし順調に、人気と実力を伸ばして、
武道館でのライブを成功させるまでに成長しました。

そして、2019年3月、けやき坂46は「日向坂46」としてデビューすることになります。
長濱ねるで始まったグループは、長濱ねるという存在を失ってもなお輝き、デビューまで至りました。


その後、長濱ねるは、2019年7月末をもって、欅坂46を卒業します。
それ以降の動向は明言されておらず、このまま芸能界引退とも言われていました。
そのため、昨日の芸能界復帰はアイドルファンに、衝撃を与えたとも言えます。

つまり、長濱ねるというアイドルは、
・欅坂46というグループにおけるNo2の人気を誇った
・日向坂46というグループの発足のきっかけとなった
という2つのグループにおいて、多大なる影響を持った人物でした。

アイドル史を振り返っても、2つのグループにおいて主役級の活躍をしたアイドルというのは、ほとんど前例がないのではないかと思います。
この強烈な物語性において、長濱ねるは、類まれなるアイドルだった、と私は考えます。


芸能界復帰は、1人のファンとして喜ばしい限りです。
これからの活躍を、心から願っております。