息子の熱性けいれんと幻覚
子どもが2歳と4歳のとき、熱性けいれんをおこしたことがあった。
また、3歳のとき、一週間40度の高熱が続いて、蛇などの幻覚を見て、大騒ぎになったことがあった。
今日は、はじめての熱性けいれんと、気管支炎で幻覚騒ぎのことを書こうと思う。
熱性けいれんとは
子どもの脳は熱に敏感で、風邪などの熱でもけいれん発作を起こすことがあります。一般に生後6か月から5歳までに、発熱時(通常は38度以上)に起きるけいれん発作を熱性けいれんと呼びます。日本では5%以上の子どもが熱性けいれんを起こし、欧米よりも頻度が高いと言われます。熱性けいれんは熱の上がり際に多く、突然意識がなくなり、白目を向いて、身体をそらせるように硬くしたり、手足をガクガク震わせ、顔色が悪くなります。ただし、体の力が抜けて、ボーッとして意識がなくなるだけの場合もあります。
子どもがけいれん発作を起こすと保護者の方などもびっくりしますが、大事なことはパニックにならずに落ち着くことです。ほとんどの熱性けいれんは5分以内に自然に止まってきます。まず、倒れたり物にぶつかってけがをしないように、安全な場所に横に寝かせましょう。吐くこともあり、顔や体を横向きにして、息がつまらないようにしましょう。口にものを噛ませるのは、呼吸をできなくする可能性があるのでやってはいけません。可能なら発作が始まった時刻や続いた時間、けいれん発作中の様子(手足のがくがくは左右両方か片方か、目はどちらを向いていたか、など)を覚えておくと、あとで役に立ちます。5分以上けいれん発作が続く場合を「けいれん重積状態(または、てんかん重積状態)」と呼び、救急車などで病院に搬送する必要がある状態です。
熱性けいれんで大事なことは、髄膜炎、急性脳症など熱性けいれん以外の重い病気と区別することです。初めての熱性けいれんでしたら、救急外来など医療機関を受診しましょう。これまでに熱性けいれんを起こしたことがある子が再度の熱性けいれんを起こした場合なら、5分以内にけいれん発作がおさまればご自宅で様子を見ていただくこともあります。その場合も意識が1時間以内にもどってくるかには注意しましょう。
はじめて熱性けいれんを起こしても、再び熱性けいれんを起こす子どもは約30%のみです。熱性けいれんを繰り返しやすい子どもでは予防のために発熱時にけいれん予防の坐薬を使うことがあります。ただし約3分の2の子どもでは再発がありませんので、多くの子どもでは薬は必要ないことを知っておきましょう。 参照:日本小児神経学会ホームページよりhttps://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=27
はじめての熱性けいれん
はじめての熱性けいれんは2歳になりたての冬だった。
息子は高熱が出たので、布団に寝せることにした。
わたしは心配だったので、ずっと隣で息子の様子を見ていた。
すると、息子は白目をむいて、上を向いたまま、びくびくしはじめた。
わたしは驚いて、抱きかかえた。なんだか固くなってる気がする。
どうしよう。こんな風になっている人を見たことがない。
わたしは弱視だ。見えにくい。
どうしたらいいのかわからなかったので、慌てて写真を撮って母に送った。
「白目むいてるよっどうしよう」
「けいれんだよ!すぐ病院行って!」
と言われ、急いでタクシーを手配して、すぐに来てもらった。
タクシーに飛び乗り、運転手さんにかかりつけの最寄りの小児科を伝え、急いで向かってもらうように言った。歩いても10分程度の所なので、タクシーで3分ほどの近さの小児科。
タクシーのなかで、息子は手足をダラーンとさせ、意識をなくしているように見えた。
「ど、どうしよう!意識がない…。運転手さんどうしよう‼!大丈夫ですかね?」
と運転手さんに震えながら言った記憶がある。もちろん、言われた優しそうな高齢の運転手さんは、大丈夫かなんてわかるはずもないので、
「すぐつきますからね」
と少し動揺した声で優しく言ってくれた。
小児科について、
「意識がないんです!かたくなってます!」
と受付に走っていった。
受付の女性スタッフはすぐに先生に伝えてくださり、すぐに診察室に入った。
先生は息子を診てくれて、優しい声で、
「お母さん、落ち着いて。熱性けいれんです。ほら、息子くん落ち着いてきたでしょ」
確かに、診察室に入ったときにはもう息子は白目をむいていなく、固くなっていた身体も柔らかくなっていた。ホッとした。
先生は、熱性けいれんとはどういうものかを説明してくれた。
「また起きるかもしれないから、落ち着いてけいれんが起きたら時間をはかってくださいね。また何かあったら来てくださいね。怖い病気じゃないから大丈夫ですよ」
不安だった気持ちがフッと軽くなり、楽になった。
そして、息子は落ち着き、坂道を歩いて家に帰った。
そういえば、姪っ子も熱性けいれんを起こした話を聞いていたな…と帰り道に思い出した。
まさか自分の子どももそれになるとは思ってもみなかった。
いざ自分の子どもが意識を失う姿を見ると、頭が混乱し、どうしていいかわからなくなるものだ。
日本小児神経学会のHPの文章を改めてまとめると、
・一番大事なことはパニックにならずに落ち着くこと
・ほとんどの熱性けいれんは5分以内に自然に落ち着く
・倒れたり、ものにぶつかるのを防ぐために、安全な場所に寝かせる
・吐くこともあり、顔や体を横向きにして、息がつまらないようにする
・口にものを噛ませるのは、呼吸をできなくする可能性があるのでやってはいけない。
・可能なら発作が始まった時刻や続いた時間、けいれん発作中の様子(手足のがくがくは左右両方か片方か、目はどちらを向いていたか、など)を覚えておく。
・5分以上けいれん発作が続く場合を「けいれん重積状態(または、てんかん重積状態)」と呼び、救急車などで病院に搬送する必要がある状態
気管支炎と幻覚さわぎ
息子が3歳の秋のことである。
一週間ほど40度の高熱が続き、一向に治らないことがあった。
高熱が出て、次の日には近くの小児科に連れて行ったが、風邪だろうと診断された。
それから2日しても40度近い高熱が続き、さすがに不安になり、もう一度小児科に連れていくも風邪。
5日目と6日目、二日続けて息子が夜中に急に飛び起きて、
「ママ!!ママの上にヘビがたくさんいるよ!!ヘビだよぉ~!!」
と大泣き大騒ぎを始めた。
当然、わたしの周りにヘビなどいない。
さすがに弱視のわたしでもそれはわかる。
息子がパニックを起こしているので、わたしは電気をつけてなだめだ。
電気がついていると見えないらしく、落ち着いた。
でも、少し暗くすると、またヘビが見えるらしく泣き叫ぶ。
一晩中電気をつけて寝ることにした。
それが2日も続いたし、40度の熱も下がらないので、7日目の朝、わたしは総合病院に連れて行った。
すると、「気管支炎と高熱による幻覚」と診断された。
注意していないと、幻覚を見て、階段や窓から飛び降りたりする子もいるそう。
くれぐれも熱があるときは、目を離さないようにと言われて、お薬をもらって帰った。
気管支炎に合うお薬をもらったからか、8日目には息子の熱は下がり、次第によくなっていった。
熱性けいれんもこわかったけど、幻覚さわぎもこわかった。
心配でたまらなかった。
ここで学んだことは、
・もしも高熱が続いて、一つの病院に通い続けても治らなかったら、大きな病院に行くこと
・子どもは高熱を出すと幻覚を見ることがある。高熱が出た時は、目を離してはいけない。安心させてあげること。
そして、熱性けいれんのときもそうだけど、
・事前にこういうことがあることを知っておくと、いざというときに心が少し楽かもしれないということ
まだ熱性けいれんを起こしたり幻覚騒ぎなどの経験のない小さいお子様をお持ちの方や、将来赤ちゃんを迎えるかもしれない方は、もしかしたら、自分の子どもにもこういうことが起こるかもしれないということを、頭の片隅に置いておいて覚えておいてくれたら、きっと同じことが起きた時に慌てないですむと思う。
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