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こんにちは。もうすっかり春ですね。というより、もうすでに夏のようですね。街を歩けばたんぽぽの綿毛が飛んでいます。綿毛――耳に綿毛が入って――懐かしいセリフが頭の中によみがえります。

私は幼少期にディズニーアニメーション「くまのプーさん」シリーズを見て過ごしました。同じ話を何度も繰り返し再生し、すっかりセリフまで覚えてしまうほどでした。ベッドで寝言を言うプーさんの真似をして、布団に入って目を閉じながら一人ブツブツとプーさんのセリフを声に出していたら、母が不審な顔で様子を見に来たこともあります。1つお断りしておきますが、当時の私に「寝言」という概念はなく、プーさんは意識的に独り言を述べているものと思っていました。

こういうふうに、子どもの頃は何も理解せずにプーさんのかわいさだけを見て楽しんでいたものですが、大人になって改めて見返してみると、プーさんはお話の中で結構とんでもないことをしていることに気が付きます。例えば、ピグレットが自分の体の小さいことに申し訳なさを感じて家出をしてしまう話では、プーさんを始め残された仲間たちがイーヨーを水で縮めたり、ピグレットの服を着させたりして“新しいピグレット”にしようとするとか。まあ最終的に、ピグレットは旅の途中で蟻さんと出会い、小さな生き物もありのままでいればよいということに気が付いてお家に戻るというハッピーエンドなのですが。

そう、こんな話もありました。

ちょっとばかりやんちゃが過ぎたティガーさんにラビットさんは怒り心頭。プーとピグレットを呼んで、ティガーさんをこらしめるための作戦会議を開きます。ラビットさんの計画によると、ティガーさんを連れて霧の立ち込める森の中に行き、そこにティガーさんを置いて帰るというものだそうです。そうしたらやんちゃなティガーさんも困って、少しは大人しくなるだろうとのこと(やりすぎじゃない・・・?)。ピグレットは案外真面目にラビットさんの話を聞いて質問したり納得したりしているのですが、プーさんは何だか静かです。

ピグレット:「プー、今のラビットの話聞いてた?」

補足しておきますが、このときプーさんはとても眠たそうな顔をしています。

プー:「ん?なんだっけ?」

ピグレット:「ティガーをこらしめようって話だよ」

プー:「んー、途中で耳に綿毛が入って、よく聞こえなかったんだ」

ラビット:「もう一度説明するのは構わないが、どのくらいで入った?」

プー:「耳に綿毛が入ったところからもう一度説明してくれない?」

そうです。作戦会議の途中でプーさんは睡魔に襲われてしまい、ラビットさんの話をほとんど聞いていなかったのです。自分がうとうとしていたことをプーさんは自覚していたのかどうか怪しいですが、話を聞いていなかった理由を「綿毛が耳に入ったから」というふうに弁明しているのです。ちょっと苦しい言い訳ですが、ラビットさんは信じてくれたようです。ちなみに、この後置き去り作戦は実行されるのですが、ひょんなことからラビットさん自身が森の中で迷子になってしまい、ラビットさんがティガーさんに助けられるというオチになっています。ティガーさん曰く、「ティガーさんは森の中で迷ったりしない」とのこと。

「くまのプーさん」のお話については、話し始めると止まらないのでこのくらいにしておきますね。文字に起こすと物騒なことばかりしているように見えますが、アニメーションでは仲間たちみんなで頻繁にパーティーを開催したり、お互いを思いやって何かプレゼントを贈り合ったりと、もっとほんわか温かい話がたくさんありますのでご安心ください。何よりそのにっこりしたときの顔とか、柔らかいおなかとかがたまらなくかわいいので、大人になった今でも「くまのプーさん」は大好きです。