なぜ淫夢は覇権アングラコンテンツになったのか

こんにちは。
タイトルの通り、なぜ淫夢が数あるアングラコンテンツの中で覇権ジャンルになったのか、自分なりの考えを書いていきたいと思います。
それではいきましょう。

まず、結論から先に述べると、それは淫夢に他ジャンル乗っ取り文化があったからです。
ジャンル乗っ取りとは、淫夢とは全く関係のないジャンルに淫夢民(以下ホモ)が大挙して押し寄せ、そこでのやり取りを淫夢語録で埋め尽くすなどすることです。

なぜジャンル乗っ取りが淫夢の覇権コンテンツ化の決め手だといえるか。理由はふたつです。

ひとつ、ジャンル乗っ取りが恒常化することによって、実際のコンテンツ抜きで、語録だけで淫夢というジャンルを認識させることができるようになる。
ふたつ、ジャンル乗っ取りによってアングラの本質を持ちながら、一般向けの皮を被ることが可能になる。

ひとつ目で、語録について触れましたが、語録文化は、淫夢にとどまらず少なくないネットから一般化したコンテンツが共通して持っている要素です。
語録文化は、文章を共有する場所さえあればすぐに拡散させることができるので、実際の画像情報がないと解説が難しいコンテンツに比べ、拡散速度や拡散難易度が段違いに早く/低くなります。
拡散に必要な、実際に拡散を行う兵隊を、手っ取り早く、大量に用意できるのです。
淫夢も、その「拡散簡易性」とも呼ぶべき特性によって一気に勢力を拡張したと考えられます。

ちなみに見た人に与えられる情報量は文章よりも画像・動画の方が多いのでひとつひとつの情報インパクトでいえば、語録よりも音MADやスクショ・コラ画像の方が優れています。
ただし、そのような動画やコラ画像は作成に技術と時間が必要なので、拡散させるコンテンツを多く作り出すことができません。
淫夢に優れた技術を持つクリエイターが多かったから、淫夢が覇権コンテンツ化したという言説は、誤りです。
それではレスリングやエア本が、淫夢と同じような立ち位置に立てなかったことが説明できません。(エア本はエアコーストがありましたが・・・)
レスリングやエア本になくて、淫夢にあったもの、それがジャンル乗っ取りのふたつ目の特性です。

淫夢はニコニコ動画で大きく勢力を拡張させたジャンルなのですが、ニコニコ動画は視聴者のコメントが画面上に流れる仕様上、淫夢語録による乗っ取りに対して非常に弱く、淫夢はここで他ジャンル乗っ取りによる勢力拡張方法を確立させました。
ジャンル乗っ取りで生まれた最大の被征服ジャンルが、皆さん御存知!そう、クッキー☆です。
このnoteを読んでいる皆さんは一定の例のアレに関する知識をお持ちでしょうから、クッキー☆の説明は省きます。

クッキー☆は一転攻勢と並ぶ、淫夢覇権コンテンツ化の立役者です。
みんな大好きな東方と、みんながうっすら好きな淫夢語録が組み合わさることによって最強の被征服ジャンルが生まれました。
はっきり言って淫夢のようなアングラコンテンツの勢力拡張には限界があって、アニメなどに遠く及びません。

よく考えると、365日24時間ホモビをネタにし続けるというのはなかなかに狂っている。アングラネタは基本的に一般受けしないんです。

しかし、語録によって一般コンテンツを乗っ取ると事情は変わります。
クッキー☆はそのかわいい(一般受けする)ビジュアルと淫夢語録で、一般ジャンルから完全アングラな淫夢へ人を誘導する役割を果たしました。
(一般コンテンツ → 一般/アングラコンテンツ(クッキー☆) → アングラコンテンツ(淫夢))
ホモと見るシリーズの広まりはアングラ要素はいらないが、淫夢語録は好きだという似非ホモ達を生み出し、淫夢の一般化に大きく貢献しました。
クッキー☆が淫夢の汚い外見を覆い隠したことで大ヒットしたように、現在の一般化した淫夢語録は一般人を取り込むためにアングラコンテンツをほとんど削除しています。
テレビで取り上げられるような語録にアングラ成分は感じられませんし、よく見る2種類の野獣先輩画像もホモセックスや同性愛などといった要素とは切り離されて、ただの定型画像として扱われているようです。
現実世界で草やすこを使う人も、使うたびにホモビ男優の顔を思い浮かべてるわけではないでしょう。

まとめると、淫夢はジャンル乗っ取りを駆使して、そのジャンルとしての広がりを、限りなくアングラ要素のうすい淫夢語録から、完全アングラの淫夢ほんへまでの幅広い領域に拡張することで、覇権アングラコンテンツ化したのです。

レスリングが淫夢と同じポジションに立てなかったのは、途中から哲学路線に切り替えても、かつて忌避した兄貴達の肉体を、今度は観賞することで中心に据え続けたからでしょう。

最後に、淫夢が一般化の過程でアングラ要素を捨てていったことはもともとのアングラな淫夢を好む層からの反発を引き起こしました。
これからは、そのような中心~中間層によって一般化に伴って生まれた最外翼集団の切り離しが始まるのではないでしょうか。

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