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【私立聖S学園中等部】 (1)学校説明会

私立聖S学園中等部はある宗教の教えを元に、自律を促し健全な生徒の育成を目指す教育を行う、人里離れた男子校である。特色としては全寮制で少人数の学年編成であり、各学年定員12人の1クラスで構成されている。そのため、教師と生徒の距離が非常に近く、生徒理解や学習指導、生徒指導など、教師は生徒の様子や状態を親のように親身になって把握することができ、一人ひとりに深く目を向けやすい環境となっている。他の特色としては校則や規則は聖書をベースに、非常に細かく更には厳しく定められている。例えば学校生活で規則違反を繰り返す生徒はケインと呼ばれる籐製の鞭でお尻を打たれるという厳格な懲罰制度が設けられている。これは入学案内にも明確に記載されており、学校説明会の際にも強調して取り上げられる項目でもある。最終的には入学時に保護者による同意が求められ、応じられない場合は学校側は入学を拒否できる。

神田こうだりょうは聖S学園の新1年生であり、小学校6年生の夏休みに渋々母親に連れられ、学校説明会に参加した。質疑応答を含め2時間半ほどの説明会で、視聴覚室内で行われた。学校生活を送る生徒の1日の流れや、寮生活、学校行事などの様子を収録したビデオが上映されたり、担当教師がスライドをスクリーンに投影して進学状況などを具体的に説明していた。

説明会も終わりに近づいた頃、生徒指導役の女性教員が紹介され、マイクを取った。40代後半ぐらいで凛々しい立ち姿をしていた。

「生徒指導の佐竹と申します。最後となりますが、本学園独自の『懲罰制度』を紹介させて頂きます。」

長丁場の説明会で少々退屈気味であった小学6年生の男子児童たちは、佐竹先生の「懲罰制度」という言葉を耳にしてハッとした様子だった。

「本学園には様々な細かい校則が制定されており、特に多感な時期のお子様には少々窮屈に感じられると思います。...ですが、立派な社会人になるためにはルールに従う事が求められます。規則を破る生徒は時には厳しい罰も必要とされるべきだと考えております。」

佐竹先生の話す内容に多数の保護者たちは軽く頷いて反応している。

「本学園では聖書の教えに基づき、校則を破った生徒は臀部に罰を受けます。」

佐竹先生は教壇に伏せてあった100cm程のケインと取り上げ、参加者全員に見えるように右手をゆっくり左右に振りながら掲げた。

「これはケインという籐でできた、本学園が海外から取り寄せている鞭です。実際、シンガポールなど体罰用に使用されている国もあります。校則違反を繰り返す生徒は残念ではございますが、これでお尻を叩かれます。...実際に本学園の生徒が懲罰を受けている様子をご覧頂きます。」

佐竹先生はプロジェクターに接続されたノートパソコンを操作して動画ファイルを開こうとしている中、参加していた男子児童たちは不安気な表情を浮かべていた。

画面が切り替わり、スクリーンに動画が流れた。


『中学2年、出席番号x番、〇〇〇〇(生徒氏名)。貴方は早朝テストに3回不合格したため、規則に従い3打の鞭打ちです。』

『...はい。勉強を怠けた僕のお尻に、、厳しい鞭を、お願いします、、、』

画面には薄暗く狭い部屋で、紺色の制服姿で華奢な男子生徒が跳び箱のような器具に両脚を少し開くように足首をベルトで固定され、上半身は台の上に腹ばいの姿勢で、両腕は台を抱くように伸ばされ両手首をベルトで拘束されていた。懲罰を受ける生徒の両手の自由を奪う大きな理由は、鞭打ちの最中に痛みで手をお尻に持っていくのを防ぐためである。手に勢い良く振り下ろされたケインが当たると指の骨が折れる可能性がある。

罰が与えられる生徒の顔と名前にはプライバシー保護のためボカしが入っていた。

また、罰を受ける際の決まりなのだろうか、自ら反省の意を示し、お尻への鞭打ちを震えた声で志願している。

部屋にはかなり厳粛な雰囲気が漂っている。

『それでは悔い改めなさい。』

動画内の佐竹先生は右手に持ったケインを肩の高さまで振り上げた。

『ひとつっ!!』

『ヒュッッ!』『ビッシィィィィン!』

『ひぃあっ...! あっ、ありがとうございます』


『ふたつっ!!

『ヒュッッ!』『バチィィィィィン!』

『はぁううっ...! あっ...ありがとうございます』


『みっつ!!』

『ヒュッッ!』『バッチィィィィィン!』

『ひぃぃっ...! ああっ、ありがとうございます』

佐竹先生は回数をカウントした後、ケインをお尻を突き出すような格好で拘束された男子生徒のお尻に少し間隔をあけテンポよく力いっぱい振り下ろした。

佐竹先生の右肩ぐらいまでに振り上げられたケインは「ヒュン!」と空を切る鋭い音を発するとともに男子生徒のお尻の真ん中を正確に打ち抜いた。

男子生徒は顔と固定された上半身を反らせて痛みに耐えている様子で、打たれるごとに声を振り絞りお礼を述べている。これも懲罰を受ける際の決まり事だと思われる。

3打の厳しい鞭打ちが終わると佐竹先生は生徒の拘束を解いた。

『お尻に鞭をもらい、しっかり反省できましたか?』

『うっ... はいっ。次からは、、合格点を取れるように、、勉強、します...』

男子生徒は痛むお尻を両手で擦りながら涙声で答えた。


ビデオは暗転し、これで終了した。

「これは本学園で行う懲罰のほんの一例です。違反の重さによって鞭の数が変わったりしますが、力任せに叩いてお子様のお尻に一生消えない不必要な傷を残す鞭打ちは決して行いません。本学園の教育方針にご納得いただける方のみ、ご入学をお待ち申し上げます。」

佐竹先生の説明は終了し、質疑応答の時間をもって今回の学校説明会は終了した。

視聴覚室が開放され、参加した親子がゾロゾロと退出する中で、賛否の会話が聞こえてきた。

その中で凌の母親は私立聖S学園中等部の教育方針に対し全面的に賛同していた。

「親元を離れて生活できる上に面倒見がよく厳しく躾けてもらえるなんて、最高の学校じゃないの。あんたは中学校、ここへ行きなさいね。だらしない性格を叩き直して貰うといいわ。」

乗り気のしない凌は仕方なく受験させられ、保護者同伴の面接試験を経て4月からの入学が決まった。


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