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コロナ禍のガザの今は。

こんにちは。JVCパレスチナ事業応援サポーターの新田朝子です。4月上旬にJVC駐在員が1年と2ヶ月ぶりに活動地の一つ、ガザ地区に行ってきました。そのときの様子をリポートします。

1、初めて訪れたガザの印象は

今回初めてガザに入ったJVCスタッフもいます。そのスタッフによると、ガザ市内の第一印象は「エルサレムの生活と比べて、のどかな感じがする。ガザ市内は、道路も広いそうで、報道のイメージとは真逆な印象があった。時間の流れがゆっくりなのかもしれない」だそうです。

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(写真:ガザ地区北部ジャバリア・街中の様子)

2、コロナ禍のガザの現状は

一方で、ガザの新型コロナウイルスの感染状況は深刻です。政府のデータによると、3月中旬から急激に感染者数が増え始め、多い時で1日あたりの感染者数が2000人あまりまでに上っています。204万人余りのガザの人口のうち、これまでの累計感染者数は83,000人を超えているようです(4月13日現在)

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難民キャンプ

(写真:ガザ地区北部・ジャバリア。トタン屋根の家は、夏は暑く、冬は寒い。人口も密集していて、住環境の厳しいエリア。)

JVC駐在員によると、1年前のガザと比べて変わっていたところは、これまであったお店が無くなっていたり、閉まってたりするところも目立ち、経済状態の悪化が見て取れました。

JVCのパートナー団体のスタッフによると、元々貧困状態が続いているガザですが、やはり長引く新型コロナウイルスの影響で経済状況の悪化を実感しているとのこと。周りには、収入が減り、家賃の支払いが困難になっている人もいるそうです。

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そして、現在は(以前のnoteで紹介した)ラマダンの最中。

そんな中、ガザ地区ではラマダンが始まった4月13日から、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、午後6時以降の車による移動が制限されました。さすがに夜に病院に行く際は、特別にそれ用に待機している車を呼んで行くことができますが、自家用車で行くことはできません。
さらに、ホテルやレストランは、この事態で経済的に大きな打撃を受けるため、とても腹を立てているとのことです。そもそもラマダンの1ヶ月間は、みなさん断食をしているので、ガザではレストランも日中に営業することはありません。そのため、午後6時以降にOPENすることになっているのですが、車の移動が不可能になると、レストランに行れなくなる人も増えてしまいます。

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(写真:イスラエル側のエレズ検問所を出たあとにある、長い回廊。この回廊の先にはパレスチナ政府の2つの検問所が待つ。)

3、JVCのガザでの事業の現状は

JVCが行っているガザでの事業は以前のこちらのnoteにも綴っていますので、ご覧ください。

記載した事業に関しては、コロナ禍でも継続しています。政府の要請などにより、一度に集まれる人数を減らしたり、家庭訪問なども回数を減らしたりする部分はありますが、感染対策には万全を期しているそうです。

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今回JVCスタッフがガザを訪問した主な目的は、「事業の中で大切な役割を果たしている、北部と中部のボランティアさんたちの活動の様子を知ること」でした。

赤ちゃん - コピー

(写真:8人の子どものお母さんで、看護師の資格もあるボランティアのランダさん【左】と、彼女がフォローアップしているおかげですくすく育っている8か月のアリくんと、そのおばあちゃん)

JVCスタッフは、ボランティアと一緒に家庭訪問をさせてもらい、北部でのプロジェクトが2017年のプロジェクト終了後もどのように活動を続けているのかを聞いてきました。嬉しいことに、事業が終了して4年経過した今でも、地域の妊婦と子どもの健康を担う存在として、ボランティアたちが今も活躍している様子が確認できました。みなさん、地域の人たちからとても頼りにされている存在で、「ドクトゥーラ(アラビア語で「女医」)」などと呼ばれているそうです。何か子どもの健康や栄養のことで問題があると、皆彼女たちに相談します。

上記の写真のアリ君のお母さん・ヌールさん(仮名)は1年前に結婚。すぐに妊娠し、アリ君を出産。ランダさんは妊婦のころからヌールさんにアドバイスを続けてきました。当初、ヌールさんは母乳育児がうまくいかず、あきらめて人工ミルクでアリ君を育てていましたが、ランダさんが足しげくご家庭に通い、ヌールさんはランダさんから丁寧に指導を受けました。今は科学的に正しい授乳方法を覚え、アリ君を健康に育てることができています。自分の母親や義母に聞けるのでは?と思う人もいるかも知れませんが、そういったお母さんたちから間違ったアドバイスを受けていることも多く、科学に基づいた専門的なアドバイスを受け、それを実践することで、きちんとその効果を実感してもらうことがとても重要です。

地道な活動の多いボランティアたちですが、封鎖下のガザにおいて、地域保健の大事な担い手となっています。

引き続きこちらのnoteではJVCパレスチナ事業のアップデートやガザの現状なども紹介します。ぜひチェックしてくださいね。

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