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【韓ドラ<屋台>スケッチ#6】“にぎやかな屋台”~ソン・イェジンの「ファム・ファタール」とハン・ジミンの「復活」

▲(トップ画像)夏の<屋台>はビニールの覆いを取り払い、開放的で涼し気だ。(韓ドラ「復活」より)

ソウルの<屋台>は熱気にあふれ

<屋台>は、日本や台湾より、今や韓国ソウルが本場のような気がします。
 
映像を観るかぎり、ソウルの<屋台>の熱気といったらハンパないからです。

▲韓国ソウルは南大門の屋台街のにぎわい(CSアジアドラマチックTV「ソウル散歩」より)

では、<屋台>の “にぎわい”が、映画・ドラマではどう描かれているのか。
 
ソン・イェジン主演の映画「ファム・ファタール」(2008年)を観てみましょう。
 
※<ファムファタール>とは、男にとっての<運命の女>という意味のようです。(Wikipediaより)

映画「ファム・ファタール」は、大阪と韓国を股にかける国際的なスリ組織のリーダー格であるソン・イェジンが、組織の一網打尽をはかる刑事と恋慕まじりの追いつ追われつの劇を繰り広げるというお話です。
 
その広域捜査の刑事たちが、特捜チームの結成を機に、決起集会を開くという場が<屋台>
 
人数が多くて入りきれないため、店の前に卓と椅子を並べ、雄叫びをあげるというのが、下の場面です。

▲韓国映画「ファム・ファタール」より

にぎやかさという点では申し分ないのですが、よく見ると、これは<屋台>と言うよりは、線路ぎわの小売店がオープンテラスのように張り出した飲めや歌えの空間、と言ったほうがいいかもしれません。

<屋台>経営の苦労がしのばれる韓ドラ「復活」

韓国ドラマには、必ずと言ってよいほど、<屋台>が登場し、ストーリー上の大きな要素になっています。
 
“にぎやかな屋台”ということで言えば、のちに“復讐三部作”と呼ばれるシリーズ第一作の「復活」(2005年)が挙げられると思います。

「復活」というドラマは、双子の兄弟が児童養護施設韓国ドラマの重要なファクター)に預けられ、一人は刑事、もう一人は財閥グループの次期会長と目される人物に成長しますが、片方が殺害され、片方が復讐を誓うという展開です。
 
不祥事を起こし自粛期間に入ってから、出演作を見かけなくなりましたが、オム・テウンが一人二役を演じています。
 
刑事となったほうの養父は、<屋台>を経営しながら養子2人との生計をにない、血のつながらない兄(オム・テウン)を慕う妹役になるのは、演技派俳優としての確固たる地位を築いたハン・ジミンです。
 
<復讐>がテーマなだけに全体に暗いトーンのドラマですが、ハン・ジミンが大企業から研修生(インターン)合格の通知を受けた夜だけは、<屋台>店主の養父が客に祝いのただ酒をふるまい、ぱっと花が咲いたような明るさに転じます。

▲<屋台>の店主が娘の研修合格を祝って客にただ酒をふるまい、マイクを自ら取り出して歌い、カラオケ店のようになる。(「復活」第4話より)
▲さらに店内はヒートアップし、「韓国人が(日本人が呼称する)竹島を(韓国が呼称する)独島とするなら、<おでん>にも韓国名を付けるべきだ」などと店主が客に熱弁をふるうくだりが皮肉まじりで面白かった。(「復活」第4話より)

――このドラマは、<屋台>の店主側から描かれているため、<屋台>の骨組みを極寒の冬も灼熱の夏も汗水たらして造り、テントを張って、店内にテーブルや椅子、調理器具をセットし、営業が終わると店をバラしてトラックで移動するというプロセスが描かれます。
 
<屋台>を開く苦労がしのばれるという意味でも、印象に残るドラマでした。

▲<屋台>を一人で設営する作業は、かなりの重労働だろう。(「復活」第9話より)
▲トラックの荷台が調理場になる。閉店すると<屋台>を解体し、トラックで移動する。
この毎日の繰り返し、並大抵なことではできない。(「復活」より)


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