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大東流の三大技法(続)23

柔術(これを簡易化した合気柔術を含む)には返技はありません。柔術は命令一下、その事のみを実行するクラスのための技法だからです。一方、江戸柳生系合気柔術は管理者武術ですから、懸待表裏を含む駆け引きなど体得できるよう構成されています。

また、このことは、術理の面から見ると明解です。柔術は基本、相手との関係性(つながる・一体化する)がなくても成立する技法ですから、大東流で定義するところの返技はありません。例えば、ボクシングなどで返技がないのと同じです。柔術の場合は、相手の技を切って、こちらから技を仕掛けることはできますが、これは切返し技であって返技とはいいません。

合気柔術は相手との関係性の中で技法が展開されますから、いわゆる合気が掛かった状態は、どちらも勝つチャンスがある「早い者勝ち・上手い者勝ち」なのです。稽古では、受手はじっと仕手の技を待って(そういうお約束)いますが、ここで相手の虚を読み取る訓練をするのです。返技の稽古に入り、動きを覚える段階を過ぎれば、実戦的な稽古となります。仕手側はきっちりとした技を仕掛け、受手がこれを返す、仕手の技に虚がなければ返技は掛かりません。この過程で駆け引きを学びます。そして、ここから次の段階=連携変化動作に入るのです。

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