見出し画像

姿勢について4

1能 能の原典は中国の散楽(さんがく)にある。唐の時代に日本に入ってきた。散楽とは、曲芸、軽業、滑稽な物まね(猿の物まねもあった)、奇術などの総称で雅楽と一緒に伝わった。散楽(中国語読み「サンルー」)が訛って、猿楽となったと聞く。これが台詞と仕草による滑稽な物まね芝居の「狂言」と音楽と舞踊による活劇の「能」に分かれたのだ。ここにはそもそも、今、話題にしている「姿勢がどうこう」というものはなかった。戦国末期の大和四座からプロの猿楽師が生まれ、天皇の儀式、将軍の儀式用に採用された時点でその内容が変わったのである。ところで、武士には乗馬が大切であった。騎馬は武士階級の支配者としてのシンボルである。馬に乗るためには姿勢が大切である。このことが後の金春、喜多院に関係してくるのである。
2茶道 茶道も中国伝来の喫茶の習慣が奈良時代から平安時代の初期に日本に伝えられたことが始まりであった。その後衰退と新たな飲み方(抹茶)が伝わり、鎌倉時代から次第に武士や庶民にも広まった。戦国武士もたしなむようになり、茶会の礼法や様式が確立する中で、武士の姿勢の重要性という要素が入ってきたのだ。
3舞踊 仕舞は能の一部を取り出したもので、扇を使うほか長刀(なぎなた)を用いたりするものもある。これも能と同様に武士との関わりから変化したものである。
4剣道 騎馬武士のみが武家といわれたことを見ても、姿勢の大事は身分を象徴するものでもあった。兵法(剣術)は武士の必須であり、介者剣術では正しい姿勢を維持しないと使えないのである。馬上でも地上でも姿勢が制御できてこそ得物をコントロールすることが出来るのである。(完)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?