見出し画像

合気陰陽法之事(続)-(下)

小野派系の1か条と江戸柳生系の1か条に違いがあるのは、名称は同じでもその構成・目的・技術内容が全く違うからである。小野派系の1か条の1本目は一本捕で、よく合気道技法の1か条と比較される。一本捕の特長は相手の腕を表(逆ひじ)に取り極めるが、江戸柳生系の1か条は手のひらが上に向く(逆ひじを極めない)ように押さえる。これは江戸柳生系合気柔術が小野派系柔術の返技になっているからである。また、一本捕は第1か条の中だけ(居捕と立合)に存在するが、江戸柳生系の1か条は表裏・序破急・返技と段階的に教え、さらにヨガ技法などへの展開があるのである。素肌武術として刀法(新陰流兵法)を基礎に展開される。一方、小野派系柔術は鎧組打ちの技法であり、肉体の鍛錬目的も入っている。上級武士の殿中武法として整備された江戸柳生系合気柔術との違いである。
合気陰陽法は江戸柳生系合気柔術の口伝であって、小野派系にはない。したがって小野派系の宗家である時宗氏はこのことは当然知らない。(完)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?