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開業しない選択を増やす政策を

これからは「むやみに開業する時代ではない」 と思っています。

どうしても開業したくてする方には不要な忠告です。無視してください。 狭い地域に小さな病院が乱立するのが、よいこととは決して思っていません。
 獣医師は技術職です。
経営センスのある人は10人に1人くらいでしょうか。
 ほとんどの人はまず技術を生かしたいと思って大学に入るのです。
すべての開業獣医師にどちらも期待するのは無理です。
 開業してから苦労して学ぶ? 初期投資3000万は高すぎる授業料です。

自分に経営者は向かないということを悟るのに、人生を賭ける必要はないでしょう?
 表向きは院長でも、「この場所で開業して、しまった。」思っている方がたくさんおられます。 本を書くときの取材で、そうした「悲話」をたくさん聞きました。 でも3000万円(場合によってはもっとたくさんのの投資)でその場からもう動けないのです。

これは本来のあるべき姿なのでしょうか?この問題提起は、獣医師のみに向けているのではありません。開業の過当競争を制限できない行政・職域をなかなか広げない農水省にも向けているとお考え下さい。「小動物の開業獣医師は、人の人生に甚大な影響がないものを扱っているから(老人介護や病院運営と違って)政府は深く関与しなくていい」という考えは本当に正しいのでしょうか?

もっと良い方法や仕組みを考えなければと思います。
 たとえば分析や生化学実験も、整った設備にそれを使いこなす人があれば明日から仕事ができる訳です。
 臨床も同じです。 引継ぎと組織運営がうまくできていれば、転勤や転職がもっと自由にできると思います。最近は転職サイトなども充実してきましたが、それを企業に丸投げせず、政府がかかわることで社会資本の損失は無くなってゆくと思います。
 まだその体制が十分できていないのが残念です。
このままでは国公立大学での6年の専門教育、私学でも多額の助成金を出して育成した人材が無駄になっているような気がします。  

【画像解説】東北で見た秋田犬のはりぼて。交通安全の広報用に作られたもののようです。全体はこちら。

秋田犬張りぼて


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