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"Beautifully Untrue"

怒りや不義を貫く難しさについて、
思いを馳せる。

悪意を悪意と断定できるほど、
世界はシンプルではない。

人を憎んで眠れない夜もあるが、
怒り恨み続けることは、難しい。


今、忘れることや、洗い流すことは、
決して屈服や敗北ではないと、
わたしはやっと認めることができる。

選択的に盲目になることをも赦したい。
己に他人に。
遠くの知らない誰かにでさえも。

手の届く仮説のその先を思って歌う歌は、
すべて祈りのようだ。

歌は創り手の意思を離れて、旅に出る。
その着地点を見届けることも稀に叶うが、
そう機会は多くない。

様々な事柄が可視化され整理され、
わたしたちはまるで、それらをコントロールできるかのように振る舞う。
その利便性を享受しながらも、それでもときどき、
ケイオスから漏れる光に惹きつけられる。


名もない感情や、
意識にさえのぼらない空白。
検討に値しない曖昧な断絶、
言語化を逃れる声。

拾い上げると決めなければ、
消えていく。

本当に、忘れてしまっていいのだろうか。
でも失ったほうが幸せかもしれない。

揺れ動いたまま、放っておく。
この歌はそんなことについて、書いた。

Holy anger
Too sweet to apologize for
So It’s over
We have to wash everything away

Wisely doubt
Beautifully untrue
Sleepless night
While I am blind

畏れるほどの怒り
詫びて済ませるにはあまりにも甘美な
おしまいにしようか
すべてを洗い清めて

巧妙な疑惑と
見事なまでの不義
わたしが盲目でいるうちは
眠らない夜が続く


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