本について(その2)
躊躇なく本を買う理由、それは元を取れると確信しているからである。
要は、値段以上の「何か」を本を買うことで得ることができているという確信があるのである。
この「何か」について説明するのは非常に難しい。
僕はテーマパークに入るのに払うお金はもったいないと思うのだが、本に対してはそう思わない。なぜかと言えば、テーマパークは娯楽だからだ。娯楽というものは楽しまなきゃいけないものだ。僕はそれは嫌いである。
つまり本に払われるお金というものは、その自発的な個人の活動に対してのお金なのである。
これはすごいことだと思う。なぜなら我々は商品を買っているように見えて、実は自分に対してお金を払っていることになるからだ。
これがいわゆる自分に投資するということの意味なのだと思う。しっかり言葉にして考えたことがなかったから、今初めてわかったような気がする。
ところで、「投資する」という言葉はなんとも頼りない感じがする。本当に資本が回収できるのか、心許ない。本を読むというのはもっと堅実な行いであるような気がするのだ。
お金の比喩を用いれば、そう、「貯金」の方がぴったり来る。
かの文豪、村上春樹もどこかで、「読書は心の貯金です」と言っていたっけ。
とすれば、僕が読書をする理由もこの辺りにあるのかもしれない。何かが貯まっていく、という感じ。ポイントカードのポイントを貯めるのが好きな方っておられませんか?
あれって少しずつ貯まっていくのがいいんですよね。読書も同じです。実際、僕の読書スピードはすごく遅い。そうか、この「遅さ」「堅実さ」が読書の本質だったのか・・・、と少し腑に落ちた気がした。読書ってゆっくり読めば、本当にたくさん「貯まる」んですよね。
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