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馬籠峠


馬籠宿を歩いたら16:00を過ぎていて、今夜の宿へここから1時間半と踏んで出たは良いが、どうやら逆方向へ走っていることに気づいた。
途中の駐車場へ入ってUターンして、さあもう一度馬籠峠を通ってと思ったところに、向かいの家から2台のオートバイが出てきた。
赤のCB750Fourと、その後ろのGPz750は待っているこちらにペコリとお辞儀をして出ていった。それを追ってこちらも出たので3台で峠道を走っていく事になった。
先行の2人はどちらも白のヘルメットに似たような赤いブルゾンとジーンズ姿。乗っているバイクと相まってベテラン臭まで纏った彼らは、十分な道幅の気持ちのいいクネクネ道を我が庭とばかりにスっ飛んでいく。こちらも負けじとついて行ったが、”こちらは旅人 無事帰るが使命”と思い直してアクセルを緩めると2台はあっという間に消えていった。
しばらく“マイペース“で走っていくと2台が路肩に停めたオートバイを何やら覗き込んでいた。通り過ぎ際に2人はこちらに向かって片手を上げた。軽く会釈を返して、そこだけは少しだけペースを上げて抜けた。
ここの道は工事区間が多くて何度か工事信号に捕まっているうちに後ろの2台が追いついてきた。軽くプレッシャーを感じながら暫く走ると昼神温泉まで出て久しぶりに見つけたファミマに飛び込んだ。後ろの2台も入ってきて近くに停めた。
ヘルメットを脱ぐと「こんちは」と声をかけてきたのは日焼けしたちょっと“ぐっさん“に似た笑顔のGPzのライダーだった。CBのライダーも同年で、二人共バイクに青春を乗っけてましたという感じ。
「CBのさ、キャブの調整したからちょっと試運転にきてさぁ」とピッカピカのCBのライダーは言った。
それからは遠くから来たなとかフレームとエンジン以外原型がないGPzの話とか そんな話を缶コーヒーとタバコをお供にひとしきり話した。
「これからこの道戻るんですか?」と聞くと、帰りは高速で帰るのがいつものルートだと言った。
別れしなに「じゃあ気ぃつけて。馬籠でバイクがエンコしたら家寄ってくれていいから」と残して2台の岐阜ナンバーはいい音を響かせて消えていった。
そういえば中山道は馬籠峠を越えるとそこから先は岐阜県だった。

#オートバイ  
#ツーリング
#旅乗り

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