給油キャップとコーヒーと民族大移動

お盆の休みに出かけたのだから、おそらくその日の朝は萎えるほどは暑くなかったんだと思う。
海が見たいという、なんともおセンチメンタルな理由で何故か鹿島を目指して走った。
鹿島といえば茨城と千葉の境で関東の東の端だ。ある意味秘境。当然土地勘もないので地図でリサーチして道を調べ、あとはツーリングマップルを見ながら走った。。なんだか行きづらいところだなと思いながら走ったのを覚えている。
目的の鹿島神宮に着いてお参りし、門前でそばを食ってから浜に行って海を眺めた。なんか野良犬が多かった。

少しお土産を買って、そろそろガソリンを入れて帰ろうとガソリンスタンドに寄ったところで事件が起こった。
ガソリンタンクが開かない。鍵を挿してひねってもキャップが上がらない。
さて困ったと思い周りを見渡すとちょうど横にオートバイの販売店があった。
ひとまずスタンドの女の子に頼んでオートバイを置かせてもらい、そのまま販売店に行ってみた。

販売店はちょっとひっそりしていた。
正直、やっているのかどうなのかわからない雰囲気の中、ドアを押すと中に開いたので、奥に向かって声をかるとガタイのいい、店主らしい人が出てきた。
事の次第を話すとガソリンスタンドまで工具を持って見に来てくれた。結局、立ち転けかなんかでちょっとタンクの給油口周辺が歪んで開きづらくなっていただけで、六角レンチで蓋周辺パーツを外して少し調整して無理なく開くようになった。
礼を言って工賃を尋ねると、いらないと言う。それよりせっかく遠くから来たんだからコーヒーでも飲んで行けというので、オートバイを移動して店に寄ることにした。

一応店は開けているのだが、お盆時期なので、サービスなんかは休んでいるんだそうだ。
海を見たくて来たと言うと、海はあるけど走りに行きたくなる山とか峠がここにはない。“せいぜいちょっとした丘ぐらい”なのだそうだ。うちは奥多摩に近いと言うと羨ましいと言う。
「ここから奥多摩行ったら一日がかりだもの。」
それでも奥多摩ツーリングを企画するとすぐに人が集まるのだそうだ。
「やっぱね、有名なところでしょ?一人じゃ遠くて行けないけどって、参加する人が多いんだよね。」
関東の東の端から西の端へのツーリング。ちょっとしたキャラバンみたいだなと思った。

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