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尻尾を巻いて逃げてきた 天龍村

秘境駅というのをYouTubeでみた。
乗車人数の年間平均が4名ほどと言われるその駅は中井侍駅(なかいさむらいえき)
近くの急峻な山の斜面に茶畑があってお茶も有名らしい。その茶畑からの景色もいいらしい。
なにしろ名前がかっこいいじゃないか。中井侍。それに秘境という言葉の響きよ。
それだけの動機で来た天龍村を、ちょっと秩父の奥の方の雰囲気を感じながら、天竜川のターコイズ色の水の色、深い鮮やかな緑の木々と日頃の行いの賜物の晴天で、それはそれは気持ちよく進んでいった。
途中に開ける集落の飯田線の駅でオートバイを停めてホームに出てみたり、そこで売っていた手作りのおにぎりを食べたりして、一点の曇りもなく最高。つまりここを選んだ自分、それ最高。
天竜川は比較的流れが蛇行しているので、それに沿う道も右に左にとカーブを描いていでそこをゆっくりペースでトレースしていくと中井侍駅へ続く道に入っていった。
すると様子は一変する。路面は少し濡れていて葉っぱも落ちている。片側は崖。新緑の時期で木々は光を遮って場所によってはオートバイのヘッドライトが先の木を照らす。何より怖いのは車とすれ違えないほどに道幅が狭い。
もっと軽いオートバイならなぁ。ここでコケたくないなぁ。あと数センチ足が長けりゃなぁ。ポジティブな考えは一つも出てこない。
そんな秘境駅への山道を全集中で恐る恐る進むこと数十分いや数分?Google先生はそろそろ目的地を示しているのに一向にそれらしい姿が見えない。なぁぜなぁぜ?
さすがにもう通り過ぎたかな もう限界だなと思われるその先でオートバイから降り、狭い道幅を端まで使い鬼の切り返しで向きを変えた。
本当は中井侍駅のホームで写真を撮って、その後坂道を上まで登って茶畑から見下ろす天竜川の写真を撮って満足して帰る予定だったのに。だったのにぃ。
そしてまた来た道を心で半べそかきながら恐る恐る戻っていると、崖の切れ間に下に降りていく階段が見えた。オートバイを停めて振り返ってみるとその先には屋根。
「あ~ あれだ。。。」
秘境駅は確かにそこに存在したのだ。我々(?)はついにそれを確認したのだ。
しかしここまでの道程で精神的HPはすでにほぼ0。オートバイを停めてまた鬼の切り返しで方向転換する気力もなく(停めておけないし)、ただ無力に目前の目的地を後にするだけだった。

帰ってからWEB検索した写真の中には、ホーム横までスクーターで行って撮った写真なども上がっていたけれど、そこに入る道は草が茂って入るには勇気がいったし、だって下り坂でオートバイも停められなかったかもしれないし だってあんなところで方向転換で立ちゴケしたら絶対凹むし だって  だって・・・
教訓:秘境駅は公共交通機関で行け

#旅乗り
#オートバイ
#ツーリング
#天龍村

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