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ジュウ・ショのサブカルアニメマガジン

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アニメについてサブカルチャー的な視点から紹介・解説。 学術書とか解説本みたいに小難しくなく、極めてやさしく、おもしろく、深ーく書きまーす。
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#絵

人間がヲタクになり推し活を終えるまでを4ステップで解読してみた

私は主にアート、マンガ、音楽、小説といった分野でライティングをしている。これらの創作物は、広義で「文化(カルチャー)」という枠でくくられる。 ただ、カルチャーは決してエンタメだけに特化した言葉じゃない。カップ焼きそばUFOのパッケージとか、無印良品のオーガニック食材とか、そういうものもひっくるめて文化だ。決して一過性のブームではない。何人かのヲタがソレを推して歴史を作ったもの。それが文化となる。 カルチャーについては以下の記事で紹介していますので、暇すぎてもう飲料の原材料

【青春の1ページ】「シュール系CGアニメ」の思い出を語らせてくれ

2000年代初頭に中高生時代を過ごした人たちにとって「シュール系CGアニメ」にハマった人は多かろう。あの、ビレバンの店内で絶えず流れているやつだ。 そのころはまだYouTubeも盛んではなくて、みんなDVDを買って観ていた。クラス中がテレビのバラエティ番組の話で持ちきりだったころだった。 まだサブカル界隈でしか認知されていなかったDVDを観ていたのは、変な優越感があったのを覚えていますね。そして仲間内だけで話が通ずるのが楽しくて仕方なかった。そんなサブカルクソ野郎の時期は

果たして宮崎駿は本当にロリコンなのだろうか

「ジブリのアニメーションはやはり別格だ」。放映されるたびにそう思う。 特に深夜アニメをはじめ、作画枚数を押さえた「リミテッド・アニメ」がスタンダードになってからは「フル・アニメ」ならではの滑らかな映像美に魅せられます。「ハウルの動く城」を観て改めて思った。色彩もデザインもストーリーも、ちょっと別格だった。何回見ても感動します。 こんなに有名なのに「ジブリの批判をする人」は、超少ないですよね。猛烈なアンチっていないと思うんです。しかし宮崎駿もいきなりスターダムにのし上がった

【ザ・今さら】「えんとつ町のプペル」について思ったことをそのまま書いてみる

ちょっと前に読者の方から、メールで質問をいただきました。いつも読んでくださって、ありがとうございます。しかしメール質問への回答へのメール質問とはおもしろい。 おでこの冷汗を拭いながら震える指で書きますが、私は「えんとつ町のプペル」を観ていません。でも岡田斗司夫さんの動画は見ました。正直いうとけっこう共感して「あー、それそれ」と思った。 要するに彼はプペルを見ない理由について、以下の3点を挙げている。うん。分かるぞ。非常に分かる。 ・感動ポルノだから ・二次創作がない(心

メンヘラ女がマイメロ好きになる理由|アニメとTweetでマイメロ論の答えを出してみた

「私はマイメロだよ〜☆ 難しいことはよくわかんないしイチゴ食べたいでーす」 Quick Japanの2017年6月号に掲載された宇垣美里のエッセイ「マイメロ論」のパワーフレーズである。すごくいい言葉だ。最高。 そしてこのころから「マイメロ好き=メンヘラ」の法則という新しいステレオタイプが生まれた。つまり「マイメロ好き=宇垣美里=メンヘラ」という数式となる。彼女は辛いときに病まないための処世術を書いたのに、逆に「メンヘラ」という刻印を押されることになったわけだ。変な話である

日本アニメ史を全まとめ|1917年〜2000年までの流れを代表作で振り返る

皆さんはいつからアニメを観はじめただろう。またテレビでどのアニメを観て育っただろうか。こんな質問が当たり前にできるくらい、日本では「アニメ」という文化が育ってきたんですよね。 「今や日本のアニメは世界のものだ」。アメリカ人がワンピースのアニメを観て「オゥ…ノゥノゥノゥ! オォ……オーマイガァ……ッ」と頭を抱える様子を観たりするとそう思います。 もともとディズニーに憧れて生まれた日本のアニメを、今やアメリカ人が夢中になって観ている。すごいことだな、としみじみ嬉しくなっちゃい

サブカルとアングラの違いとは|ヤバい世界について本気で考えてみる

「アングラとサブカルの違い」は一般のメインカルチャーで生きている人には理解し難いものがある。「いやいや、どっちも絡みにくいでしょ」とまとめてしまいがちだ。 しかし気をつけてほしい。アングラ畑で"毒"を撒布している人と、サブカル畑で"無駄"を耕している人は違う生き物だ。当人からすると「一緒にしないでくれ」と思っているパターンは結構ある。 アングラの人に「お前、ほんっとにサブカルだな」と安易に声をかけるのはマズい。「ちげぇよ。俺はアングラだよ」と血走った眼で返されるだろう。な

今敏について|46年の生涯、パプリカ・パーフェクトブルーなどの作品解説

今敏(こん さとし)の作品は、アニメ史のなかでも明らかに異質なものだ。ジャパニメーションブームが去った後に颯爽と現れて、海外に日本アニメの価値を再認識させたのは、今敏の功績が大きいでしょう。 このメディアでも何度か記事を書いてきました。 そんな今敏の作品には、いまだに熱狂的なファンが多いんです。サブカルオタクのなかで勝手に神格化され、崇め奉られているんですね。「パプリカしか観ていない」けど「今敏はすごい」と言いたくなるサブカル諸君もいるだろう。アレは「NEVER MIND

ファム・ファタールとは|起源や言葉の意味、キャラクター紹介など

ファム・ファタール……それは美術、マンガ、アニメなどの世界で「男を惑わせる魅惑の女性」を指す言葉だ。本来の意味は「赤い糸で結ばれた運命の女性」となる。 「赤い糸」と書くとロマンチックに聞こえるが、いやいや、そんなに良いものでもない。もっと妖しくてキケンな存在であり、男はいつだってファム・ファタールの虜になって破滅してしまうものだ。 ではファム・ファタールとは具体的にどんな女性を指すのか。そしてなぜ長い間、クリエイターから愛され続けているテーマとなったのだろうか。 今回は

チャージマン研!という日本史上最高に「雑」なサブカルアニメを語らせてくれ

「チャージ!ゴーゴーケン!ゴーゴーケン!その名も〜僕らの〜チャージマーンー♪」という声が聞こえてきたら画面の前に集合だ。最高で最低な10分アニメが始まるぞ。 もう言わずとも分かるだろう……そのアニメとは「チャージマン研!」だ。1974年に制作されたこのアニメは、その圧倒的な質の低さから、2000年代後半からサブカル界隈にて有名になった。 とにかくバンクの使いまわし、そして明らかな尺稼ぎ、鳴らないSE、合わない口の動きなど、とにかく観れば観るほど低クオリティ。その結果、ちょ

アニメ・美少女戦士セーラームーンはここがすごい! 幻の原作や変身シーンなどを解説

「月に代わってお仕置きよ!」 1990年代当時を生きた方はもちろん、現代に至るまであらゆる女の子を魅了してきた決め台詞だ。 「月に代わって」ってヤバいですよね。月の仕事を代行してるわけだ。とんでもないスケール感のお仕置きである。私が敵だったら「まず死は免れない」と悟る。スライディング土下座決めて詫びる。 このセリフで有名な作品はもちろん「美少女戦士セーラームーン」だ。日本国民なら誰もが知っている超名作だろう。 「セーラームーン」は、まさにアニメの歴史を塗り替えた作品と

ディズニーアニメ・白雪姫は長編アニメの原点であり至高だ

現在、日本国内で作られるアニメの数は332本(2018年現在、日本動画協会調べ)。2000年が109本であり、この20年での増え方はまったく異常だ。「日本といえばアニメ!」みたいな文化が根付き始めたのも、ここ10年だろう。 しかしもちろん世界で最初にアニメを作ったのは日本人ではない。1892年にフランス出身のピエール・レイノーが作った「哀れなピエロ」という約15分の作品だ。最初のアニメ作品のタイトルが「哀れなピエロ」という謎のメッセージ性に笑う。 この作品の作画枚数は50