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ジュウ・ショのサブカルマンガマガジン

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マンガについてサブカルチャー的な視点から紹介・解説。 学術書とか解説本みたいに小難しくなく、 極めてやさしく、おもしろく、深ーく書きまーす。
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大友克洋の「童夢とAKIRAより前」の出世作について熱く語らせてくれ

「2022年 大友克洋全集刊行」 渋谷駅ハチ公口改札でバカでかポスターを見て、ちょい鳥肌が立った。かっけェ……。なんだこのロゴ。すげぇいいじゃん。買うしかないじゃん。 言わずもがな大友克洋は完全にレジェンドだ。特に私たちサブカルゆとり世代からしたら「AKIRA」は、もはや聖書である。アーメン。 私の体感だが、文化系サブカル大学生の家に、AKIRAがある率は80%超えてる。まじで文科省のほうで、文化系サークルに属している人に向けて統計とってほしい。AKIRAは浅野いにおの

なぜ「スポ根漫画」は滅びた? 1960年代〜70年代の価値観の変化を紐とく

マンガは世につれ、世はマンガにつれ……。マンガというのは、それぞれの時代で特有のブームが起こる。で、マンガのおもしろいのは、小説や映画といったエンタメ創作物に比べて「社会トレンド」とリンクしやすいのである。めちゃくちゃタイムリーなメディアなのだ。 なぜか。シンプルに「1本の話を作る時間が短いから」だ。例えば映画、長編小説、音楽、演劇といった総合芸術は、一作をつくるのに早くても数カ月、長いと数年かかる。最近は技術の発達、ナレッジの蓄積もあって、高速化している気がするが、それで

人間がヲタクになり推し活を終えるまでを4ステップで解読してみた

私は主にアート、マンガ、音楽、小説といった分野でライティングをしている。これらの創作物は、広義で「文化(カルチャー)」という枠でくくられる。 ただ、カルチャーは決してエンタメだけに特化した言葉じゃない。カップ焼きそばUFOのパッケージとか、無印良品のオーガニック食材とか、そういうものもひっくるめて文化だ。決して一過性のブームではない。何人かのヲタがソレを推して歴史を作ったもの。それが文化となる。 カルチャーについては以下の記事で紹介していますので、暇すぎてもう飲料の原材料

天才・田村由美のマンガの魅力についてオタクに熱く語らせてくれ

20年代前半のころに「禅」に関する本を書いていたんです。ブックライターとしては初めての仕事で、6時間くらい禅寺で取材をして、文字起こしして300ページくらいにまとめるっていう仕事でした。 当時は私自身が仕事やら人間関係やらにものすごく悩んでいた暗黒期で……。もうなんか「全裸で下向いて大殺界を歩き回る」みたいな。しかも出口の鍵がないんですよね。そんなときに「禅」に触れたわけですから、そりゃもうむちゃくちゃ食らった。で、だんだん「人の生き方」について深ぼって考えるようになる。

祖父江慎のブックデザイン|「誰もやってないからおもしろい」という話

数年前、祖父江慎さん(以下、僭越ながら敬称略)にお会いした。彼が代表を務めるコズフィッシュが関わるお仕事に、ホント「カスる」くらい参加させていただいた。それ以前からもちろん大ファンだったので、実際に目の前にすると興奮したものだ。 祖父江慎さんは、ブックデザイナーである。「装丁画家」ではなく、ブックデザイナーだ。ではブッデザインとはなんぞや、というと「本そのものをデザインする仕事」です。表紙はもちろん、中の紙質、印刷の色、フォント、行間の幅、ノンブル、スピンに至るまでをデザイ

サブカルとアングラの違いとは|ヤバい世界について本気で考えてみる

「アングラとサブカルの違い」は一般のメインカルチャーで生きている人には理解し難いものがある。「いやいや、どっちも絡みにくいでしょ」とまとめてしまいがちだ。 しかし気をつけてほしい。アングラ畑で"毒"を撒布している人と、サブカル畑で"無駄"を耕している人は違う生き物だ。当人からすると「一緒にしないでくれ」と思っているパターンは結構ある。 アングラの人に「お前、ほんっとにサブカルだな」と安易に声をかけるのはマズい。「ちげぇよ。俺はアングラだよ」と血走った眼で返されるだろう。な

AKIRAとは|漫画・アニメ映画の両方について「何がすごいのか」を徹底解説

「ジャパン・カルチャー」といえば、今やフジヤマ、サムライ、スモウレスラーよりも先に「アニメ」「マンガ」がくる。 しかしもともとは、アニメもマンガも海外で生まれたメディアである。以下の記事でアニメやマンガの起こりを書いています。 ただ、今やマンガ・アニメといえば日本を代表するカルチャーであり、最近は「日本アニメを楽しむ海外オタク」の動画をYouTubeで観ることも増えた。 では、なぜ日本のアニメ文化がこんなにも海外でヒットしたのか……。その立役者は間違いなく「AKIRA」

漫画雑誌・ガロを徹底解説!おすすめマンガ、代表的な作者一覧など

いわゆる「サブカルマンガ好き」のペルソナとは誰なのか。例えば諸星大二郎、伊藤潤二、大橋裕之、などなどのマンガを好む層は、どこが厚いのだろう。 さすがに中学生はまだ早い。高校生もまだ沼に浸かる人は少ないだろう。とはいえ就職すると、クリエイターなどの特殊な仕事じゃない限りは、みんな丸くなって、自分から情報を探らなくなる。 そう。サブカルマンガの濃いターゲットは大学生(青年層)だ。そして「青年がサブカルマンガを好むこと」を発見したのが雑誌・月刊漫画ガロである。前後の文脈は以下の

【2024年最新版】マンガの歴史を総まとめ! 代表作で振り返り【平安時代から令和まで】

普段からマンガ作品・作者の記事を日々アップしている私。できるだけ前後の文脈を含めて、点ではなく線でわかりやすく書くことに努めています。 ただ、実際のところ漫画の歴史をぜんぶ確認できる場所があったほうがもっと分かりやすいと思いまして、今回は日本の漫画(マンガ)の歴史を一気にデータベース化してみます。 鳥獣戯画から呪術廻戦まで、1000年近い歴史を振り返っていきますので、ぜひご覧くださいませ。 平安時代〜江戸時代までのマンガの歴史平安時代〜江戸時代までの主な漫画作品一覧

【自己紹介】私がnoteでやっていること・やらないと決めていること

突然ですが、フォロワーさんからこんなメールが届きました。(送信先は伏せますが、ご本人さまにちゃんと了承をいただいてます〜!) 月に数件ほど、法人だけじゃなくて個人の方からもメールとかTwitterのDMとかをいただけるのですが、正直めちゃんこ嬉しいです。はしゃいでます。勝手に友だちと思ってます。懇切丁寧にお返事させていただきますので、お気軽にどしどしください。 話を戻そう。私「カルチャーを知ると、もっと作品がおもしろくなる」をコンセプトに記事を書いとりますが、そもそも「こ

サブカルチャーとは? 日本と海外の意味の違いを事例で簡単に解説【アニメ・マンガなど】

前回の記事で「カルチャーとは」について「メインカルチャー・サブカルチャー・ハイカルチャー・カウンターカルチャー」に分かれまっせ!」ということを、そこそこちゃんと説明した。 しかし、実はすごく大事なことが抜け落ちているんです。土下寝しつつ白状します。この4つのカルチャーのなかでも「サブカルチャー」に関してはちょっとややこしいのだ。 この部分はそもそも人種的な背景もあるし、日本で使う際は少し違う意味になったりする。ちなみに私のマガジンは「日本でいうサブカル」ですので悪しからず