マガジンのカバー画像

ジュウ・ショのサブカルマンガマガジン

54
マンガについてサブカルチャー的な視点から紹介・解説。 学術書とか解説本みたいに小難しくなく、 極めてやさしく、おもしろく、深ーく書きまーす。
運営しているクリエイター

#日記

24年組とは|少女マンガの歴史を塗り替えた天才女性漫画家たち

少女マンガが、長年にわたって日本の少女たちの人生観、恋愛観に大きな影響を与えているのは間違いない。ちゃお、りぼん、なかよしに育てられ、なんとなく大人の世界に触れて成長していく。うっかりそのまんま大人になって、いつの間にか黒歴史にまみれた人もいるだろう。我々はあのキラッキラで巨大なお目目から大人の世界を学び、憧れを抱いてきた。 そんな少女向けのストーリーコミックは1953年、手塚治虫の「リボンの騎士」から始まる。それからトキワ荘の紅一点、水野英子が、現代少女マンガに通ずる、ロ

今敏について|46年の生涯、パプリカ・パーフェクトブルーなどの作品解説

今敏(こん さとし)の作品は、アニメ史のなかでも明らかに異質なものだ。ジャパニメーションブームが去った後に颯爽と現れて、海外に日本アニメの価値を再認識させたのは、今敏の功績が大きいでしょう。 このメディアでも何度か記事を書いてきました。 そんな今敏の作品には、いまだに熱狂的なファンが多いんです。サブカルオタクのなかで勝手に神格化され、崇め奉られているんですね。「パプリカしか観ていない」けど「今敏はすごい」と言いたくなるサブカル諸君もいるだろう。アレは「NEVER MIND

トキワ荘とは|天才漫画家が一緒に暮らした伝説のアパートについて

日本マンガの基盤は、東京都豊島区椎名町のあるアパートで作られた。それがトキワ荘だ。手塚治虫が居住を始めてから、藤子不二雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎、水野英子、寺田ヒロオなど、とんでもないメンツが手塚に憧れて入居。切磋琢磨しながら、作品を作っていた。 トキワ荘はまさに「マンガ家の梁山泊」としていち時代を築いた聖地中の聖地である。 日本のマンガカルチャーはまさにこの場所で生まれた。こんなスターたちが、この一箇所に集まってマンガを描いていたのは信じられない。レアル・マドリードば

ファム・ファタールとは|起源や言葉の意味、キャラクター紹介など

ファム・ファタール……それは美術、マンガ、アニメなどの世界で「男を惑わせる魅惑の女性」を指す言葉だ。本来の意味は「赤い糸で結ばれた運命の女性」となる。 「赤い糸」と書くとロマンチックに聞こえるが、いやいや、そんなに良いものでもない。もっと妖しくてキケンな存在であり、男はいつだってファム・ファタールの虜になって破滅してしまうものだ。 ではファム・ファタールとは具体的にどんな女性を指すのか。そしてなぜ長い間、クリエイターから愛され続けているテーマとなったのだろうか。 今回は

つげ義春をまとめ|ねじ式などの作品紹介・波乱に満ちた人生など

以前、好きな漫画ベスト5を書いた。 このときにパッと出てきたのが、つげ義春の「ねじ式」。パッと出てくる理由は「ねじ式」を読んだときの衝撃を今でも覚えているからだ。「メメクラゲ」に腕を噛まれて治療したいけど目医者しかなく、最終的に産婦人科医に嘘みたいな治療をされる、みたいな話だった。おもろすぎる。 完全にツボなのである。珍しいかもしれないが、個人的にこの話は涙出るくらい笑える。どんな思考をしてたら、このわっけわかんない話を描けるのだろうと、あれこれ想像した。つげ義春ってどん

しあわせアフロ田中9巻、10巻から学ぶ「好きを仕事にすること」の真実

「マンガ家を描いたマンガ」というのは、めちゃめちゃたくさんある。「ブラックジャック創世秘話」「薔薇はシュラバで生まれる」などの、コミックエッセイが基本だろう。 ただし、この前紹介した「OPUS」をはじめ「かくしごと」など、あくまでストーリーのなかにマンガ家が出てくるマンガもめっちゃある。 ストーリー漫画において、作中にマンガ家を出すと、どうしてもメタが絡まってくるものだ。作者が意図していなくても、読者としては「コレ作者自身のこと描いてんのかな」という目線で見てしまう。なの

アニメ・美少女戦士セーラームーンはここがすごい! 幻の原作や変身シーンなどを解説

「月に代わってお仕置きよ!」 1990年代当時を生きた方はもちろん、現代に至るまであらゆる女の子を魅了してきた決め台詞だ。 「月に代わって」ってヤバいですよね。月の仕事を代行してるわけだ。とんでもないスケール感のお仕置きである。私が敵だったら「まず死は免れない」と悟る。スライディング土下座決めて詫びる。 このセリフで有名な作品はもちろん「美少女戦士セーラームーン」だ。日本国民なら誰もが知っている超名作だろう。 「セーラームーン」は、まさにアニメの歴史を塗り替えた作品と

「私を構成する5つのマンガ」を超いまさらやってみる

「いや、いまさらやな!」と思うだろう。そうです。いまさらやりますこのハッシュタグ。「#私を構成する5つのマンガ」が流行ったのが2020年の4月。約7カ月遅れて流行りに乗ります。もうほぼ波ないです。凪です。 だって「構成する」って! 緊張するじゃない!「私の好きな」じゃウケないのは分かる。でも構成するって、もう人間性が決まるみたいな言葉で怖いじゃないか。もうなんか、その人の生き方とか考え方が決まるじゃないですかマンガの趣味って。でも今年は毎日更新を決めたので、これはもう、私の

漫画雑誌・ガロを徹底解説!おすすめマンガ、代表的な作者一覧など

いわゆる「サブカルマンガ好き」のペルソナとは誰なのか。例えば諸星大二郎、伊藤潤二、大橋裕之、などなどのマンガを好む層は、どこが厚いのだろう。 さすがに中学生はまだ早い。高校生もまだ沼に浸かる人は少ないだろう。とはいえ就職すると、クリエイターなどの特殊な仕事じゃない限りは、みんな丸くなって、自分から情報を探らなくなる。 そう。サブカルマンガの濃いターゲットは大学生(青年層)だ。そして「青年がサブカルマンガを好むこと」を発見したのが雑誌・月刊漫画ガロである。前後の文脈は以下の

【2021年最新版】マンガの歴史を総まとめ! 代表作で振り返り【平安時代から令和まで】

普段からマンガ作品・作者の記事を日々アップしている私。できるだけ前後の文脈を含めて、点ではなく線でわかりやすく書くことに努めています。 ただ、実際のところ漫画の歴史をぜんぶ確認できる場所があったほうがもっと分かりやすいと思いまして、今回は日本の漫画(マンガ)の歴史を一気にデータベース化してみます。 鳥獣戯画から呪術廻戦まで、1000年近い歴史を振り返っていきますので、ぜひご覧くださいませ。 平安時代〜江戸時代までのマンガの歴史 平安時代〜江戸時代までの主な漫画作品一覧

【鳥獣戯画展も!】鳥獣戯画の解説文!作者不詳・日本初の漫画が意味することとは?

漫画とは日本の重要なカルチャーであり、私のような日陰で生きる民族としては、特に生活に深く関わってくるクリエイティブの1つだ。 毎週のように漫画を読んで爆笑し、漫画を読んで号泣する。漫画によって誰かとつながって、漫画について話しながら生きてゆく。我々はもはや漫画を単なるエンタメとは見ていない。漫画がない世界なんて考えられない。息を吸って吐くようにページをめくって絵とセリフを味わいたい。 そんな、つい人を熱くさせる漫画の世界だが、皆さんは日本で初めて描かれた漫画をご存知だろう

【自己紹介】私がnoteでやっていること・やらないと決めていること

突然ですが、フォロワーさんからこんなメールが届きました。(送信先は伏せますが、ご本人さまにちゃんと了承をいただいてます〜!) 月に数件ほど、法人だけじゃなくて個人の方からもメールとかTwitterのDMとかをいただけるのですが、正直めちゃんこ嬉しいです。はしゃいでます。勝手に友だちと思ってます。懇切丁寧にお返事させていただきますので、お気軽にどしどしください。 話を戻そう。私「カルチャーを知ると、もっと作品がおもしろくなる」をコンセプトに記事を書いとりますが、そもそも「こ

Netflix版「今際の国のアリス」の実写化が原作を超えてる件

『今際の国のアリス』は週刊少年サンデーで連載されていたマンガです。2020年の12月にNetflixで実写ドラマが解禁になったんです。今をときめく山崎賢人くんと土屋太鳳ちゃんが主役で。 「実写化決定(バァーン!)」となったとき「はい爆死フラグいっちょあがり!」と正直思ってて。これたぶん「神様の言うとおり」みたいになるやろな、と思ってました。いやしかし蓋を開けてみると超おもしろくて、世論も大絶賛の嵐ですよ。今回は(ちょっといつもの記事と趣旨が違うけど)Netflix版・今際の

サブカルチャーとは? 日本と海外の意味の違いを事例で簡単に解説【アニメ・マンガなど】

前回の記事で「カルチャーとは」について「メインカルチャー・サブカルチャー・ハイカルチャー・カウンターカルチャー」に分かれまっせ!」ということを、そこそこちゃんと説明した。 しかし、実はすごく大事なことが抜け落ちているんです。土下寝しつつ白状します。この4つのカルチャーのなかでも「サブカルチャー」に関してはちょっとややこしいのだ。 この部分はそもそも人種的な背景もあるし、日本で使う際は少し違う意味になったりする。ちなみに私のマガジンは「日本でいうサブカル」ですので悪しからず