呪染2 〜憑神ノ社〜 《神隠し編》【第二話】
【第二話】壊れた記憶
「あっうっ………はぁ、はぁ、はぁ、うぐっ」
真っ暗な部屋の中で女性の荒い呼吸音が響き渡る。その声の主は、暗闇の中で何かを手探りで探している。
カチッという音と共に眩しい光が部屋全体を照らす。電気をつけたのは太一だ。彼は険しい表情をしながら、ドタドタと足音を立てて部屋の中に入り込んだ。
「あ……」
彼は今にも叫び出しそうな顔で何かを見下ろしていた。シャロンが黒い光沢のあるキャリーケースのすぐ側で、胸を押さえ泣きながらうずくまっていた。
「はっ、はっ、はっ、はっ」
次第にシャロンの呼吸音が早くなり、呼吸と共に肩が激しく上下に揺れていた。手はまるで極寒の中にいるかのようにガタガタと震えており、今にも倒れ込みそうな状態であった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?