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今を生きるために戸締りしよう 映画「すずめの戸締り」感想

※この記事には、ネタバレが含まれます。

新海誠監督の映画「すずめの戸締り」を見てきました。
作品からたくさんのメッセージと感動をもらったので、忘れないようここに記したいと思います。
そしてこの感動を、みなさんとシェアできたら嬉しいです。

あらすじ

特に印象的だったこと

1.全国各地の旅

主人公のすずめが、ある日出会ったダイジンと呼ばれる猫を追いかけて日本各地に旅へ出かけます。

その道中、すずめは初めて見る場所や景色、一つ一つに感動しているのがすごく印象的でした。

「すごい。わくわくする。」

すずめのような気持ち、忘れていないだろうか。
自分の住んでいる町や旅行先。素敵な場所が沢山あるはずなのに、当たり前の景色にあまり目を向けられていなかったような気がします。

すずめが目の前の景色ひとつを大事にするように、私ももっと素敵なところに目を向けていきたいと感じました。

景色だけでなく、道中ですずめを助けてくれる温かい人々。
見返りを求めずに、何かを成し遂げようとするすずめの背中を押してくれます。
最近はSNSが発達し、直接の関わりというものが少なくなってきているような気がします。
映画を見て、人とのつながることで得られる温かさを思い出せた気がします。

私は鹿児島に住んでいるので、すずめの出身地である宮崎はぜひ聖地巡礼してみたなと思います。

2.怖いもの知らずのすずめの変化

扉を探し災いを防ごうと旅をしている草太と出会い、一緒に閉じ師の仕事を全うするすずめ。
扉を閉める為に危険なことがあっても、構わず飛び込んでいきます。

「死ぬことなんて怖くない。」
「私が変わりに要石になる。」
(要石とは劇中で災いを封じ、そこから災いを封じる石として過ごさなければならないというもの)
「生きるも死も運」

本当に死を恐れない発言です。
でもこの言葉には、
「亡くなったお母さんのところに行ける」
「私は別に一人だからいてもいなくてもいいんだ」
そんなすずめの悲しい思いがあるのではないかと感じました。

ただ、草太と出会い旅をする中で、二人はお互いに大切な存在へとなっていきます。
「草太さんがいない世界が怖い。草太さんと一緒に行きたい」
死ぬことが怖くないと言っていたすずめからこの言葉が出る。
そのことがうまく言い表せないけど、とても印象的だったのです。

私自身ネガティブな人間なので、自分はいなくてもいいんじゃないか。自分がいない方が世界は上手く回るし、別に死んだところで誰も悲しまないと思っていた時期があります。
でもちゃんと周りをみたら、大事に思う人がいてこの人と生きる為に死ねないなと今は思えています。

共に生きたいと思える人ができたこと、すごく幸せだと感じました。

3.戸締りと「行ってきます」の意味

この映画をみて、ポスターに書かれている「行ってきます」が持つ意味を知ることができました。

扉に鍵をかけるとき、今は廃墟になってしまった場所に住んでいた人の声を聞いて、思いを感じながら戸締りをします。
終盤、すずめも幼い頃の自分と向き合い、戸締りをします。

すずめが幼い頃の自分と向き合い伝えた言葉が、この作品に込められたメッセージであると感じました。

「どんなに暗い過去があっても、あなたは光の中で生きていくの。」

廃墟になった場所で暮らしていた人たちの思い、過去の自分の辛かった思い、忘れようと逃げないで。
過去の暗い思いに飲み込まれないよう、一人で座り込まないで。
前を向く為に、心の大切な場所にこの思いを閉じ込めて戸締りをしよう。
そして今ある光の中を私たちは生きていくんだ。

題材は震災や自然災害の悲しみに立ち向かうということもあるけど、日常生活の中でも同じように抱えている思いに対しても、きっと同じことが言えるのだろうと感じました。

前を向く。そして過去の自分へ、「未来へ行ってきます」

本当に素敵なメッセージを受け取りました。

おわりに

題材が震災を表しているということもあり、震災の話としか捉えられないこともあると思いますが、きっとそれだけではないと私は感じました。

とても考えさせられる、胸に残る素敵な映画でした。

そして、物語に没入できる美しい映像と綺麗な調べの音楽。
新海誠監督の集大成にして最高傑作。そうホームページに記載されるのも頷けます。

物語に没入して、メッセージを感じる為に、まだ見ていない方はぜひ劇場で見てください。

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