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アツすぎたのかしら

R40大人のビブリオバトル in 埼玉桶川予選出て、負けました。
悔し~!

ビブリオバトルに出場するのは初めてでした。
公式ルールはいちおう覚えましたが、戦略についてはまったくの自己流で臨みました。戦略とか、臨み方とか、調べれば出てくるようなのですがまったく検索せず、過去のバトルの動画も2、3見ただけ。

だって、最初に枠を決められるのってつまんなくないですか!
いちばん初めがいちばん自由にできるチャンスなのに。

まあそれで負けたので、あまり参考にはならないと思いますが、備忘とひょっとして今後の誰かの参考のために、今回の自分の戦略を記録に残しておこうと思います。

1 推し本を決める

これはわりとすぐに決まりました。森健さんの『小倉昌男 祈りと経営 ~ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』です。小学館ノンフィクション大賞で賞の歴史上初めて選考委員全員が満点をつけた大賞受賞作だそうです。同じ本を二度読むことって少ないのですが、初めて読んだときの衝撃が二度読んでも消えなかった本なのでこれにしました。
この時点で、ノンフィクションがビブリオバトルに向いているかどうかはまったく考えていません。

2 ひっかかり→キャッチコピーを決める

バトルの準備を始めたときすでに1週間切っていたので、まずは再読(三回目)。気になるところ、使えそうなところをメモしていく。
このときに気をつけたのは、より多くの人にひっかかるキーワード探しでした。

ひとは自分の好きなものについては雄弁に、いくらでも語れると言ったのはミヒャエル・エンデだったかな、文言が正しくないかもしれませんが、、しかし、それイコール誰もが彼の語りを楽しく聞けるものでもないだろうと思っています。

まったく興味のない話を延々と話し続けられるのは、ときに苦痛でもあります。人はそんなにひまじゃね~!
まったく興味のない話を楽しく聞くには、
①話し手自身に興味がある(恋するひとの話はいつまでも聞けるってやつですね)
②話のなかになにかしら「ひっかかり」がある(自分にも身に覚えがある、興味が出るキーワードがある、など)
この2点の要素が必要と考えます。

今回選んだ本は、人望の厚い名経営者、正義の人、弱者の味方と言われた小倉氏の語られなかった「秘密」を探ったノンフィクションです。
ノンフィクションというとご立派な感じがしますが、下世話な好奇心からうまれたものということでは週刊誌と何ら変わりません。
秘密を暴きたい。

真実を知りたい。
にさほど違いはない。

そこで、今回のひっかかりは「秘密」にしました。
これはのちに、「ある男の秘密を暴いた本」という推し本のキャッチコピーになりました。

3 年表をつくる

時系列に沿って書かれた本ではなかったので、再読の途中から、年表をつくることを思い立ちました。

付箋って、ほんっとに便利。パソコンでコピペでもできますが、この手作業のひと手間が、なんとも言えず好きです。
それに、普段このようにして本を読んだことがなかったので、すごく理解を深めてくれました。小説とかでも有効かも?

ビブリオバトルでプレゼンするとき、「数字は言った方がいい」というパートナーの助言もあり、この年表が役に立ちました。その人の歴史が立ってみえてきたのは驚き。

4 プレゼンの構成を考える

再読が終わったら、構成を考えます。
最初、持ち時間の5分を5パートに区切って考えてみました。

この時点で、とりあえずプレゼンを作り始めます。録音すると、内容の半分でもう5分! うわ、5分短いな! と焦り始めます。

内容を削いでいきます。

この段階ではまだ5パート。さらに、録音を続け、どうしても入れたいところのみ残し、削っていきます。

最終的に、自分の頭では4パートを覚えておくのが限界と知り、4パートに。

(1)ひみつ(謎解きへの誘い)
書名、キャッチコピー、事実を淡々と。あまり熱はこめない。
いい人、すばらしい人、だけど謎・・・なんだろう? と思わせることが狙い。
(2)祈り(キーワード、ヒント)
意外な一面、それを知っている人の証言を紹介。
(3)家族(核心)
衝撃を受けながらも、家族と住んだことのある人なら誰しも多かれ少なかれ身に覚えがある、家族の問題。
(4)まとめ(推し本の推しポイント)
あえて最後に推しポイントを。熱を入れるならここに集中する。(てか、自動的にものすっごアツくなった)

5 プレゼンを第三者に聞いてもらう

できれば、複数の人に聞いてもらえたらベスト。家族はまずダメ出しからしてくれるのでオススメですが、ポジティブなアドバイスをしてくれる友人もいると、心の支えになります。

録音は50回以上やりました。

気をつけたことは、間を取ることです。
書名の後、キャッチコピーの後。問いかけの後。
間がないと、オーディエンスは考える(感じる)暇がない。
本番ではどうしても気持ちが早くなるので、意識してもっと取ってもよかったかもしれません。

6 本番

本番前に、手のひらに「ひみつ 祈り 家族 まとめ」とだけ書いて、あとはからだの準備に専念しました。

上がってくる意識をとにかく、下へ、下へ・・・足をさすったり、すり足で歩いたり。
この間、からだとこえのワークショップやって、ほんとによかったです。それと、呼吸は本当に意識すればするほど、自分を助けてくれるとあらためて思いました。普段、無意識でやっていることだから、なおさら!


5分のプレゼンの後に3分間の質疑応答の時間もあり、そこでもかなりアツくなってしまいました。あれがよくなかったのか? でも、観客のなかには、ウンウンと強くうなづいてくれたいた人もいました。

優勝したのは小説を選んだ方で、次点の方も小説。この日のオーディエンスは小説好きが多かったのかな、、と分析し(自分を慰め)てみたり。

人前で話すのはまだ苦手ですが、出場できてよかったです。
また出るかは未定~。

ところで、こちらのイベントでは出場者募集していますので、気になる方は申し込んでくださいね!(私は主催者なのでさすがに出ません)

おまけ。
もう20年くらい前、電車のなかで、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』についてアツく語っている男子高校生を見かけたことがあります。彼は自分が受けた感動を、必死になって友達に伝えようとしています。
「~っていう奔放なヤツがいて、そいつが・・」
などと自分の言葉で本を推しています。

当時私は「ヘッセなんて北の国からドイツ版みたいだな」くらいにしか思っていなかったので、今でいうちょっとチャラい感じの男子高校生が熱弁を振るってまでヘッセの本を推していたのを、意外な気持ちで見ていました。

楽しいことをしていきます。ご一緒できたら、ほんとにうれしいです!