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悲しみの果てに何があるかは、嘆ききったらみえてくる!

NVC(Non Violent Communication)のハッシュタグで来られた方も、そうでない方も、まあNVCの話なんですけど、あまりかたくならずに書こうと思います。

1か月半前、趣味ができました。(←ここは「彼氏ができました」みたいな感じで読んでください)
ごく少数の人をのぞいてSNSなどで言わなかったのは、すぐやめてしまったら恥ずかしいというのが理由でした。
その趣味は習うこともできましたが、私はそうしませんでした。「何曜日の何時に決まった場所に行く」という縛りで、彼を嫌いになってしまうのは避けたかったからです。

自宅のキッチンに板を敷き、メリカリで買ったシューズをはいて、早朝や寝る前など、好きな音楽を聴きながら、Youtubeで知ったステップを刻んでみる。
それだけで楽しかったんです。
彼の名は「タップダンス」。

私がタップダンスやろうかなと思ったのは、隣町でタップとピアノのライブを見に行ってから。直観的に「足首柔らかくなりそう!」と思ったのが初めで、メルカリをのぞくと、あるわあるわ、、、打ち棄てられた夢どもが、、、

私は嬉々としてストラップタイプのタップシューズを選び、私とタップとのつつましい日々は始まったのでした。

そんな折、私がタップを始めたきっかけをつくったタップダンサーの方が、また隣町に来てタップのワークショップをするという知らせが!
私は意気揚々と参加し、帰宅して翌日、気づいたのです。
シューズがないことに。

ないんです。
入れたはずのバッグのなかにも。
車のなかにも。
ワークショップが行われたお店にも。
どこにもない。

物をよくなくす人間は、物をなくすことに慣れているわけではありません。いつだって物がなくなると、悲しみはやってきます。悲しみは降り積もり、次回物をなくすときにさらに切なさというスパイスとなって、私をもだえさせるのです。

そして失われるのは純粋な嘆きです。ほんとは悲しくてつらくてやりきれないのに、そう感じる自分の心が嫌で仕方ない。感じたくないと思われた感情の行き場のなさを「こじらせ」というのでしょうね。

このまま私の「悲しい」を見殺しにするのは嫌だ、と私は思いました。ものすごくタイミングがいいことに、その日、うちに来ていた友人はNVCを私なんかよりちゃんと学んでいる人でした。そこで、彼女にたっぷり私の嘆きを聴いてもらうことを頼むことにしました。

 私はタップシューズがなくなって悲しい。
 なぜなくなるのか。
 そもそもこんなに物をなくす自分が情けなくていやだ。
 本当に嫌だ。
 それになんで私が初めてタップを習いに行ってその帰りになくすのか。
 このタイミングはなんなのか。
 私に趣味は持ってはいけないということなのか。
 ふざけんなよ。
 悲しいよ~!
 あ~ん!
 シューズなんかまた買えばいいけど、そういうんじゃないんだよ!

どんな幼稚な言葉でも、彼女は受け止めてくれました。
言っているうちにちょっと涙が出てきました。
近鉄バッファローズのことを最近よく考えたり動画を見たりするのですが、そのことを思い出しました。(ここはわかる人だけわかってくれればいいです)

ものの15分くらいでしょうか。
悲しみの質が変わっていることに気づきました。
とても澄んだ、かるいものに変わっていたのです。
私はもう、自分の悲しいという感情を否定しませんでした。
ただ悲しい。
そりゃ悲しいさ!
でも、それだけ。

ただ聴いてもらっただけで、この違い。
伝わるでしょうか。
人間ってけっこうひどいけど、かなりすごいこともできるんだよって。
ノージャッジで、ノーアドバイスで、励ましも不要。
そんな聴き方ってあるんだ、そしてその威力たるや、、ということをあらためて思いました。

後日談。
友人に聴いてもらった夜、夫にその話をすると、話の終わらないうちから「車の中探した? 店には電話した??」と、、おいおい、待て。
やっとのことで、聴いてもらってすっきりした話をしたのですが、ただ聴くことができない組代表の夫です。
「聴いてもらうことが大事なのはわかったけどさあ、なんかセカンドベストって気がしちゃうんだよね」
とのたまう!

友人に聴いてもらった後だったから、怒るより笑っちゃったけど。
これが彼の愛なんですよね。愛する人が物をなくしたと聞いたら、一刻も早く見つけてあげるのが彼の愛。感情のケアとかそういうことに重きをおかない、とまでいかないけど、あー、でもたぶんわかんないのかもなー、というかんじ。

まあいいか。
夫のようなタイプは緊急事態にはマジ役立つ男なので、そういうときは来ない方がいいけど、来たら大活躍してもらおうと思います。

タップシューズが消えて、今日で3日目。まだあきらめていません。まだ悲しいです。
でもたぶん、見つからないまま時がたったら、またタップシューズ、普通に買うと思う。だってメルカリにいっぱい出てるもん。

楽しいことをしていきます。ご一緒できたら、ほんとにうれしいです!