4,639,118,400秒(起業して147年)

【独り言】インターネット創世記の1995年に右も左も分からずにその当時の大学生2名とEyes, JAPAN(http://www.nowhere.co.jp/)という魔法と区別がつかない優れたテクノロジーを創造する会社を26歳で起業してから、あと16日、2016年9月1日に21年目を迎える。あまり昔話をするのは好きじゃないけど、ちょっと今日はセンチメンタルな気分なので書いてみる。

若い頃は田舎が嫌で会津を捨てて東京に逃げて行ったけど、1993年に自分の愛する故郷に戻って、たまたま県職員として潜り込めた会津大学でインターネットの無限の可能性にただただ魅了された。そこでは会津大学の初代学長國井先生の「アメリカでは優秀な学生はみんな大企業なんか行かないで自分でスタートアップをはじめる」という話にすっかりその気になり、GNUの聖人リチャード・ストールマンからフリーカルチャーのマントラを直接聞く機会に恵まれたり、誰よりも早くMosaicでホワイトハウスのホームページを見て当時の大統領だったビル・クリントンの飼い猫ソックスの鳴き声(ダウンロードに3分以上かかって「ミャオ」っていうだけだったけど)を最初に聴いた時のあの感動は未だに忘れない。産業革命に匹敵するような人類でも最大の時代の変わり目のまさに”Right Time, Right Place(適切な場所に適切なタイミングで)” に立ち会えたのは本当に幸運だった。

当時からインターネットという魔法を通してまさに自分だけが未来を見ているような感覚だった。昔は今と違って起業支援なんか全くなく、見よう見真似で起業したから手痛い失敗も死ぬほどしたので、今でも失敗なんて絶対したくない(だから若者は失敗したほうがいいという失敗ポルノを説く大人は一切信じない)。親友と思ってた友人も無くした(facebookの映画ばりに決別することになった。誰か映画化して欲しい)。ただ若くて失うものも何もなかったし、そんなに賢くもなかったら無謀に自分の信じた時代の波に思い切ってダイブしただけ。また誰も知らない地方のMiddle of Nowhere(どこでもない場所)に突然変異のように生まれたので、メンターもおらず(そもそも地方でメンターなんているわけないだろ!)自分一人でずっとテクノロジーのエッジを追い続けてきただけで、それがどれだけ特別なことかも考えたこともなかったし、孤独だったのか孤高だったのかも分からないけど0を1にする才能はあっても1を100にする才能はなかったのでそんな余裕もなかった(正直に言うと会社のビジョンも創業して3年目くらいに無理矢理考えた)
世代的にはPunkの思想の影響をもろに受けたので、日本特有の周りの同調圧力にもめげず、丸くもならず(体格的には大分丸くなったけどさ)、周りにも散々いじめられたり、無視されたり、足引っ張られたり、悪口も散々言われてるけど、東日本大震災で死生観も大きく変わって、一回きりの自分の人生だし尊敬するSteve Jobsの「他人のドグマに惑わされず自分の心を信じよ。今日が人生最後の日だとしたら果たしてそれは本当に自分のやりたいことなのか?」の言葉の通り生きることした(あのボブディランも”All I can do is be me whoever it is(自分にできることは自分であること例えそれがどんなものでも)”って言ってる!)

そもそも日本の起業家ってUFOから「お前だけが世界を変えることができる!」って間違った指令を勝手に受けて金もリソースも何も無いのに勝手に起業するツチノコやカッパと同じ珍獣(=ユニコーン)みたいなもんだし、そういう保護しないと絶滅しちゃう珍獣に世間のつまらない常識を強要したり、同調圧力を加えたり、足を引っ張ったりするのは本当に罪だと思う。あとは日本特有の文化かもしれないけど、小さなスタートアップしていると名刺交換した瞬間によく大企業の人になぜかマウンティングされることがあるんだけど、確かにその人の所属する企業は立派かもしれないけどイコールその人が立派かどうかは全く別な話で、その人がそこで何を成し遂げたかが大事というコンテキストが抜けている気がする(少なくともシリコンバレーでは、お互いにどんなことやってるのかを話してから最後に名刺交換してお互いの所属が分かる場合が多い気がする)。マーク・ザッカバーグがシリコンバレーの伝説、ショーン・パーカーにアドバイスされた”I’m CEO, bitch”ってまさに言い得て妙で、いろいろなCertified Assholesには「常に最先端の非連続領域に対して破壊的創造してるスタートアップ20年以上やってますが何か問題でも?」ってポーカフェィスで言いたい時もあるけど、そこは日本人なので謙虚に我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢...
この前、俺のとても尊敬するWired Japanを立ち上げたインターネット創世記の戦友(と勝手に俺が思ってるだけ)の小林弘人さんがわざわざ会社に来てくれて、そのプレゼンの中でドラスティックな変化が起こり続けるインターネットでは犬の世界のように1年が7年に相当するドックイヤーという話をあらためて聞いて、いろいろなDeja Vuもあるけど自分はそういう狂気を生きていたんだと再認識する機会を頂けた(そういう自覚が全くなかった)。ただ本当に幸せな人生だと思う。
起業して21年とは?
通常の時間軸:21年 = 662,731,200秒(7,671日)
自分の時間軸:147年 = 4,639,118,400秒(53,697日)(ドックイヤー×7)
気づいたらものすごく遠くに来た感じがする。まるで映画ブレードランナーの雨の中で涙するアンドロイドのように。
I’ve seen things you people wouldn’t believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I’ve watched c-beams glitter in the dark near the Tannhäuser Gate. All those … moments will be lost in time, like tears…in rain. Time to die…(お前たち人間には信じられない光景を俺は見てきた。オリオン座の肩の近くで炎を上げる戦闘艦。暗黒に沈むタンホイザーゲートのそばで瞬くCビーム…そんな記憶もみな、時とともに消えてしまう雨の中の涙のように…)

2016年8月16日
Eyes, JAPAN
Unicorn/Chief Chaos Officer 山寺純

p.s. 主なインターネット企業の創業年月日
amazon:1994年7月5日
Yahoo! :1995年3月2日
Eyes, JAPAN:1995年9月1日(Yay!)
eBay :1995年9月3日
楽天: 1997年2月7日
Google:1998年9月4日

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