「人工光が昆虫を大量に殺している」と科学者が指摘

「人間が設置した人工光による光害が昆虫の個体数を大幅に減少させている」とアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの研究者らによる合同研究チームが指摘しています。

昆虫は世界中の至る所に生息している種で、その個体数の多さから、食物連鎖において重要な役割を果たしています。しかし近年、「昆虫は絶滅の危機に瀕している」という研究結果が多数報告されています。

以下では、昆虫が激減した結果、生態系全体が大きな打撃を受けていると報じています。

地球温暖化で熱帯雨林の昆虫が激減して生態系全体に大きな影響を与えている - GIGAZINE

以下では、昆虫が激減した結果、生態系全体が大きな打撃を受けていると報じています。

地球温暖化で熱帯雨林の昆虫が激減して生態系全体に大きな影響を与えている - GIGAZINE

さらに、人工光は昆虫の行動を乱すだけではなく、「捕食者を有利にする」という点でも昆虫に影響を与えています。クモ・コウモリ・ネズミ・ヤモリなどの多くの捕食者が人工光の周りで狩りをする傾向があります。そのため、人工光が増えると捕食される昆虫の量が増加します。

こういった問題があるだけではなく、研究チームは、「昆虫にとって人工光は対処しづらい問題」と指摘します。昆虫という種は、長い歴史の中で気候変動や捕食者による捕食を多数経験してきました。それゆえ、将来的に公害が原因の温暖化や人間による駆除が起きても、似たような経験から対処が可能とのこと。しかし、光と闇の周期に関しては長い年月に渡って不変だったため、昆虫は光と闇の周期が変わるという経験を持たず、簡単には対処できないだろうというのが研究チームの主張です。

一方で、人間の側からこの問題に対処するのは簡単です。研究チームのバレット・セイモア氏は「光を消せばいいんです、ほとんどの汚染物質のように除去する必要はありません」とコメントしました。セイモア氏は、「もちろん『光を使うな』と言ってるわけではなく、『人工光を賢く使うべき』ということです」と述べ、人工光を常時オンにするのではなく、人の動きなどに応じて光がオンになるモーションセンサーなどの仕組みや、有害な波長を簡単に制限できるLEDなどが問題の解決に役立つと語りました。



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