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ピンチはチャンス~正しい叱られ方~

子どもたちとの生活をしていると、当然「間違い=ミス」が多々起こります。

・掃除をきちんとしない
・牛乳パックや机・椅子の整理整頓ができていない
・友達の話を聴かない・・・
・授業への取り組み方・・・
・宿題などの提出物を出さない・・・

実に様々です。

そんな時、担任として、社会を生きる大人として、目の前にいる子どもたちにどのように伝え、導くのかが子どもの成長を大きく左右することになると考えます。

今回は、私が多くの教育実践を参考にさせていただいている菊池省三先生「叱る指導」から現在の自分自身の教室を振り返り、記録していきたいと思います。

0.大前提「褒める・叱る・怒る」

まず、大前提として教室の中で「褒める」「叱る」「怒る」の言葉の定義を共有しておくことが大切だと述べています。

私の教室で実際に行ってみたことは

①この3つの言葉の違いは何でしょう?
②ズバリ!自分がされて嬉しい順番を答えてください!
③ズバリ!自分がされて一番成長するのはどれでしょう?
④この3つの間に一本線を入れるとしたらどこに入れる?

この流れで価値づけていきました。
①では、なんとなく答えられます。辞典で調べ始める子もいました。
②③は面白い(笑)その人らしさが溢れます。
「僕は怒られた方がやる気出ます!てか、怒られないとわかんねー(笑)」
⇒教室内が爆笑の渦に(笑)
④については、少し考えさせられたようです。私の中の答え、(著書にも書いてあります。)叱ると怒るの間です。

褒める 叱る ┃ 怒る

なぜか・・・ズバリ端的に言うと、

「褒めるのも叱るのも相手の成長のためを願って行うもの」

だからです。なので、同時に「感情に任せて”怒る”をしたときには、遠慮なく先生のことを怒ってください(笑)」と伝えます。

1.間違えて当たり前!

この本では、教師として「正しい叱り方」があるのと同じように、子どもにも「正しい叱られ方」が存在すると書いてあります。それが以下の5つのステップです。

①受容…叱られるということは、自分の行った間違いを指摘されていることであると受け入れること。
②反省…「悪いことをしてしまった。よくない行為だった」と素直に認めること。
③謝罪…自分の非を認めて、反省したことを言葉にして表すこと。
④改善…同じ過ちを行わないように、次からどうすべきかを決め、実行すること。
⑤感謝…自分の成長のために叱ってもらえてありがたいと思うこと。

この価値に出会ってから私の教室で起こる一般的に「問題=ミス」と呼ばれる価値観は無くなりました。(笑)

無くなる・・・という言葉では少し大げさで不十分ですが、私も子どもも

「人間なんだから間違えて当たり前であり、それを生かすことが大事」

という共通理解のもと歩むことができている。
とでも言いましょうか・・・。

ミスはミスであっても、正しい叱られ方のステップを踏むことで、それが

「価値あるミス」

になっていく感覚を得ているのです。

つまり、「正しい叱られ方」をすることで問題点を改善し、自身の成長へとつなげられていることに心地よくなっているということですかね。

そんな意味で、単純な「問題=ミス」が無くなったのです。

2.正しい叱られ方を伝えるタイミング

著書では、この価値を伝えるタイミングも重要であると書いてあります。そのタイミングを間違えると、一見「先生や大人の言うことは正しい、間違っているんだからちゃんと受け止めなさい」と言った少し強引な押し付けになってしまうと感じました。今回私の教室では、アンケートにふさわしくない内容を書き、正しく反省し改善しようとする姿が見れたタイミングで価値づけました。

※こちらの記事を参考にしていただけると幸いです。

この時に、書いたノート(私の学級では、子どもと交換ノート的なものを行っています。一日一日テーマを与えて取り組んでいます。この実践もいつか記録しておきたい・・・。)の抜粋です。

自分の中でしっかりと受容し、反省⇒改善へと向かっている姿が見て取れます。

その翌日道徳「よりよい生き方~人間の弱さを見つめる~」の授業とも絡めて伝えることができました。

この日以来、「正しい叱られ方」の価値が教室に浸透するようになりました。当然、子ども同士でも度々話の中に出てきます。

3.見えてきた成長

「正しい叱られ方」が自分の成長につながるということを身に染みて感じた子どもたちは、どんどん素直になっていきました。

「自分の課題は○○だ」
「自分の○○なところを卒業までには改善し、感謝をして公に進めるようにしたい」

そんな言葉であふれるようになりました。

素直に受容し、改善できる集団は強いです。教師が声を張り上げることをしなくてもちゃんと受容し改善しようとするのです。

4.まとめ

「正しい叱られ方」が成長へとつながったという実感を持つことができるのは、本当に長期的な戦いになります。でも、学期末の振り返りでたくさんの成長を振り返ったとき、「どうしてここまで成長することができたのだろう?」と問うと、「正しい叱られ方で成長できた」という成功体験を話してくれます。

長い目で見て、たくさんの成長を見取った瞬間に爆発的な効力と成長を感じました。そして、一度この価値が花開くと、枯れずらいです。

長い道のりだけれど、その先に出会う子どもたちの成長の可能性に心奪われています。

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