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一般財団法人東京アートアクセラレーション共同代表就任のお知らせ


この度、代表理事/ファウンダーの香田さんとともに、一般財団法人東京アートアクセラレーションにスタートすることになりましたので、その初心表明を書くこととしました。エンタメ業界で活躍する株式会社アカツキの香田さんとは、ひょんなことから出会い、その後、バーゼル香港を一緒に見て回りながら意気投合したことが今回、一緒に始めるきっかけになりました。

 今までのターニングポイントを思い返すと、17歳でメディアアーティストの岩井俊雄さんのお手伝いをして初めてプロの現場を手伝った時と、東京都写真美術館で学芸員を始めたのが27歳になる年と、10年周期で大きなことがありました。今年、37歳になるので、20年にわたってアートに関わり、10年にわたって学芸員をしてきた自分にとって、この財団を始めることは大きな転換期となります。これまで、アートという世界の中で生きてきて、国内外のアーティストと一緒に仕事してきました。それぞれの生き様に触れ、各地のビエンナーレを見て回りながら、改めて世界の大きさを感じ、その中で仕事をしてこられたこと、それは本当に幸せなことだったと思います。そういう機会をこれまで作ってくださった方々には本当に感謝が尽きません。しかし、その一方で、東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館といった美術館で働いてきた中で、次第に中身のことより、美術館やアートを取り巻く環境の方が、気になるようになってきました。多くの美術館が設立、構想された90年代と現在では、経済的にも、メディア環境も、地方と都市の関係も、大きく変わっています。さらに、90年代に美術館の設立を支えた大企業経営者や文化人が引退していく中で、表現の自由をはじめとするアートの根幹を外圧から守れる人たちが少なくなってきているように思います。

 こうした変化の中で、アートが継続的に、社会の中で立脚していく上で、岐路に立たされていると、感じるようになっていきました。そうした折、香田さんがアートの事業を始めると聞き、最初は相談相手のような形で関わっていました。ですが次第に、自分が入って中身をしっかり構築していった方がより良いものができるのではないかと思うようになっていきました。そして、そこからできることは、今、生じているさまざまなギャップに埋めながら、アートが構築してきたものより発展期に広がって行く一助となれるのではないかという想いから、この財団に入ることにしました。香田さんのそのロジカルに思考する力やこれまでビジネスの中で培ってきた同世代のネットワークが、これからの文化の基盤を考えていく上で、非常に心強いと感じています。

 また、近年さまざまなところで「アート」という言葉を聞くようになりました。それはアートへの関心が高まりつつあるという状況の裏付けですが、その他方で、同じ言葉でありながらも、人によって思い描く意味が大きく違うと感じています。例えば、アート関係者、ビジネスパーソン、行政関係者とでは、思い描くアートの形は、全く別物だと感じることもあります。ですが、同じアート関係者であってもそのバックグラウンドや世代の違いによって、大きく違うのですから、より関係の遠いところではその違いが大きくなるのは当然です。ですが、違う分野の人が集い、アートを醸成していこうとする際には、この分断は大きな足かせとなります。そのため、その分断の間にたち、これまでアートの世界で培ってきた経験を生かして、その媒介者になっていくことが、私がこの財団を通して果たすべき役割だと感じています。そしてその中で、いくつかの事業計画を検討していました。

 今、新型コロナウィルスの影響で、社会自体が大きく変わろうとしています。その中で、新しい立場で仕事を始めるということは数奇な巡り合わせかもしれません。美術館やビエンナーレ、アートフェアなど、さまざまなアート体験のフォームがありますが、その多くが特定の場所に行くことによって始まります。近年、グローバル化の流れが強まるにつれ、文化的多様性を表現した国際展が各所で開かれるようになり、そのダイナミズムを感じることがアートの一つの醍醐味でありました。しかし、この新型コロナウィルスが与えた影響により、人や物を一箇所に集めるという集権型の構造は、力を失いつつあります。全く予想しなかった環境の中で、スタートすることになったこの財団ですが、これからの状況を見据えて、柔軟に事業設計を行っていきたいと思います。

 しかし、今、こうして書き連ねていることも、多くの方との連携の中で、実現していくことだと思っています。至らない点も多々あるかと思いますが、これまで培われてきたことを大事にしながら、これからにとって必要なことを、多くの人と関わり、考え、実践していきたいと思います。これまであった何かを壊すためにではなく、これからを生きるために、皆さんとご一緒できることを楽しみにしています。

 そして、財団の第一弾の事業として、「ONE ROOM ART」というアート作品を、自宅で過ごす時間に届けるためのECサイトをローンチしました。こちらは、現在の状況にあわせ、期間限定で手数料を取らずに運用しています。いま、さまざまな形でアートのECサイトが立ち上がっていますが、我々として、これを一つのコミュニケーションツールとしても捉えています。今の状況が落ち着き、このECを通じて出会った方々や、これまで出会ってきた多くの方々、これからの財団の活動に関心のある方々が、私たちが六本木に構えるコンプレクスビルANB Tokyoというスペースで集える時を心待ちにしています。

これまでやってきた仕事についていくつかこちらにリンクを貼っておくので、ご高覧いただけましたら幸いです。


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キュレーター。1983年生まれ。東京都写真美術館、金沢21世紀美術館を経て水戸芸術館現代美術センター。映像やメディアを軸に幅広い展覧会を企画。「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」「霧の抵抗 中谷芙二子」(水戸芸術館)。「恵比寿映像祭(4-7)」(東京都写真美術館)
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