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今年、あなたは何本ヒットを打ちましたか?

この記事は "プロダクトマネージャー Advent Calendar 2020" の 14 日目の記事です。

突然ですが、みなさん今シーズンの成績は何打数何安打でしたか?

もちろん野球ではなくPMとしての成績のことです。

今回は、今年自分がPMとして残せた結果を野球風に振り返ってみて得た気付きや考察についてお話します。
少々野球ネタが多いですが、多めにみていただけたら幸いです。

なぜやったのか

この時期になると個人でもチームでも1年間を振り返ることが多いと思います。
私も例に漏れず「振り返ってみよう!」と思いました。
どうせなら来年以降に活かせるよう、しっかり全体の傾向と各結果の要因について深掘りもしたいなと考えたのですが、、、
「今年やった施策を1つずつしっかり振り返るのは結構大変だし、ただ振り返るだけじゃつまらないな...なんか楽しくできないかな」と考えた結果「各施策の結果を野球風に評価してみよう!」ということにしました。
こうしてキャッチーにすることで振り返りやすくしつつ、数値化もしやすいようにしました。

「PMの成績を各施策の成功数に置き換えるのはどうなの?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、「What=何を作るか、に責任を持つ」というPMの一つの役割において、その作ったものが意図した結果になる(=ヒット)数を増やすこと、その確率(=打率)を上げること、時に大きなインパクトを残す(=ホームランを打つ)ことはPMの成績を表す一つの指標になるのではと思っています。
ですので、これでPMの仕事のすべてが評価できるとは全く思っていません。
あくまでキャッチーな振り返りの一つとして捉えてほしいなー、という気持ちでやってみました。

本題から少しずれますが、リストアップした施策は、当然すべてがPM自身で企画・発案したものではなく、ビジネスサイドから上がってくるものも多くあります。その施策が仮に「凡打」だったとして、それは企画が悪いのではなく、作るものを決めたPMの結果として「凡打」だったという考え方をしています。どんなにダメな企画だったとしても、それを実施することに合意したのはPMですし、合意したのであればそれを良い結果にすることに責任を持つのもPMですから。(来年はもっとそういうスタンスで取り組もうという自戒をこめて。)
※念のため、企画をdisっているわけではありません。そもそも自分が企画したショボ企画もたくさんあるので。。。

どうやったか

さて、前置きはここまでにして、ここからは具体的にやったことと、学びなどを書いていきます。

①各施策を評価

振り返り方は単純で、まず今年行った施策・案件をリスト化し、結果を「ヒット」「三振」「ホームラン」などと分類していくだけです。
分類の基準に厳密さは必要なく、自分の中で何となく同じ基準で評価できれば良いと思います。

例えば私の場合、以下のように分類してみました。
・施策の意図した結果は残せた→「ヒット」
・施策の意図した結果が残せ、KPIへのインパクトも残せた→「タイムリー」
・施策の意図した結果は残せ、KPIへの大きなインパクトや今後のプロダクト成長に寄与できた→「ホームラン」
・その施策自体で結果は残せていないが、後続施策への示唆になっている→「四球」
・運用的な案件→「犠打」(ちなみにこういう案件で障害等になったものは「バント失敗」にしています)
・意図した結果は出せなかった→「凡打」
・これはやる意味あったのだろうか・・・→「三振」

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※黒塗り部分は案件名が記載されています。
ただ単に○×を付けるよりキャッチーに振り返りができるので楽しいです。
(結構数が多いので、心が折れないようにキャッチーさは結構大事です)
また、「これは打点2だな」とか「これはツーベースだな」とか、成功度合いの微妙なニュアンスも表現しやすいのもありがたい。

②評価の結果を集計する

次に、その結果を集計してみます。
私の成績はこんな感じでした。
打率 .321
本塁打 1
打点 7
OPS .764

(OPSは趣味要素が強いのでスルーで結構です。打率などの正確な計算方法は割愛します。)
野球選手とすれば打率は良いですが長打力に欠けていますね〜
と言いたくなりますが、もちろんこれはPMとしての成績なので、野球の基準で見るのは当然まったく意味がありません。
PMの成績として見てみると...感覚的にはいまいちな成績という気もします。

さて、こうして数値化してみると、他人と比較したり世のPMの平均値を知りたくなりますが、個人的にそれはあまり意味がないかなと考えています。
プロダクトによって、ヒットの打ちやすさは異なってきますし、開発体制や規模によって、そもそもの打席数も変わってきます。
さらにはその人自身の評価基準によってもヒットかそうでないかの差が出てきますので、かなり個人差が出るのです。
(ちなみにPMではありませんが、著名なマーケター森岡毅さんが著書で紹介していた成績は64打数63安打(打率.984)だそうです。)

一方で、絶対比較として、例えば1年前の自分の成績と比較するならばある程度意味があると思います。
「去年と比べてヒットが5本増えた」「ホームランが2本増えた」「打率が1割上がった」など。
もちろんプロダクトの状況などは変化しますので、単純に上がったから100%OK、と言い切れませんが、ひとつの指標としては意味があるかなと思います。

ここで大事なのは、単純に成績だけを見て一喜一憂するのではなく、自分が上げるべき数値は何かをきちんと意識することです。
例えば「ヒットの数を増やすべき」なのか「打率を上げるべき」なのか「ホームランや長打を増やすべき」なのか、プロダクトの状況やフェーズ、自分の役割等によっても意識すべき数値は変わってくるはず。
どの数値を上げるかを意識した上でアクションに落とし込み、半年や1年後などに振り返ることで、自分の成長も実感できるのでは、と思います。

③数値の深掘り

さて、自分の成績が数値化できたところで、次に行うのは数値を深掘りしてみることです。
数値を深掘りしてみることで、案件や施策の偏りを認識できます。

先ほど「野球選手とすれば打率は良いですが長打力に欠けていますね〜」と冗談っぽく書きましたが、PMの成績として見てみても「単打が多くてしょっぱいなぁ・・・」といったことを感覚的に感じることができます。

さらに、実際に施策の中身を見てみると、「これじゃあ打っても単打にしかならないし、打点も上がらないよなあ」という施策が多いことに気が付いたりするわけです。
また、「なんかバントばっかりしてない?(=運用多くない?)」というそもそもの案件の偏りを認識できたりもします。

PMの皆さんは毎日毎日必死に打席に立っていると思いますし、来た球を何とかヒットにすることに全力を注いでいると思います。
ただ、そんな中で案件や施策の偏りを把握し続けるのは難しかったりします。
私がまさにこれで、結果的にいくら積み重ねてもインパクトの少ない施策をやっていたかも...と気付きを得られました。
普段は中々俯瞰する余裕がないかもしれませんが、年に1度は自分の打っている球やバッティングフォームを見直してみるのも良いのではないかなと思います。

④各施策の深掘り

最後に、各案件の内容について、「なぜヒットが打てなかったのか」「逆になぜヒットが打てたのか」「このヒットはホームランにできなかったか」といったことを要因まで深掘りをします。
最後にして、これが一番大事な作業です。

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※内容は一部抽象的にしています。

PMとして有限なリソースの中で成果を最大化するために、再現性高くヒットを打っていくことが重要です。
そのためには各案件の内容をしっかり振り返り、次に生かすことが重要です。

普段の業務で単独案件の振り返りをしている方は多いかと思いますが、改めてまとめることで「こういう失敗が多いな」とか「成功するときはこういう共通点があるな」といった傾向を見つけることができたりします。
傾向によって「特に意識すべきこと」に注力できれば、それだけでもかなり効果があるのではと思います。

例えば私の場合は
・リリースすることに目が行きすぎて、どうやったらユーザーに使ってもらえるか、気がついてもらえるかが疎かになった結果、リリースしたけど使われないということが多い。逆に成功したものはそこがクリアできていた。
・そもそもインパクトがどのくらいあるのかという評価が事前に疎かになっていた。成功しているものは、母数等を考えた時にインパクトが見込めるものだった。
などが多く該当していました。

ある程度共通していそうな成功要因・失敗要因の数を集計し多い順に並べ「勝利の方程式」と名付けると、(また野球ネタ・・・)今後の案件で意識しやすくなるかもしれないですね。

PMは打率を上げるべきか?ホームランを打つべきか?

先ほど「自分が上げるべき数値は何かをきちんと意識すること」が大事だと述べました。
「プロダクトの状況やフェーズ、自分の役割等によっても意識すべき数値は変わってくるはず」とも述べました。
上記が大前提として、個人的な見解としては「ヒットの数を増やすこと。それも、当たりどころによってはホームランになるようなヒットを打っていくこと」がPMとしては大事かなと思います。

ポイントは打率を上げればいいということではないということと、ただヒットを打てばいいわけではないということです。

打率が高いことももちろん良いことではありますし、ヒット数を増やすという目的へのアプローチとしては非常に有効だと思いますが、そこにこだわりすぎて計画に時間がかかりすぎてしまうなど、そもそものヒット数が減ってしまっては意味がありません。
逆に、打数を増やすことにこだわりすぎて雑な案件が増えるのもNGです。
ヒット数は打数×打率なので、この両方を上げるように活動していくべきですね。

また、ただ単にヒットを増やすだけでは「結果的にいくら積み重ねてもインパクトの少ない施策」になりかねません。
PMとしては「その施策が最も威力を発揮した時にどこまで結果が伸ばせるか」を意識しつつ、「ホームラン狙いのブンブン丸にならない(=威力のある大味な施策ばかりにならないようにする)」というバランス感が大事かなと思います。

イチローのようにヒットの理由を説明できるようになれ

僕は天才ではありません。なぜかというと自分がどうしてヒットを打てるかを説明できるからです。

あのイチローさんの有名な言葉です。
PMも成功の再現性を高めるためにはヒットを打てる理由が説明できるくらい、根拠を持って成功することが大事だと思います。

そのために重要なのは成功理由をきちんと振り返ること。
失敗した案件について反省をすることはよくありますが、成功した案件の理由を深掘りすることは少ないものです。
「なぜこの施策は成功したのか」を分析し、共通点を探すことで「勝利の方程式」が見つかるかもしれません。

おわりに

個人的な趣味でだいぶ野球色が強くなってしまいましたが、日々の仕事を自分の趣味と絡めて振り返ることで、新たな気付きが得られることもあるかなと思います。
みなさんの振り返りのヒントになれたら幸いです。

来年、あなたは何本のヒットを打ちますか?

それでは、また!

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