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35年後の通学路。

地元四日市に新しく事務所を借りることになった。しかも生まれ育った町が6丁目で同じ町の5丁目にある物件の2階を縁あってお借りすることになった。今日は天気が良かったのと15時から散歩に出かけると宣言してしまっていたから14時50分ごろに事務所を出てサンダルで歩いた。

事務所の隣には幼稚園があって、園内に咲いているのか金木犀の香りがフワッと鼻に届いた。今年始めて金木犀の香りを嗅いだ。秋になれば金木犀の香りなんてどこからでも漂ってくるはずなのに、間違いなく今年始めてだった。というのも自宅の周辺には金木犀が植えられている場所がない。

ボクにとって金木犀には子供のころの記憶を蘇らせるスイッチのような働きがある。なぜなら生まれてから中3まで暮らした社宅の敷地にたくさんの金木犀が植えられていて、毎年秋になると便所の芳香剤の8倍ぐらいの強い匂いを放っていたものだ。だから金木犀の香りを感じるとあのグレーな社宅の雰囲気を思い出す。楽しい事しかなかった子供時代。

新しい事務所は小学生の頃歩いていた通学路から一本北にある通りに面していて、比較的車通りが多いので当時の通学路は一本南にある細い道と決められていた。今日は金木犀の香りを感じたせいか、ふとそこを歩いてみようと思い、爽やかなオッサンの雰囲気はどうすれば醸し出せるかを考えながら歩いた。小学生の下校時間の15時にフラフラと町内を歩いているパーマヘアのオッサンなんて通報されても文句を言えないと感じたからだ。最近は不審者情報がすぐにLINEやグループメールでシェアされる時代。新事務所設置から1週間あまりで不審者扱いされたらたまったもんじゃない。

iPhoneじゃつまらないので一応RICOH GRをケツのポケットに突っ込んで歩いた。不審者っぽい上に写真まで撮ってたらもう言い訳もできないよなと思いつつ、今日の散歩道で数枚シャッターを切った。

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35年ぶりに歩いた35年前の通学路は随分様変わりしていて古い建物がほとんどなく、住宅街になっていたり賃貸アパートが建っていたり、携帯ショップがあったりコンビニがあったり。当時からあった床屋だけは今も営業していた。一度も髪を切りに行ったことはないけど、その近所に住んでいた1コ上の子がいつもその脇の道を巨大なプードルを連れて歩いていた様子を思い出した。あのプードルはホントでかかった。遠巻きに見ても全然可愛いと思えなかった。そもそも犬アレルギーだし。

35年前、いや小5の時だから36年前だったかもしれない。当時一番仲が良かった友達と通学路にある1本の電柱に大切なものを隠していた。電柱の自分の身長ぐらいの位置に足場を刺す穴?のようなものがあり、そこに小さく折りたたんで隠していた。学校の帰り道にその秘密の電柱に近寄って穴からそれをさっと引っ張り出し、ちらっと見てまた戻す。そして残りの帰り道でそれを見た感想に花を咲かせる。咲かせてたかな?

そのお宝はワンカップ大関のラベルだった。分かる人にはわかると思うけど、当時ワンカップ酒のラベルの裏側には金髪美女のヌードピンナップが印刷されていた。それをきれいに剥がしたものを小さく丸めて穴に隠していた。二人の少年は小麦色の肌をした金髪美女が印刷された小さい小さい紙切れを見てどんな気持ちだったのだろう。そしてあの紙切れは最後どうなったんだろう。

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そんなことを思い出しながらカメラをぶら下げてニヤニヤ歩いていたらいよいよ怪しいんじゃないかと気づいた。途中何人もの小学生とすれ違い、そのたびに頭部に視線を感じた。夕暮れの前の時間は気持ちが良いので、ご近所に怪しまれずに散歩を楽しめる方法を考えなくてはいけない。

四日市のオフィス&スタジオ、ぜひお立ち寄りください。

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