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ロックは始まらない。

久しぶりに実家に行った。

姉のところの姪っ子が高校に入学、甥っ子が中学に入学した今年、お祝いをしようねといいながら自粛していたため、自粛期間が明けた6月末の日曜日に実家に集まってお祝いした。

高校に進学した姪っ子は軽音楽部に入ったらしく、ベースを始めることにしたらしい。

ちょうど実家に集まった日の前日に島村楽器へ行き、ベース本体とチューナーやらアンプやら周辺アイテム一式を買ってもらったと喜んでいた。

親に全部買ってもらえるなんていい時代だ。でも始まり方としてはロックじゃないな。



ボクが高校1年でエレキギターを始める時、ばあちゃんに借金してフェンダーJAPANの黒いストラトキャスターを購入した。安物だった。アンプは買えなかったからラジカセに繋いだ。

あの時買った、駅前の第一楽器・わんわん(ヤマハ系店舗)は無くなった。


ギターを買う前、ギター&バンドをやることを親父に相談したら「エレキギターなんてダメだ。不良なのか?勉強と水泳がおろそかになるからダメだ。」みたいなことを言われて買ってもらうどころか、親にお金を借りて買うことさえ許してもらえなかった。

「不良なのか?」という言葉を使ったかは忘れたけれど、それに近いニュアンスで受け取めたことを記憶している。

でもそのニュアンスを振り切ってばあちゃんにお金を借りてギターを買った自分がとてもロックに感じた。


親の反対を押し切ってエレキギターで青春するんだ。自分がイメージした通りな《ロック》の始まりだった。


小6ぐらいの頃、3つ年上の姉の影響でブライアン・アダムスやコステロなんかを聴いていて、わりと小さい頃から洋楽を聴く環境にいた。中学になってからは先輩の影響でラウドネスやドッケン、ホワイトスネイクなんかを聴いていた。その頃からロックは始まっていたのかもしれないが、生き様としてのロックは高1の春に始まった。


姪っ子のベースの話にもどる。


高校入学と同時に軽音部に入りベースを買って2日目の姪っ子。その話は全く知らず、実家に行ったその日からうちの長男(小6)がドラムの練習を始めていた。偶然にも。

ドラムの練習と言っても、YouTubeを見ながら箱と厚めの本を並べて、菜箸をスティック代わりにしてエイトビートの練習を始めたところ。リズムを刻むだけで、とてもドラムを始めたと言えるレベルのものではない。

実家で姪っ子が「ベースを始めたんだよ!」と言ったので「おお、偶然だな。◯◯(長男)は今日からドラムを始めたんだよ!」とボクが言った。


「いっしょにバンドやればいいじゃん!」とボクの姉が言った。


「いいじゃん、いとこなんだし、バンド名は《カズン》じゃん。」と姉がさらに言った。


「嫌だ、めちゃくちゃダサいんだけど。」姪っ子が言う。


かつてカズンという従兄弟グループがいて(いまも活動されてるんだったらごめんなさい)だな、ナントカ〜っていう歌がヒットしたんだよ。と説明するボク。


ボク「カズン令和だな」

甥っ子「いや、平成生まれだから、カズン平成でしょ」

全員「ぎゃははは。」


ベースを始めて2日目の姪っ子、ドラムの真似を始めて1日目の長男、ギターもボーカルも不在でバンドなんて。しかもカズンだなんて。笑


きみたちのロックはまだ始まっていないな。




そう言えば思い出した。始めて買ったストラトキャスターのお金、ばあちゃんに返してなかった。ばあちゃんごめん、ちゃんと返済しないあたりもロックだよね。


当時のカズンの映像が見つからなかったので、尾崎紀世彦と鈴木蘭々が唄う「冬のファンタジー」を貼っておきます。


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