ツイッターで書いた妄想物語まとめその12

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ちっちゃい用事から済ませていったら大きいのが残った。当たり前だった。
ちっちゃい問題から考えていったら大きい問題が残って絶望する探偵とかポンコツで可愛いかな。

「現場の状況を確認しよう。まず、靴が揃えてある。これは、死ぬまでに多少時間に余裕があったということだ。ベルトが緩めてあるのは、締めたままでは本人が動きにくい、または犯人が動かしにくい状況をだったということ。ひげが伸びているので、少なくとも2日は手入れできない状況、またはしなくてもかまわない状況だったのだろう」
遺体の爪を、1本1本調べる。汚れはないので、衛生は保てる場所で過ごしていたのかもしれない。それが果たして、自分の意思なのか、犯人にそうさせられていたのか――
「あ!! 密室!!」
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よく来たな勇者よ。もしわしの味方になるなら、頭痛の半分をお前にやろう。もう半分は優しさでできている。あたまいてえ。頭痛がいてえ。頭が弾けそうだからいっそコロシテ……

等々、思考が訳わからん方向に行く程度に頭が痛いのでいまから薬を飲みますそのために起き上がりたい
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薄暗い部屋で、カーテンの隙間からかすかに差し込んだ月光が、君の眼球の丸みを照らしていた。
ぬるりとした水膜に包まれる瞳はきっと、ほのかに温いのだろうな。
頬に手を伸ばす。
存外冷たかった皮膚を親指の腹で撫でながら、朝が来ないで欲しいなどという、人類の歴史で思われ尽くされたであろう気持ちを抱いた。
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10代のころの僕は、すさんでいた。23歳くらいて死ぬのかなとぼんやり思っていて、それ以上生きるなら、本当にどこにでもいる普通のおじさんになって、結婚したり子供がいたりという狭い幸せの定義を信じて疑わない思考停止状態で、家族サービスをし老いて寿命で死ぬと思っていた。
降雪に対して無邪気にはしゃげたころは、きっと幸せだった。暮らしはすさんでいたかもしれないが、自分が幸せになる方法を求めて消耗したりしない日々は、きっと良かった。戻りたいとは思わない。ただ、こんなことを懐かしむ年齢になったことだけは胸に刻まないといけないと思う。
雪の予報の前には、いつもそんなことを考える。そういう大人になることを予想していた時点で、僕はただの疲れた10代だったし、ぬるっと滑らかにそのままの大人になっただけだ。あすの電車の遅延を気にする自分に興醒めしつつ、ほんの少しだけ、無為徒食のユートピアに思いを馳せたりはするけど
(了)
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なぜかさっきから、雨雪氷雨(あまゆきひさめ)さんという謎の人物名が頭から離れなくなり、まじでどなたですか。なんか前にもこんなことがあった気がするんだけど、なんだったか忘れたしどうやって解決したかも思い出せない

「観念しろ、松田朝子。――いや、雨雪氷雨」
「!」
女の目が大きく見開かれ、顔色が消えてゆく。
「な……何言ってるのよ。雨雪氷雨は死んだでしょ? 皆、皆見てたじゃない! ねえ、そうでしょ!?」
一同は顔を見合わせ、戸惑っている。僕は銃口を向けたまま続けた。
「いや、雨雪氷雨はお前だ」
「じゃあ、あのとき塔から飛び降りたのが松田さんだったってことですか? 入れ替わった……とか?」
「それも違う。あのとき飛び降りたのも、いま目の前にいるその女も、雨雪氷雨だ。お前は飛び降り、松田を騙って戻ってきた。本物の松田は監禁されている」
「違う! 私は雨雪氷雨じゃない!」

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