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 真夜中の放浪。
 段ボールとスプレー缶を持って、昨日見つけた、僕のキャンバスへ向かう。
 レンガ造りの壁が、おあつらえ向きに、階段のように汚れている。
 シンプルなシルエットを切り取った段ボールを押し付け、黒いスプレーを噴きつける。
 祈るようにそっと外すと、思ったとおりのステンシルができた。
 僕の痕跡、ひざを抱える女性の影。
 誰かのバフ、または清掃局員がこれを消すとき、僕は擬似的な他殺を味わうのである。

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