見出し画像

スポーツ医学塾番外編 いわきFCメディカルチェック

📚はじめに

 2023年1月12日(木)に、塾長の齋田良知先生と副塾長の福島理文先生、山本奈内子先生がチームドクターを務めていらっしゃる、いわきFCのメディカルチェックに参加させていただきました!

 いわきFCのYouTubeチャンネルで当日の様子が紹介されていますのでこちらもぜひご覧ください⚽

✅いわきFCとは

 いわきFCは福島県いわき市を拠点とするサッカーチームです。2012年に設立後、福島県2部リーグからスタートし、県リーグ、東北リーグ、JFLとステップアップしてきました。そして去年J3リーグで優勝し、来年度からJ2リーグに所属します。
 いわきFCでは、「いわき市を東北一の都市にする」「日本のフィジカルスタンダードを変える~魂の息吹くフットボール~」「人材育成と教育を中心に据える」という3つのビジョンのもと活動しています。なかでも齋田先生が中心となって取り組まれている、医学的根拠に基づき選手ごとにパーソナライズされたトレーニングは、選手の強化やケガ予防に効果を挙げていることから全国から注目を集めています。
 いわきFCの快進撃に来シーズンも目が離せません!

✅メディカルチェック

 メディカルチェックでは、様々な項目の検査をしていきます。
 まず選手登録に必要な採血、採尿、心電図、心エコー、胸部レントゲンなどの検査を行い、病気や栄養状態のチェックをします。さらに、遺伝子検査や筋力測定、Y-Balance Test(YBT)、タイトネステストを行うことで選手ごとにケガ発生のリスクをチェックします。また、ケガ発生のリスクが高い選手やケガの既往がある選手に対しては、ドロップジャンプやカッティング動作を三次元動作解析装置によって、動作の特徴を可視化・数値化していきます。加えて、脳震盪前の認知機能評価として認知機能検査・SCAT5を行っていました。
 今回のメディカルチェックで得た測定結果が1年間戦う選手たちのベースラインとなっていきます。

検査項目とその目的

 実際に学生が検査を担当させていただいたSCAT5、YBT、タイトネステストについてご紹介します。

Y-Balance Test (YBT)

 YBTは片脚立ちからの動的運動を測定する検査で、筋力、柔軟力、体幹力、体性感覚などがしっかりと機能しているかをチェックします。スポーツパフォーマンスの評価によく使用されているもので、左右の非対称性が大きい場合に問題とされます。このように慢性的な足関節や膝関節の問題を判別し、怪我のリスクの高いアスリートへの早期対策などに活用されています。

【実施方法】
 片脚立位となり、対側下肢を3方向(前方・後方外側・後方内側)にどれくらいリーチできるかを計測するテストです。
 開始肢位は片脚立位で、直立して手を腰に当てます。リーチする下肢を床から浮かせたまま目的の方向へ伸ばし、床につけず直立に戻ります。この際リーチ距離を測定します。これを3方向実施します。もし、途中で支持側の踵が浮いてしまったり、手が腰から離れたり、リーチする下肢が床についてしまった場合は再計測となります。

【実際に計測して】
 プロアスリートである選手を実際に計測し、既往歴のある選手やリハビリ中の選手などは結果に顕著に表れていました。YBTは、サッカーに限らず様々なスポーツで実施されていると思いますが、片脚で支持しボールを蹴ることや多くのスプリントを主体とするサッカー選手にとって、状態の把握として非常に有用であると実感しました。

SCAT5

 SCAT5は、医師や専門の医療従事者によって「脳震盪を適切に評価する」ための標準化されたツールです。10分以上かけて正しく実行する必要があります。またSCAT5は13歳以上の脳震盪を評価するために使われ、12歳以下には「ChildSCAT5」を使用します。シーズン前にSCAT5を実施しておけば受傷後の評価にも役に立つため、定期的な評価がアスリートの状況把握に有用です。
 項目は、
・現場での緊急対応
・症状の評価
・認知機能の検査(見当識、即時記憶、数字の逆唱、曜日の逆唱)
・神経学的評価(指鼻試験、継ぎ脚歩行、閉眼での立位バランステスト)
・遅延再生
・脳震盪の診断
があります。各項目の点数を計算し状態を判断しますが、SCAT5の点数のみを根拠に脳震盪と判断をすることは適切ではありません。必ず救急医療機関での受診や、医師との相談の後に判断することが必要になります。

SCAT5

タイトネステスト

 タイトネステストでは、選手の関節可動性や柔軟性を検査するためにSLR、HBD、股関節内旋可動域、足関節背屈可動域を測定し、数値を記録します。
 テストの際に選手から、「ここの部分は硬いんですよね」「この結果ってどうなんですか」などの話がありました。選手自身が体について深く理解しようという姿勢が伝わり、さすがプロの選手だなと感じました。私たちが検査結果から分かることを素早く導き出し、選手に伝えていく力が重要だと実感しました。また柔軟性など測定結果が選手によって大きく異なり、個々に合わせたケア方法の提案も大切になってくると改めて感じました。

📚最後に

 今回はいわきFCのメディカルチェックのサポートという貴重な機会をいただきました。
 実際にプロ選手にテストを実施する機会をいただき、素晴らしい経験をすることができました。シーズン前の評価は、選手だけでなく評価者においても重要性が高いと感じました。それは評価を数値として残すことでシーズン中のコンディションとの比較ができるためです。コンディションの変動にいち早く気づき治療・予防することは、選手やチームにとって大きなメリットになると思います。その一部に携わることができて本当に嬉しく思います。  
 今回は貴重な機会をいただきありがとうございました。

集合写真📸

最後までご覧いただきありがとうございました。
                       文責:秋山・吉澤・矢島

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?