見出し画像

海外のパッションエコノミーサービス70社のリストを公開

パッションエコノミーに関するサービス70社分のデーターベースを見たい方はこちらから申込みをしてください(無料)

個人が自分だけの経済圏を作ることができる「パッションエコノミー」のトレンドが、コロナの影響もあり日本でも盛り上がってきました。具体的には、FoundXさんのこちらの記事でご覧いただければと思いますが、

一言で言うと、"どんなクリエイターでも自分の個性をビジネスに変換できるサービスやツールが急成長しているというトレンド"です。

このトレンドは特にアメリカで先行しているのですが、体系的にまとまった情報は日本語だとまだまだ少ないため、パッションエコノミーを提唱したa16zのliさんのニュースレターなどを参考に海外のパッションエコノミーに関するサービスのデータベースを作ってみました。ピックアップしたサービスの定義はざっくり以下です。

1. サービス提供者の個性を強調するマーケットプレイス、またはサービス提供者のビジネスを可能にするツールであること
2. 「モノ」ではなく、「サービス」を提供する事業者を対象としたプラットフォームであること
2. 海外スタートアップであること

断片的な情報を元に整理したので抜けている企業があるかと思いますが、その際はぜひTwitterFBにご連絡をお願いします。

リスト共有について

画像1

リストはこんな感じで「サービス名」「設立年」「本社所在地」「カテゴリ」「ラウンド」「累計調達額」「サービス概要」「各種リンク」を日本語でまとめています。

お手数ですが、閲覧したい方はこちらから申し込みをお願いします▶https://forms.gle/Lx6vZAF2WSgsXERx5
※もちろん無料です

ここからはカテゴリ別に特に気になったサービスをご紹介します。ざっくりパッションエコノミーのトレンドを理解したい方はぜひご覧ください!

教育・オンライン学習(22社)

一番多かった「教育・オンライン学習」の分野は、元々オフライン教育からオンライン教育へのマクロトレンドで成長していた市場ですが、コロナの影響でさらに成長が加速しています。

中でも興味深いサービスを3つ紹介します。

画像2

ツール型のサービスの代表例であるteachableは、動画を始めとしたコンテンツをアップロードするだけで誰でも簡単に自分だけのオンラインスクールを構築できるサービスで、料理、語学学習、フィットネス、ビジネスなど非常に多様なシーンで利用されているサービスです。公式サイト上の数値だと既に登録講師が10万人以上いるとのこと(最低利用料金が月額29ドルなので、ざっくり月の売上が最低でも290万ドルになります。すごい...)。

画像3

マーケットプレイス型の代表例は2010年に設立されたUdemyで、累計250億調達しており、ベネッセも出資しています。Udemyは誰でもオンライン講座をプラットフォームに投稿して販売できるサービスで、一度講座を作ってしまえば集客もする必要なく自動的に売れ続けるので、講座は作れるけど集客が自信ないという方にはうってつけのサービスです。

ただ、Udemyはサービスの売上手数料が50%も取られてしまうため、Udemyで集客を行いつつ、認知度が上がってきたら先述のteachableなどで自分のサイトを立ち上げてオンライン講座を販売するのが良いかもしれません。

ちなみに、現在日本ではオンラインサロンが盛り上がっていますが、アメリカでは3年前くらいから主催者の手間が大きいオンラインサロンから、一度教材を作ってしまえば工数をかけることなく運営できるオンラインスクールに移行する知識系インフルエンサーが増えたそうです。日本でもこの流れは起こりそうですね。

画像4

最後はWonderschoolというサービスで、自分の家で乳幼児向けのプログラムや幼稚園を始めることができるサービスです。

アメリカのカルフォルニア州では約75%の子どもがチャイルドケア施設を探せずにいるという課題があるそうです。そこでWonderschoolは、施設開設のためのライセンス取得や生徒の管理、集客の支援をすることでチャイルドケア施設の運営のハードルを下げ、この課題を解決しようとしています。

ちなみにこのWonderschoolを利用している保育士の年収は一般的な年収の倍額稼いでいるようで、保育士の年収向上にも貢献しているようです。

音声・ポッドキャスト(16社)

音声・ポッドキャスト領域は16社でした。最近はstand.fmなど日本でも盛り上がってきた音声領域ですが、海外では同時に複数のプラットフォームにポッドキャストを配信してくれるAnchorなど配信者をサポートするようなサービスも出てきています。

中でも気になったサービスを2社ご紹介します。

画像5

Knowable特定のトピックを体系的に学べるオーディオ学習プラットフォームです。他の音声サービスと異なり、学習に特化している点が特徴で、例えば「スタートアップの立ち上げ方」や「不動産投資の方法」などをレッスンのような形で進めていく具体的に深く学ぶことができます。

コンテンツはKnowable自身が作成しているものと、ユーザーが自分で作成して販売しているものがあります。そういう意味では先述のUdemyの音声版に近いかもしれません。

画像6

2つ目はポッドキャスト配信者向けのオーディオ編集ツールDescriptです。

ポッドキャストの作成は編集が大変なのですが、Descriptを使うと録音したトーク内容を全部テキストで書き起こしてくれて、そのあと余計な内容があれば削除できたり、追加したい内容があればテキストで追加するだけで自分の声の状態で読み上げてくれるという優れものです。

ブログ・ニュースレター(5社)

ブログ・ニュースレターのサービスは非常に様々なサービスが存在しますが、パッションエコノミー文脈では5社でした。

代表例は2017年にリリースされたSubstackで、誰でも簡単に有料or無料のニュースレター(メルマガ)を配信することができるサービスです。

画像7

有料ニュースレターを配信するのに必要な機能(配信システム、サイト作成、会員管理、決済など)がすべて含まれており、技術に疎いライターが自身で有料ニュースレターを始める際に利用されています。

なぜ今さらニュースレターなのか?について、Substackに投資するa16zは、多くのメディアのビジネスモデルである広告モデルが今後変わっていくこと、そしてライターの多くが自分で直接購読者を保有したいと考えていることからSubstackのような個人のライターをエンパワーするサービスが流行ると考えているからだそうです。

最近は日本でもSubstackを使う方がスタートアップ/VC周りで増えてきた気がします。個人的には毎週海外のトップティアVCの投資した企業を紹介する週刊トップティアVCANRIさんのニュースレターを購読しています。

画像8

メンバーシップ・コミュニティ(5社)

メンバーシップ・コミュニティはクリエイターが自身の会員サイトを作ることができるツール型のサービスがメインでした。

代表例はPatreonで、元々Youtubeで音楽活動を発信していた方が始めたサービスですが、今年の9月にはユニコーンとなりました。具体的にはYoutuberなどのクリエイターが月額制のメンバーシップツールを簡単に作成できるサービスです。

他には、クリエイターやスポーツクラブ、学校向けに独自のコミュニティサイトを簡単に作成できるツールを提供するイギリスのDisciple Mediaがあります。

画像9

日本でも例えばオンラインサロンを運営する際に、決済はCampfireコミュニティ、コミュニティ運営はFacebookのグループを使う方が多いと思いますが、Disciple Mediaはこれらをすべて一つのツールでカバーできるようにするサービスです(アップグレードするとアプリでも提供可能)。

一つのツールで管理することで、顧客情報を重複して管理する必要がなかったり、メンバーのエンゲージメントを詳細に分析することができます。

プロコーチ(5社)

プロコーチのサービスも5社ありました。

例えば、設立1年未満で$10M調達したsuperpeer専門家が有料の1対1ビデオ通話やライブストリーミングを簡単に提供できるサービスです。

画像10

日程調整から決済、ビデオ配信システムを一気通貫で提供しており、一定のフォロワーを抱えている専門家からすると自身の知見をすぐにマネタイズすることができるツールです。

さらにお互いに不幸にならないように、ユーザーの採点システムを作ってクレーマーを事前にフィルタリングできるようにしたり、適切な回答が得られないということがないように利用規約違反だと感じた通話について返金希望を受け付けるような対応もしているそうです。

フィットネス(4社)

フィットネス領域は高単価でありトレーナーの個性が出しやすい、また、コロナの影響でオンライン化やトレーナーの独立が加速したこともあり、パッションエコノミーが加速している分野です。

まだAngelラウンドですが、アメリカのBlokSALUT、ドイツのStrydalオンラインのフィットネスクラス作成に特化したツール型のサービスです。

画像11

オンラインレッスンを始めるために必要不可欠な日程調整、予約管理、決済の機能はもちろん、ライブ配信の機能も一気通貫で提供しており、スマホで簡単にオンラインレッスンを提供することができます。

もしかすると今後食事管理や体重管理などよりフィットネストレーニングに特化した機能がアップされるかもしれません。

個人的にはこのような分野特化型のツール系サービスはフィットネスのみならず、料理、スポーツ、音楽など様々な分野で今後出てくるのではないかと思っています。

その他(セールス、ゲーム、ショッピング、インテリアなど)

最後に、その他としてセールスと、ショッピングのサービスをピックアップします。

easyuppは2019年に設立された企業で、営業担当者が任意のディーラーから車を販売できるようにするオンラインプラットフォームサービスを提供しています。

画像12

ショッピングにおいてはDumplingという自分だけのinstacartのような買い物代行サイトを作成できるサービスがあります。集客は自分で行う必要がありますが、自身のサイトで注文から決済を行うことで従来instacartに支払われていた手数料をそのまま自分の利益にすることができるため、収益UPを見込めます。

画像13

アメリカの買い物文化と比較すると日本は頻度高く、1回の買い物の金額もそこまで高くないためそもそも買い物代行のサービスがまだ浸透していませんが、Dumpling for 家事代行やDumpling for フードデリバリーのようなサービスは今後日本でも出てくるかもしれません。

最後に

そもそもなぜ今回パッションエコノミーについてリサーチしようかと思ったかというと、さまざまなメディアで取り上げられるようになってきたからというのはもちろんありますが、

パッションエコノミーは、これまでのインターネットの歴史そのものである中央集権的なプラットフォーム至上主義へのアンチテーゼであり、長らく言われ続けている個の時代の仕組みを真に体現するビジネスモデルだと思うからです。

これまでももちろん、個を強くするサービスはありましたが、それらは一部のトップインフルエンサーに焦点が当たっているものが多かった気がします。一方でこのパッションエコノミーは今までインターネットの恩恵を享受できていなかった個をエンパワーしていく仕組みであり、インターネットの次の大きなモメンタムなのではないか?と思っています。

というわけで、もしこの分野に少しでも興味がある方はぜひお気軽にご連絡ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?