Lost Toy: トイストーリー4がひっくり返した価値観とBo Peepの変貌
前章で語られたGabby Gabbyとは対照的に現代的な女性像に生まれ変わったBo。そして、かなりのサポート役に回ったBuzzの役割について。
Bo Peepの物語
Boが驚くほどキャラ変していた事に戸惑う人もいると思う。旧時代的(男が理想とする美しくて色っぽい)女性像の象徴だったBoは、1が公開された1995年には良かったものの、2019年には確実に時代遅れの存在。この変更は「妥当」だし「必要」だったと思う。今更、「カッコいいヒーローに惚れる美しいヒロイン」像はおっさんの願望でしかない。これを見る子供達に伝えるのであれば、新しいBoだ。
Boの役割はシンプル。WoodyとGGに「自由・自立」という新しい価値観を教える教師であり、Woodyの人間化を促す役割。個人的には紅の豚のジーナにキャラ被る。
シリーズの1から使われている言葉に「Lost Toy」というのがあってこれは「迷子のオモチャ」と訳されてきたが、実際は「子供の持ち物でなくなったオモチャ」に近く、1から3まででは「オモチャとして終わった(=死んだ)」存在という意味だった。しかし4になって「Lost Toyとは自由になったオモチャの事だ」という価値観の変化が提示される。
これは重大な事態で、シリーズのメインテーマの一つである「オモチャの幸福は子供に愛される事」という「所属の幸福」が4で崩された事になる。これも、25年が経って時代と共に変化した価値観なので「文句を言ってもしょうがない」というのが僕の感想。
AndyはBoに対して「It’s royalty, you like lost toy never understand」(Bonnieへの忠誠心だよ。君のようなLost Toyにはわからないだろうが)的な事を言う。この映画で「Loyalty 忠誠心」という言葉が出る事に、メチャメチャ違和感があるが、3のKenとBarbieの時もそうだったが、突然わかりやすく大人向きメッセージを入れている。
他者へ愛情を持つだけならいいが、「誰かに尽くす事が自分のアイデンティティ」になっていたWoodyと「本当にそれがあなたの望みなの?」と問いかけるBo。自分の「内なる声」を聞けというBuzzのメッセージと含めて、Woodyに「誰かの為でなく自分の為に生きる」という決断をさせる。(このテーマは完全にアナ雪と被ってる)
Buzzの役割
Buzzはこの「内なる声」というメッセージ性以外は、完全に狂言回しの役割なので、本作はBuzzファンにはちょっと辛い。しかし、最後に一番良い役が待っている。Woodyの長年の親友として背中を押す存在になった。
彼の「She is OK. Bonnie is OK」は初見では涙が止まらない最高のセリフの一つだ。
「She」がBoの意味だと思ったWoody。親友から説得されたのかと思い萎える気持ちに「男同士の友情」が炸裂。永遠に離れる事になっても「お前の好きな道を行け」という言葉にハッとするWoody。たまらん。。。
この男同士の友情がWoody、Buzzだとしたら、女性同士の友情が炸裂しているのはBoとGiggleだ。ちゃんと男性向け、女性向けとそれぞれケアしている辺りもPixarの細かい配慮が行き届いている。
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