Trash or Toy? トイストーリー4が語る「僕らは何故生きているの?」か

前章に引続き、トイストーリー4に込められたテーマについてのお話。今回は賛否両論の新主人公(?)について

Forkyの物語

Forkyは「生まれたての子供」であり「アイデンティティに悩む」人。自分には価値がない、しょせんゴミだ、と言ってゴミ箱に戻ろうとする。Woodyに「君はゴミ(Trash)じゃなくオモチャ(Toy)なんだ」と諭され、自分に価値があると思い始める。

原語では、TとTで頭韻しているのがポイント。因みに多くの欧米人にとって「子供+Trash」で思い起こされるのは「赤毛のアン」。働き手が欲しくて男の子が欲しかったMarillaは、手違いで女の子のAnneが着いた時、ショックのあまり「Orphan is trash」(孤児なんてゴミ)というきつい事を言ってしまう。そこから本当以上の親子のようになっていく物語がとても感動的。

ではゴミ(価値のないもの)からオモチャ(価値のあるもの)に変わる瞬間とは何なのか?それがForkyを通じたToy Story4の最初のテーマ。

あなたはゴミなんかじゃない。必要としてくれる人がいるから。

ただのゴミだったForkyが生まれたのはBonnieが必要とし、愛したから。これを直接メッセージとして言う事は無いが、この映画最後のセリフを思い出して欲しい。「Why are we alive?」(どうして生きてるの?と訳されているが、ニュアンスとしては「何故(ただのゴミだった)私達(ForkyとKnifey)が今(オモチャとして)生を受けて、こうやって話したりできるの?」という意味で、これにForkyは「I don’t know」と答える。もちろん彼ら自身は知らない。子供だから。でも、この映画を見守ってきた観客は「Bonnieの願い」「Woodyの献身(=愛)」によってForkyが誕生した事を見ているので、この質問に対して答えをじんわりと感じながらスタッフロールを迎える事ができるのだ。
生まれたばかりの赤ちゃんはもちろん子供にとっては、自分は何故生きているのかはわからない。でも彼ら、というか誰もが、間違いなく「愛されてこの世に生まれた存在」だというメッセージ。

命は愛によって生まれた

もうこれだけで号泣メーーンだ。

Woodyとの関係

ForkyはWoodyの子供だ。バケーションに向かう道中で自分はゴミだというForkyの面倒を見、教えを諭す姿は完全に親子そのもの。その愛情を通じてForkyはまともな意志を持ったオモチャになり、Woodyはそれを通じてオモチャの代替わりつまり「オモチャとしての引退」を進める事になる。

次回は恐怖の人形Gabby GabbyがWoodyと同じ工場で生まれた謎について。

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