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To infinity and beyond:トイストーリー4が「無限の彼方」に行く理由

「トイストーリーは3部作として完成した。4以降は蛇足。」
という意見は国内外で散見された。見ていない人は特に。
僕自身も間違いなくその1人だった。3のエンディングが、あまりに良かったから。もしそれが「あなたがまだ4を見ていない理由」だとしたら、今すぐに近くの映画館を予約してほしい。賛否両論はあるとしても、4はけして「3で完璧だったシリーズをお金儲けの為に追加した駄作」ではない。やはりPixarはPixarだったし、トイストーリーはトイストーリーだった。今日は「3が最高傑作にして最後になるべき作品だった」主義者がいかに「4こそが最高」に寝返ったか、そしてこの「あまりにメッセージが深い為にもはや子供向け作品ではなくなってしまったのか」について書きたい。完全に既に見た人用です。

まずは、振り返り。

トイストーリーにおいて、オモチャとはなんだったのか?
このシリーズの前提として、オモチャ(Toy)には幾つかの設定・メッセージが大前提となっている。
A. 誰もが遊んだ「オモチャに対する夢」を実現。
子供の頃、オモチャは物質ではなく、友達であり、物語の主人公であり、自分の人生の大事な住人だった。それを子供の夢通りに「本当は意志があって動いている。子供たちの事を大切に思っている。」と描いている。
B、人間世界のメタファーである。
それぞれの感情、嫉妬や意見の違いが存在する。オモチャは多種多様で、外見、遊ばれ方、出来ること出来ないことも違う。これはPixarのあるアメリカ社会においての「多人種国家」の例えであり、元祖トイストーリーでは「それぞれみんなに価値がある」というメッセージが提示された。

そして、これまでとの違い。

これまで3部作と、本作4の違い
4が好きでない人は、3までとのテーマ性の違いに戸惑ったかもしれない。4は「オモチャとしての幸せ」と「(おもちゃをメタファーとして)人としての幸せ」をわざと混在させた作品だ。だから3までの「オモチャ達はこんな事を考えている」という面白さはごく一部で、ほとんどの主要オモチャは「人としての感情や価値観」を語る。
あと単純に「これまでのオモチャ達」の活躍が至極薄いというのも、ファンの中で好みが別れている。活躍するのはWoodyとBoを除いてほとんど4で登場するオモチャだ。

以上を踏まえて、今回の「各キャラが持つテーマ性」を分解すると、以下のようになる(と思います)。以下ネタバレします。

4の登場人物が背負ったテーマ
・Forky:Woodyにとっての「子供」、「生命が生まれるとはどういう事か」
・Gabby Gabby:3までのオモチャの価値観と旧来の女性的価値観を持つ「愛されたい」少女。Woodyにとって「懐かしい」存在
・Bo Peep:Gabby Gabbyとの対照キャラクター。新しい女性的価値観を持つ自立の象徴。Woodyにとって新しい自分(=人間)
・Woody:Andyに変わって「流れ行く時間」を引き継ぐ存在。「親になる事」「老いる事」について。
・Buzz:自分と違う道を行くWoodyを理解し応援する親友。「友情とは常に一緒でなくても続くもの」また、「仲間がいるから前に進める」という旧来のメッセージを体現。

そして登場キャラ(オモチャ)達を次の3タイプに分類して、各キャラが背負ったテーマについて、次から詳しく書いていきます。
・オモチャに「なる」:Forky, Knifey
・オモチャで「い続ける」:Buzz, Gabby Gabby, Bonnieの元に残るオモチャ
・オモチャで「なくなる」:Woody、Boとその仲間達

次回は、謎すぎる新キャラ、Forkyについて

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