DEEPのFCイベント「Thank You」に参加した話

仕事が終わらなくても、トラブル対応に追われても、音楽は人を救う。

 大変な1日だった。文字通りのHard Day である。ただ大抵のクソ事案は「まあ俺このあとDEEPのライブ行くしな」で片付けた。何も終わってない仕事を終わったことにして職場を後にし、2分3分の際どい移動時間の隙をついてなんとかライブハウスへ辿り着いた。
 ライブハウスというやつは馴染み深くもあり、同時にものすごく客としては緊張する代物でもある。個人的にはアリーナ育ちの人間なので(たぶんアリーナレベルの規模がいちばん回数行ってる)、ライブハウスの距離感に許される相互作用感というか、誇張なしにマジでひとりひとり目が合う緊張感に射抜かれそうになる。ミュージシャンはステージの上の姿が最も輝くとはいえ、何者でもない己がまっすぐミュージシャンと対峙すると身震いするし足がすくむ。それはたとえほぼ満員の、キャパぎゅうぎゅうのライブハウスであったとしても同じだ。

 DEEPというグループと出会ったのは恥ずかしながらものすごく最近のことである。たぶん去年の夏だったと思う。DEEP SQUADの担当するナガシマスパーランドのCMソングがきっかけだった。どうして今まで知らなかったのか自分の方が訊きたい。確実に好きなはずのものと出会わずに人生無駄にしたな、と思うことがここ3年ほど立て続けに起こっていて、時間の不可逆性と無情を思う。ただ嘆いても今より前の時間はなく、少なくとも今こうして出会っているのだからいいじゃないか、と己を納得させる以外ない。さらに沼が深まるのはWHHにどハマりしてのことだが(別項で触れているので詳しくはそちらを…)気がつけばDEEP LINKまで加入していて己の狂い方が怖い。
 ちょうど加入して間もない頃にFCイベントの存在を知った。何かに導かれているような心地でチケットをとり、今日の日を迎えてしまった。明日の仕事のことは一切考えない。最高の選択だった。出会うのは遅かったが、出会ってからの選択はいつも間違っていない。何事もそうだ。

 結論から言うと最高に最高を超越されてちょっと言葉がない。冒頭で述べたライブハウスの緊張感は音に全身を支配されてふわふわと脳内物質で気持ちよくなる、内臓に音響がダイレクトに響いてくるあの感覚と表裏一体で、しばらく味わってなかった音圧に背筋が震えるくらい感動した。声が良い。声がものすごく良い。磨き上げた人間の声ってどの楽器よりも美しく聴こえる。おそらくそれは私が他ならぬ人間だから同種の生き物の発声に殊更注目がいくようにできてるんだろうけど、にしたってちょっと言語化を超越していて筆舌に尽くしがたい。音は空気を介して伝わっているけど、良い声って逆にその空気が磨き上げられている気がする。接したところから研磨されて洗練される感じ。同じ空間を共有するだけで細胞のひとつひとつまで揺さぶられる感じ。この感触を味わいたくて音楽を聴いてるし、この感触を味わってしまったら他の娯楽が霞むなあと個人的に思う。音楽に色々支配されちゃった側の人間はこういうのにホント弱い。
 聞きたかった曲も色々聴けた。今回先述の通り大ニワカなので初ライブだったんだけど、初ライブだという人が他に何人かいて(MCで訊かれた)、ああいう限定的で大事な場にそういう人もパージせず内包してもらえたのはとっても有り難かった。やはりFCイベントってある程度特別な場だと思うので、積み上げてきた歴史の上に我々みたいな新規がぽーんと加わることに多少の申し訳なさのようなものがあったりする。ただ本当に空気的にあったかくて、盛り上げ方やダイレクトなやり取りに長年培ってきたファンとの相互関係的なものを感じたし、その盛り上げについていけば全力で楽しめた。何より曲が良かったし、同じくらいMCが良かった。CLで動画を見ていたので御三方がどれだけ面白いかはわかってたはずなのに、畳み掛けられるトークの巧みさに笑いっぱなしで頬が攣った。個人的には16年やってても全く噛み合わない話とか、雄飛くんのお父さんが来てる話とか(来てたらしい…)、本当はMC8:曲2の割合でやりたい話とか、本編は終わるけどこの後もどうせ出てくる話とかがめちゃめちゃ良かった。真面目に真摯に面白かった。なんかその実直な人柄で笑わせてくる感覚が新しくてすごくツボってしまった。声出しOKなライブで良かったです。声出して笑えないのが一番しんどいもんな…

 セトリ的にはSORAとTejinaという名刺がわりみたいな代表曲を聴けたのも嬉しかったし、Endress Roadと Callin you、たとえ100の言葉でもを聴けたのが非常に良かった。鬼気迫るものがあったし、やはりコーラスの音圧に圧倒される。美しいのは前提としてソウルフルで魂が乗ってて、あれだけ力込めたらそりゃしんどかろうというのも納得した。全身でぶつかりすぎて聴いてる側もすごく消耗した。だから良いライブだった。もちろん体力的には元気だったけど(うそ、仕事の後に走り回ったからそれなりに疲弊してた笑)精神的にガッツリ削られるのは良いライブだという個人的な持論があるので、それを正面から浴びられて感無量だった。素晴らしい。
 あと御三方はもう上手いとかいう次元ですらないのだけど、強いて好みで語るなら生で聴いた時のTAKAさんの声がめちゃくちゃ好きだな〜〜〜〜としみじみしたので、また絶対聴きに来たい。なんか自分の中にひっかかる好きな声の傾向みたいなのがあって、それにいちばん近くて聴き入ってしまいました。満足です。

 あとはそう、MCの最後に雄飛くんの地元であることに触れた上でご家族や本人の話をしたり、亮司も涼樹もそれぞれのグループで頑張ってるけど、また6人でこうしてステージに立ちたいと明言されていたりで、歌と向き合いDEEPというグループを重んじるのと同じくらい、DEEP SQUADという存在をどれだけ大事にしているかがひしひしと感じられて、どれだけ彼らとファンが愛されているかを間接的に感じてあぁ〜ってなって天を仰いだ。そうそう、ファンサで言うならMCでのやりとりとか子どもにかける言葉とか写真の撮り方とか何をあげてもめちゃめちゃ神っててびっくりした。お見送りまでしてもらえるなんて想像もつかなかったし、直接ありがとうございましたと言えてこんな嬉しいことある? って思った。ありがとうございますでしかない。新規にも古参にも優しい。というか全てに対して優しいし愛溢れてて言葉にならない。すごい人たち。これはファンになるわ。
 これまで若手3人やGENERATIONSのファンとして見てきた姿と何の変わりもなかったし、逆に彼らへの接し方の裏付けになった部分もあって、いつも彼らに良くしてくださって本当にありがとうございます…という謎の立場からの御礼まで言いたくなった。誰だよお前は。

 ということで時間としては本当にあっという間だったんだけど、音楽そのものにもそれに付随する様々な事柄にも大変満足して帰路に着いた次第。ほんとにひとつだけ心残りがあったんだけど、それは自分の中で割り切ったことなのでいい! それも含めて最高の思い出になりました。
 別々の道を歩む中でまた交わったり、並走したり、いろんな展開があると良いなと思います。DEEPもDEEPSQUADも応援していきます! 応援できるのが楽しみですね。
 あと実感したのは、マジでどれだけ私生活が荒んでても仕事がうまくいかなくてどん底の気分でも、音楽は人の心を救うなっていう非常にシンプルな事柄でした。こんなすごいことができるのはやっぱ音楽だなと思いましたし、これからも音楽の良さに素直に向き合っていきたいと思います。ハァ〜。てかこれ書いてる今日も仕事とかマジで考えたくない。VIVA SUMMER!!!!!!聴きながら出勤します。間違えて新幹線乗りてえ。

 以上です。

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