ここから出る。


今月で20年続けた仕事を辞める。
肩叩きにあった訳でもなく、病んだわけでもない。
ただ、潮時だと強く感じるだけ。
割とすんなりと職場の人には受け入れてもらえた。辞めるという選択肢がまだ見えない彼らからは、無謀にも思えるのかもしれない。
何か決定的な辞める理由、もしくは次の仕事がすでに決まっている以外に、自分を見つめ直すために辞めるという選択は、私も自分で持て余しているくらいだ。
でも、死を思えば時間をやり過ごすように日々を費やしてはいけない。
着せられた役職という服がどうにも着心地が悪くて、自分がポンコツだと自認せざるを得ない毎日は続けるべきじゃない。
人生を自分を守ることに消費してはいけない。
これまで仕事に自分をさらして、とことん自分なりに戦ってもきたじゃないか。
それなのに、今は逃げたくてたまらなくなっている。
私は弱くなったのではない。
もはや、ここに居るべきではないのだ。
ここから出るんだ。
辞めるというより卒業だ。
状況はなんら整ってなどいないのに、心に迷いがない。
私を守るのは常に私だ。
私らしく生きられていないと心が告げている。
1日1日を納得して生きる以外の生き方などない。
自己満足以外の満足がないように。
心に従うんだ。
心は頭よりはるか先を見通している。
お前がその生き方をすることは自滅行為だと。
人生は有限だ。
そして、その終わりは予測できない。
死を思え。
目を開け。
仕事を卒業し、閉じこもりたい。
無音の中、一切の交流を絶って、自分を再生させたい。
深海に沈めば、静かだ。
そしていつか、陽の光を浴びたいときっと思うはずだ。
その時には、弾むように浮上すればいい。
向き合うべきは自分であって、仕事ではない。
手放すべきは仕事であって自分ではない。
ここから出る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?