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【つぶやき絵本書評】『サンタがきたら おこしてね』(女子パウロ会)


もうすぐクリスマスですね。

職場の近くでりっぱな松ぼっくりをたくさん拾ったので、ツリーにしてみました。
秋のめぐみの素朴なクリスマスツリーが完成!

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さて、今回は
クリスマスのおはなしをご紹介します。
『サンタがきたら おこしてね』(女子パウロ会)

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『サンタがきたら おこしてね』
やすいすえこ 作  鈴木まもる 絵
女子パウロ会 1996年


クリスマスイブの夜。
人間の子どもたちは、サンタクロースに
「だいすき」と伝えるため
眠らずに待っているようです。
さぁ、
空のむこうに、サンタクロースのそりが見えてきました…。

***

サンタクロースが
動物たちの家へプレゼントを届けてゆく、
とてもシンプルなおはなし。


それぞれの家の外観と中の様子が、
縦開きの見開きごとに繰り返されます


まずは切り株の家。
ページをめくるとうさぎの一家がおやすみ中。

土の中の家。眠っているのはもぐらの一家。

よく見ると、
家具におもちゃ、夕ご飯のあとなど、
それぞれの家族の暮らしぶりもわかります。
うん、人間とおんなじ。
クリスマスツリーもちゃんと飾ってありますよ。


サンタクロースと一緒になって、
海の中や木の上など、
いろんな家で眠るいろんな動物の様子を楽しめます。



さて、
プレゼントを渡す
サンタクロースの台詞にご注目。

こうさぎの成長を喜んだり、鳥たちの歌声に感謝したり。
人間の子どもたちには、
「サンタもきみたちがだいすきだよ」と
冒頭の言葉へのお返しを。
感謝と博愛に満ちたサンタクロースの姿が、印象的です。


その訳は、
表紙カバーの折り返し部分に書かれていました。

クリスマスはイエス様の誕生日。
サンタクロースは、
誕生日の喜びをプレゼントにして
子どもたちに届けるそうです。


そう、
この絵本のテーマには、
キリスト教のおしえにもとづく
クリスマスの由来が込められているんです。

でも、それをそのまま語るのではなく、
"イエス様の誕生日のお祝い"という
いちばん肝心な部分だけ
をやさしく伝えてくれます。
だから、
押し付けがましさや難しさが一切なくて、
幼い子どもたちでも楽しめる作品に仕上がっているんですね。



クリスマスがどんな日なのか、
サンタクロースがどんな存在なのか。

小さい人でも無理なく感じ取れる絵本です。

気負わず純粋に、
ストーリーや絵をじっくり楽しむだけでも、おのずと伝わるのではないでしょうか。

ちなみに、
登場するおうちをよーく見ると、
キリスト生誕のエピソードを表す飾りがここにも、あそこにも。
ぜひ探してみてください!


個人的には、
鳥たちの家の描写が巣だったりウロだったりして、
鳥の研究家でもある画家、
鈴木まもるさんならではのリアリティ

嬉しくなる場面も。

そうそう、
リアリティといえば、空に描かれた月の動きもお忘れなく。
ページをめくっていくと…??

こういう細やかな配慮は欠かせませんね。



クリスマス気分を盛り上げる絵本ももちろんいいけれど、
せっかくならこんな作品もいかがでしょう??

わいわい楽しいパーティの済んだ後。
本を開いて、密やかで幸せな世界観をゆったりと味わってみてください。




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