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海の思い出・2021

「じゅんみはさん、明日美術館行く?何か他に予定あるの?」

ある夜、残業を終えて22時過ぎデロデロに疲れた顔で帰宅した息子に言われた。

「ええぇー?明日?美術館!?」

「友達が予約してくれて、車で連れて行ってくれるんだけど。葉山の美術館。」

「ワクチン接種も2回終わったし、
予約制の美術館に車で行くから、人に会わないようにするよ。」と息子に言われた。

「憧れの葉山!美術館!行きます、行きます!」

「明日のお昼の12時出発ね。」

(子どもだった息子と私の大切な「海の思い出」のnoteです。よろしければこちらも読んで頂けると嬉しいです。)

ずっと行きたかった美術館と海。
コロナ禍で諦めていた。

美術鑑賞は2年前の息子の個展を観に行った以来。

息子は高校、大学と美術を勉強し、何度か個展など展示をやっていた。
今は病気の私の代わりに働いてくれている。

海は息子と一緒に行くのは何年振りなのか思い出せないくらい久しぶり。

大人になった息子と一緒に出かけることは殆どない。

(その日の朝のTweet。急いで描いたから私の首が長い。ホントの私は首短いしもっと丸いです。)

美術館を予約してくれたのは、息子の美大時代の親友Aちゃん。(仮名)
ありがたい。

こんなご褒美あって良いのだろうか??
夢なのかな?

ほっぺたをつねる。痛い。
ワクワクして嬉し過ぎて眠れない。

張り切って早起きして準備した。
薄ーくお化粧して、スポーティーなワンピース。
不織布マスクは2枚重ね。リュックのサイドポケットには、水筒と消毒アルコールスプレーをスタンバイ。

息子と二人で工藤くんの家までテクテク歩く。
(車の運転は息子の親友、工藤将也くん。「夜のうたごえ」のnoteに書いた小学生の時からの親友で、第二の息子。)

葉山までは車で1時間半くらい。
緩やかな音楽を聴きながら出発した。

もちろん車の中でもマスクをつけて。

家に親子でいても、あまり喋らない息子もとても楽しそう。
よく分からないギャグまで言っている。

工藤くんチョイスの音楽を聴きながら頭を振ってリズムをとっていたら、
助手席の息子も同じように頭を振っていて笑ってしまった。

車が山道を抜け、葉山に近付く。
建物と建物の間に海が見えた!

「海だ!ワォー!嬉しい♪」

空は雨で白っぽくて、海も薄いグレーだったけど、とても綺麗だった。

海沿いの美術館に到着した。

エントランスに続く広場にあった、こけしの彫刻に目が行く。なんだか可愛い巨大こけし。

(こけしと母ちゃん。)

美術館に着くと予約してくれた、とっても可愛いAちゃんが待っていた。

4人で展示を見始める。

他にお客様がいないので、ゆっくりそれぞれのペースで鑑賞した。

いくつかの展示室に分かれたとても広い美術館だったので一時間くらいかけて観たのだが、ふと気付くと息子も工藤くんもいない。

あーあ、置いて行かれちゃったよ。
私は作品を観るのがとても遅いので焦ったが、離れたところにAちゃんがいた。
良かった!

何人かのアーティストさん達の、彫刻や絵、インスタレーションなど、どれも素晴らしい作品だった。

私もこれからいろんな絵を描きたいな。と、すっかり影響される。

お土産コーナーでエントランスの可愛いこけしのポストカードを見つけた。(作者はイサム・ノグチさんだった。)

そして、以前EATAK MASKさんが「じゅんみはさんの絵に合うかも。」と、教えてくださった水彩色鉛筆も見つけた!

(帰宅後、水彩色鉛筆の使い方を息子に教えてもらい、試し描きしたにゃんこの絵。)

息子にどうかな?と見せるといいじゃない!お土産に買えば?とニコニコしている。

Aちゃんが「敷地内に浜辺に続く散歩道があるんですよ。」と教えてくれたので4人で向かう。

(散歩道から見た美術館。)

暫く散歩道を下る。

(東屋から見えた海。)

ホントに浜辺に繋がってるんだね!と嬉しくなる。

浜辺には誰もいない。
雨だからか船も出ていなかった。

(散歩道と海のTweet。)

雨音と波音しか聞こえない。
マスクをしていても海の香りがする。

天然パーマの私の髪が潮風でペタっと貼り付く。

波打ち際まで行ってみて小さな貝殻を拾った。
靴が砂まみれになるが楽しい。

(息子と工藤くん。)

帰りの車では工藤くんが湘南の海沿いの道を葉山から江ノ島方向に走ってくれた。

途中、由比ヶ浜海岸を通ると「夏の思い出」のnoteに書いた、小さい子どもだった息子と毎年泊まっていた宿が見えた。

息子も覚えていた。

あの頃の思い出がブワッと頭に広がる。懐かしくて涙が出そうになったが堪えた。

また息子と海に来れる日が来るなんて。

沢山歩いてお腹がペコペコ。

江ノ島で車を停め、他にお客様が誰もいないお店があったので、そこで食べることにした。

「江ノ島ラーメン」

江ノ島ラーメン???って何?

なにやら、鶏ガラスープにしらすと桜えびとアサリの入ったラーメンらしい。

はて、さて。いかがなものか?

スープを飲む。
何だこれは?鶏ガラスープと魚介の味がとても合うではないか!
縮れた麺もスープに絡んで美味しい。
近所のスーパーでは見かけないような大きめでプリッとしたしらすと桜えび、アサリがまたとても美味しい。

外食なんて久しぶり。

半分食べてもう満腹だったけど、あんまり美味しくてスープまで完食した。
それを見たAちゃんがニコニコしていた。

帰宅すると、何だか学生時代の遠足や修学旅行の後のような寂しさが込み上げてきた。

「楽しかったね。ありがとう!」

「楽しかったね。じゅんみはさんが喜んでくれて良かったよ。」

また涙が出そうになった。

兄の車でのお出掛けで、オトンが喜んでいた気持ちが分かった。
オトンとっても嬉しいのだろうな。

コロナ禍でのお出掛けは気が引けたし、悩んだけれど、人に会わないように感染症対策をしっかり考えて連れて行ってくれた息子と息子のお友達。

誘ってくれた息子、工藤くん、Aちゃん、本当にありがとう。

大人になったんだなぁ。
母ちゃんとっても嬉しかったよ。

ありがとう。

家の中をふと見ると、てんこ盛りの家事が残っていた…。

もう、いいや。
今夜は余韻に浸って明日やろうっと!と、お留守番をしていたにゃんこ三姉妹におやつをあげた。

コロナ禍でのお出掛けのお話を書くのはとても悩みました。

けれど、「満身ソーイング」で私にnoteを書くことを勧めてくれた息子が、
元気が出るようにと、感染症対策を考えて家に籠りがちな私を連れて行ってくれたので書いてみました。

この「満身ソーイング」を書いた時、
私は病気の不安で押し潰されそうになっていて

生きているのがとても辛かった。

でもあの時、病院に付き添ってくれた息子のおかげで今も私は生きている。

その息子との楽しい海の思い出です。

「海の思い出・2021」でした。

最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

・・・

早速、水彩色鉛筆を使って海の思い出の絵を描きました♪
まだ慣れてなくて練習が必要な感じですが、描いていてとても楽しかったです♪

(イメージのイラストなのでマスクを描いていませんが、実際にはマスクを着用していました。)






読んでくださりありがとうございます! 嬉しくて飛び上がります♪ 私の心の中の言葉や絵を見て何か感じてくださればいいなと願いつつ。