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【⚔🩞】「籠釣瓶」に関する孊習【史実ず萜語ず歌舞䌎】

 みんな倧奜き籠釣瓶〜
 ラストショヌの回を重ねるごずに「玠盎でめっちゃ可愛い男だな他になんお喋っおたのかも教えおよ」の気持ちが匷くなっおきお、぀いに本を読むに至りたした。

劖刀村正䌝説

 村正ずは、䌊勢囜桑名の刀工䞀掟が䜜刀し、切れ味が良いず䞉河歊士達から絶賛されおいた刀。江戞の歊士が持぀のを憚った刀。
 劖刀村正䌝説を裏付けるのが、「村正」ずいう刀が、「埳川将軍家」に灜いをもたらす呪いの刀だずいう噂。家康の父や祖父が殺された刀、家康の敵が持っおいる刀だず蚀われおいた。
 こんな噂で垯刀する者がいなくなった村正だが、䌝説は続いおいき歌舞䌎で取り䞊げられるようになる。村正が凶噚ずなる数々の恐ろしい歌舞䌎が䞊挔され、村正の名前が浞透。「村正は血を奜む」「抜けば血を芋ずにはおさたらない」「村正の刀を所持するず祟りがある」などず恐れられた。

吉原癟人斬䌝説

 䜐野次郎巊衛門が吉原の遊女八ツ橋を殺したうえに倧勢を殺傷した事件。
「掞房語園」元犄3幎次郎巊衛門は癟姓。
「近䞖江郜著聞集」宝暊7幎事件は元犄のころ。次郎巊衛門は炭問屋を営んでいる。八ツ橋に特定の人情はなく次郎巊衛門が1人のがせ䞊がり土地を売っお入りあげたが、八ツ橋に冷たくあしらわれ凶行に及ぶ。このずきの刀村正は囜光䜜であり氎もたたらぬずいう意味から「籠釣瓶」ず名付けられたずされおいる。

🌟💬 浮䞖絵になった次郎巊衛門

 䜐野次郎巊衛門を題材にした浮䞖絵、萜合芳幟の『英名二十八衆句』っおのがあるんですが それによるず、八ツ橋ず次郎巊衛門は「二䞖迄契る効背」効背男女の間であり、事件発生時の次郎巊衛門は「色欲痎情の濁江に迷ひ溺し䜐野」、籠釣瓶は「䞀刀䌊勢村正其の身に祟る殺人刀」で癟人斬りの様子は「銖の血煙氎も溜ぬ籠釣瓶癟人切」だった、ず蚀っおいたす。最埌には事件を「䞀個の矎談」ずさえ蚀っおいる。劖刀䌝説×痎情のも぀れっお圓時垂民の興味を匕く掛け合わせだったんだろうなっお思いたしたね。今でも楜しい気持ちになるもんねえ。
 ちなみにもう䞀枚浮䞖絵があっお 歌川囜芳「鏗鏘手緎鍛の名刃 䜐野治郎巊衛門」っおや぀なんですが 草曞むずすぎっお蚀っおる読解投げ出したした🖐むり🖐笑

 いずれの䜜も血の足跡がかっこよすぎお狂いたした。粘性のある液䜓を衚珟するのうたすぎんかねあず誠実な商人癟姓の着物がはだけおいるのサむコヌっお気持ちになりたした。ありがずう。遊女を奜きになっお1人でのがせ䞊がるようなずころはりブでかわいいよねなのに、狂気によっお色気を䌎うの反則です。えっちです。

高座で語られた籠釣瓶

 吉原癟人斬りずいう事件は萜語の題材にもなりたした。

人物描写
・䜐野次郎巊衛門 お倧尜。束皮疱瘡のひどい醜貌。化け物。
・宝生栄之氶 浪人埌、謡曲で现々ず効ず暮らしおいる。若く矎しい平顔。春信が描く小姓のようなしどけない寝姿。
・八ツ橋 飛ぶ鳥を萜ずす勢い。
・阿波倪倫 吉原の幇間。

あらすじ
 次郎巊衛門が八ツ橋を奜いおいるが、優れない盞貌のため八ツ橋は栄之氶に倢䞭であった。阿波倪倫は栄之氶の家を蚪ね八ツ橋からの蚀䌝を。次郎巊衛門の力添えで新しくできた八ツ橋のための間、八ツ橋楌に「䜐野のお倧尜より先に来お欲しい」ず蚀うのだ。
 その晩、八ツ橋楌に来た栄之氶は次郎巊衛門に芋぀かる。次郎巊衛門は「自分の醜貌のせいで蚱嫁に急に砎談にされたので、芋返すため䞀月でもいいから八ツ橋を偎におきたい。そのあずで必ず栄之氶にお返しする。」ず頌む。栄之氶は1ヶ月ですら手攟したくなかった。顔のいい栄之氶がその調子なので、八ツ橋もその気になり次郎巊衛門の身請けを断る。男の面目を台無しにされた次郎巊衛門は怒り狂っお劖刀籠釣瓶で癟人斬りを果たす。

🌟💬栄之氶ひたすらに「顔がいい青幎」ず描写されおいたす。その顔のいい涌しげな寝顔をするような男が攟った「化け物」ず次郎巊衛門を銬鹿にする蚀い草には怒りが湧きたしたねうるせえ、顔だけのくせに甲斐性なしが笑
 栄之氶、すらっずしお涌やかで無駄がなく、どこか品がある儚い系の青幎ず想像しおいたす。「春信の描いたような」ずの描写もありたしたので、春信の絵を芋せおもらったりしお栄之氶像が䜙蚈にシャヌプになったのですが そんなに繊现なのに浪人ずいうギャップがいいんでしょうか。今のずころただ栄之氶掟にはなりきれたせん 🀔

🌟💬「束皮疱瘡かさぶたが重なっお束の皮のようになったもの、悪性の疱瘡」ずのこず。他の人では、四谷怪談のお岩さんが小さい頃に患ったものでありたす。
 ちなみに疱瘡神っおいう疱瘡の擬神化がいお、そい぀らが疱瘡を移すから蔓延したっお考えられおおね。墚味筋悪、脚早荷匟、束皮掻姫、煎粒姫、郚々寛味の神が連名で、子䟛に疱瘡をう぀したこずを詫び、その治療法を教え、以埌は家に立ち入らないこずを誓っお、蚱しを請う疫神の詫び蚌文ずやらを曞いたんですけど、いただに文が残っおおね。

䞀 私たち人の疱瘡神は疱瘡を流行らせ、重くしおきたしたが、心埗違いでした。
 たた笹湯が枈んで日埌にたた再発させたのも䞍届きで、謝りたす。
䞀 束皮のような瘡(かさ)は止めお、黍(きび)くらいにずどめ、富士山のように山を䞊げさせたす。
䞀 党快するたで、圹に立たない嘘は蚀いたせん。
䞀 党快するたで、痒くおも掻かずに我慢し、どうしおもの堎合は兎の手で撫でたす。
これらのこずを守り、仲間ぞも蚀い聞かせ、あなたの名前玺屋六郎巊衛門を蚘した門ぞは、悪者が芗きみおも芋させたせん。
子䟛が成人した時、邪魔になるような痕(あず)ができたら、どんなお咎めも受けたす。

 おこずなんで、束皮疱瘡ずは結構悪いものずしお扱われおたすよね神のなかでも最悪の空気を感じたす😅


籠鶎瓶花街酔醒内容ず台詞

 台詞を曞きだしながら詳しい内容を芋お楜しんでいきたす。名台詞あり笑
 䜐野次郎巊衛門、いい男andかわいい男そしお幞か䞍幞か劖刀に出䌚っおしたう男
 本によっおの衚蚘揺れや衚珟の誀差はご勘匁なすっお🫎

圹名
䜐野次郎巊衛門 絹商人
治六 䜐野䞋男
兵庫屋八ツ橋 おいらん
茂山栄之氶 浪人
遊び人釣鐘の暩八

序幕 吉原倜桜芋初の堎

 江戞吉原に初めお来た次郎巊衛門、治六。絹商人の旅支床。

次郎 江戞の吉原ずいう所は、話には聞いおいたしたが、こんな立掟なずころずは今たで知らずにおりたした。
治六 わしも初めおきおみたが、あんたる事だず、たたげたした。

 悪埳な女郎屋に隙されお連れおいかれそうになっおいるずころを長兵衛に助けおもらう。あずでお瀌に行くず蚀っお長兵衛ず別れた次郎巊衛門、治六は八ツ橋の花魁道䞭に遭遇する。

治六 サァ旊那さん、出かけたしょう。モシ、旊那さん。ちっずも早く出掛けたしょう。
次郎 アゝ、宿ぞ行くのが、いやになった。

🌟💬私の愛しおいる序幕 田舎商人が江戞吉原でわくわくキラキラず目を茝かせおいる堎そんなに玠晎らしいばかりのずころじゃないのに、䜕もわかっおないりブな様子が可愛くおたたらんだ 
 ラストショヌを芋おいる時「䜐野くん、江戞の景色桜はどうだ」の気持ちが収たらない。セリフを芋おなお愉快になった。セリフを知っおみるラストショヌで可愛すぎに぀き息詰たった。「知らずにおりたした」「たたげたした」ずいう田舎商人の感想可愛すぎ〜〜〜

二幕 仲之町立花屋の堎

 店で䞋女ず若い者が次郎巊衛門の噂をしおいる。このごろ、次郎巊衛門は䞉日ず開けずに遊びに来る様子であった。

䞎助 倚く来るお客の䞭でも、田舎のお方に珍しい、切攟れのいい気前のいい䜐野の旊那。たず吉原䞭芋枡しおも、玀文この方のお客様だ。
おさき 只、玉に瑕は男ぶりがどう芋おも田舎の人ゆえ、おいらんの身になったらあんたりよくもござんすたい。
䞎助 そのかわり䞞印金があるから、それは二぀いい事はない。

 八橋の芪代わりずいう暩八か぀お八ツ橋の芪の䞭間をしおいたので芪が亡くなった今、芪颚を吹かせおいる、今日も長兵衛に金の無心。芪類の䞍幞や芪の病気にかこ぀けお金を借りおきた暩八、今日は「八ツ橋が次郎巊衛門に身請けされるから」ず金をせびっおいる。しかし、長兵衛倫婊に断られ垰される。
 ず、そこぞ絹商人仲間を連れた次郎巊衛門が来る。

次郎 二人は兵庫屋が初めおだから、いいおいらんを出しお䞋さい。それにあずから、治六も来るからいいのを出しおやっお䞋さい。

 商人仲間の二人は八ツ橋ず察面し、圚所の錊絵よりよっぜど本物の方がいいず驚く。

🌟💭䜐野くん、お金持ちなだけではなく遊び方が綺麗なずころもいいっすよね〜珟代の感芚で、顔がいいだけの男よりお金も品もある䜐野くんに軍配、ず思っおしたう。病気の偏芋も薄たり、顔なんおいくらでも倉えられる䞖の䞭ゆえ

🌟💭次郎巊衛門の仲間が八ツ橋を「芋おいるずよだれが出る」「そんな耒め方をしたら次郎巊衛門殿が怒る」ず耒めるず、次郎巊衛門は「売り物買い物なのだから、私がいない時に買いなさい」ず蚀う。八橋はこれに察しお「口の憎らしいこず」ず煙管の雁銖を次郎巊衛門の手に぀けたす。「あ぀ 」ずか蚀っおいちゃ぀いおんの、さいこヌ八橋なかなか可愛くお気の匷い女、いえい。

 倧音寺前浪宅の堎

 湯䞊がりで垰っおくる栄之氶ず栄之氶を蚪ねおきた暩八。八ツ橋の身請けは栄之氶に察する裏切りだず焚き付けたす。

暩八 近頃八ツ橋の所ぞ来る、立花屋の䜐野の倧尜、男はちっず䞍男だが、䞞印に惚れこんで、今床いよいよ身請けの盞談、モり明日かあさっおは、倚分来るかも知れたせぬが、倧方こんな事だろうず、虫が知らしお出お来たが、こっちの内ぞ沙汰なしずは、䞊の客なら知らぬ事、玠人の内から二䞖たでず蚀いかわしおいる旊那さん、あんたり銬鹿にした仕方、䞍人情な女じゃござりたせぬか。

 これを聞いた栄之氶は八ツ橋ずの瞁を切ろうず急いで支床し兵庫屋に向かう。

 江戞町兵庫屋の堎

 次郎巊衛門ず商人仲間が酒に酔いながら、遊女ず話しおいるず栄之氶が到着する。次郎巊衛門は八ツ橋に䌚いたい思いでそわそわしおいる。

🌟💬ここで語圙孊びのチャヌンス☝「廊䞋鳶劓楌などで、遊女が来るのを埅ちわびお遊客が廊䞋をうろ぀き回ったり、他の郚屋をひやかしたりなどしお歩くこず。たた、その人。転じお、甚もなく廊䞋などをうろ぀き回り仕事をしない人をいう。」
 䜐野くん、八ツ橋ちゃんに䌚いたい気持ちがはやるばっかりに廊䞋鳶です。堎の終わりでそれを立花屋女房おき぀に咎められお、「なるほど、こりゃあ粋な者は廊䞋鳶は、せぬものじゃな。」ず蚀っおいたす。絶察可愛い顔しおる、どうしよう

 立花屋、本日混雑のため座敷がなく芋䞖先にお八ツ橋ず栄之氶が話しおいる。怒っおいる栄之氶ず理由のわからない八ツ橋。

栄之 コレ八ツ橋、よくもわしを振り捚おお、身請けをされお出る気になったな。
八橋 ゚゚、それはどこから聞きたしたな。
栄之 どこからでも倧きなお䞖話だ。きっずした所から聞いお、あんたり袖ない女だず、取るものも取りあえずおれは理屈を䞊べに来たのだ。
八橋 そりゃ圢のない事はなけれど、䜕で私がそのお客ぞ身請けをされお行きたしょう。そりゃ情ないではありたせぬか。
栄之 むダ嘘じゃ嘘じゃ。しかも盞手は䜐野の倧尜、次郎巊衛門ずいう名たで突き止めおきた栄之氶。
略
八橋 知らせがないのが䜕より蚌拠、そりゃこのごろ足を近く、おいでなさる䜐野のお客、その盞談はありたすが、䜕の私が返事をしよう。行かぬのが面ばれゆえ、疑いはらしお䞋さいたし。
栄之 それ皋たできれいに蚀うなら、幞い今倜座敷にいる、䜐野の客を断っお、きれいに愛想づかしをしたら、それで疑いはらしおやろう。
八橋 そりゃこれたでひいきになったお客に、みすみす愛想づかしを。

 八ツ橋は栄之氶ず暩八に愛想尜かしを迫られ、泣き䌏す。

 次郎巊衛門ず商人仲間がわいわいず雑談しながら八ツ橋を埅っおいる。商人仲間が八ツ橋はただかずいうので、居合わせた遊女が別の座敷に出おいる八ツ橋に声をかけ連れおくる。次郎巊衛門は自分がどうしおも呌びたくお声をかけたのではない、ず匁明したす。

八橋 わたしゃのがせおいけたせんから、口を聞いおくださりたすな。
次郎 気分が悪くばお蟰どん遣手、医者を迎いにやったがよい。
お蟰 ハむゝ。
八橋 アモシ、そのお医者には及ばないが、わたしゃ気分に障る事がたった䞀぀ござんすよ。
次郎 なに、気分に障る事がある。そりゃ䜓のために悪い。䜕だか早う蚀うたがよい。
略
八橋 あなたず口をききたすのが、私の病に障りたすよ。
次郎 ゚ゝそりゃたたなんでな。
八橋 実にいやでなりたせんもの。
次郎 ゚ゝ。
八橋 ずくより茶屋衆に断りたいず、思っおいたけれどお䞖話になる、立花屋さんのお客さん、䞀日䞀日のばすうち、のっぎきならなぬ身請けの盞談、どうでも今宵返事をせねば、ならぬ堎合になりたしたが、わたしゃ身請けをされるのは、元々いやでありたすから、断り申したす。どうぞこの埌私のずころぞ遊びにきお䞋さいたすな。
次郎 ハ、、、、こりゃ䜕か癇に障ったず芋えるが、仔现があるならわしがあやたる。どうぞゆるしお䞋さい。それにたた身請けしお、䜐野ぞ行くのがいやだず蚀うなら、そりゃもう田舎ぞ行かずずも、江戞の内ぞ所垯を持たせ、楜に暮らしお眮こうから、たあ今倜は䜕も蚀わずに、気を萜ち着けお寝るがよい。

 愛想尜かしをされた次郎巊衛門は商人仲間にも「吉原に案内しお自分の党盛を芋ろず蚀ったのではなかったのか」「八ツ橋は䞍男にできすぎおいるず思っおいたが、やはり嫌われおいたか」ずなじられる。察しお遊郭偎は「八ツ橋、どうしお芋受けたで話の進んだお客にそんな態床なのか」「䜐野のお倧尜は遊び方も綺麗なお方、岡惚れしおいる遊女もいるのに目もくれずに八ツ橋に䞀途だ」ず次郎巊衛門を擁護。䞋男治六は八ツ橋に「金を返せ」ず迫るが、八ツ橋は「次郎巊衛門が勝手に来たこず」ず突き返し、次郎巊衛門は「腹を立おれば立おるだ恥」ず治六をなだめる。

次郎 おいらん、そりゃアちっずそでなかろうぜ。倜毎に倉わる枕の数、憂川竹の勀めの身では、きのうにたさるきょうの花ず、心倉わりはしたかは知らぬが、もう衚向き今倜にも、身請けの事を取り決めようず、倕も宿で寝もやらず、秋の倜長を埅ちかねお、菊芋がおらに廓の露、濡れおみたさに来おみれば、案に盞違の愛想づかし、そりゃモり田舎者の次郎巊衛門ゆえ、恚みずは思わねど、断られおも仕方ないが、なぜ初手から蚀うおくれぬ。
略さっき廊䞋であった二人連れの客人が、八ツ橋おぬしの間倫であったな。
八橋 略お察しの通りあの人は繁山栄之氶ずいう浪人で、わたしの間倫でござんす。
商人1 それじゃあ間倫ゆえ、
商人2 愛想づかしか。
次郎 オゝそうであろう。よく明かした。もうこれで䜕も申さぬ。身請けは思い止たった。

🌟💬 ここで語圙孊びのチャヌンス☝本日2回目✌「憂川竹うきかわたけ川蟺の竹が氎に浮き沈みするように、浮き沈みしお定たらない぀らい身の䞊、特に遊女の身の䞊のこずを蚀う。浮ず憂きをかけおいる」

倧切 立花屋芋䞖先の堎

 立花屋の奉公人が先日の愛想尜かしの噂をしおいる。

女房 おいらんが倧勢の前で、愛想づかしを蚀った時、たいおいの者なら腹を立お、倧隒ぎになるずころを少しもお立腹の様子もなく、お垰りになっおしたったが、随分勘匁づよいお方であったね。

 そこに籠から降りおくる次郎巊衛門、実に4ヶ月ぶりの姿が芋え、䞀同驚く。次郎巊衛門は「実は内内逢いたい」ず蚀い、八ツ橋の座敷に通される。

 二階八ツ橋殺しの堎
 次郎巊衛門の機嫌を䌺う奉公人たちだが、次郎巊衛門は腹も立おず機嫌も損ねおいない様子。

次郎 久しぶりに䞭ぞ来たら、又心が浮き浮きしお、いっそう生き返ったようじゃわえ。
略
䜕もう高が売物買物、身請けしおから断られれば、そりゃ立腹もするけれど、その前で芋れば腹も立たず、買いに来なければそれたでゆえ、䜕ずも思っおおりはしたせぬ。

 八ツ橋ず久しぶりの察面。

次郎 今もここで蚀うおいたが、わしの方は䜕ずも思わぬ、その蚌拠に迎いも来ぬに自身に今日来るくらい。どうぞこっちぞ来お䞋され。
八橋 モシ䜐野さん、来られた矩理ではありたせぬが、折角呌んで䞋さんしたを、来ぬのは华っおよくないから、お蟰どん遣手に連れられお、この座敷ぞ来たしたが、どうぞ堪忍しお䞋さんせ。
次郎 そう改たっお蚀われるず、わしが䜕ずも物が蚀えぬ。略今日からは初䌚ずなっお䜕も蚀わずに遊んでくりゃれ。

 次郎巊衛門は八ツ橋に内緒の話があるから䞀同に垭を倖しおほしいずいう。次郎巊衛門は八ツ橋にこんなに嬉しいこずはないから、酒に付き合っおほしい、ず話し始める。

次郎 人目もあらぬ差し向い。サァわしが酌をしおやろう。
八橋 オダ憚りでありんすねえ。
次郎巊衛門酌をしお酒をこがす
アゝモシ、そんなには呑たせぬが、䞻はすけおくんなたすかえ。
次郎 倧盃ながらわしが酌じゃ、䞀ぱい呑んでくれたがよい。
八橋 それでもこんなに䞀ぱいでは、
戻そうずするその手を抌さえ
次郎 この䞖の別れじゃ、呑んでくりゃれ。
八橋 ナニ、この䞖の別れずはえ。
次郎 コレ八ツ橋、よくも先頃次郎巊衛門に、おのれは恥をかかしたな。
略
八橋 サゝ、そのお立腹ら埡尀ながら、これには深いわけのある事。
略
次郎 ゚ゝ、今曎ずなり、蚀いわけきかぬ。八ツ橋、我の呜は貰った。
八橋 アレ゚。
抌し倒しお逃げようずするのを次郎巊衛門匕きずり、刀を取る。この間に逃げおいく八ツ橋を埌ろからひずたち。これにお倒れる八ツ橋に次郎巊衛門乗りかかり
次郎 おのれ八ツ橋、よくも恥蟱を䞎えたな。
隒ぎを聞き぀けた女䞭をひずたち
略
次郎 ハテ、籠釣瓶は、よく切れるなあ。

🌟💬ここの、盎前たで冷静なお倧尜様ずいう緩急が、最高だよね
 八ツ橋に察しおの怒りが蓄積・膚匵しお殺すずいうずころたでは筋が通っおお意味わかる。超わかる。鬱憀を汚い蚀葉にしお济びせたくなるのも分かる。枅流のような声色の綺麗な蚀葉遣いの商人がどすきいた声で汚い蚀葉䜿っおる男に成り倉わっおしたったず思うず倧倉に興奮する。うれし〜
 そんでね、八ツ橋を斬ったのは本人の意思だけど、癟人斬りしたのは劖刀のせい、ず私は捉えおいるよ。ご本人の怒りもごもっずもでしょうが他の人を斬るに至るのっお流石に劖力のせいだよね。䜐野くん、そこたでサむコな気質の人じゃなかったず思っおいるよ。よくしおくれおた奉公人たちたで無差別に斬り぀けるほど、狂ったたねは䜐野くんだけの力では無理だ そんなこず考え及びもしないはずだ 。劖刀が良く切れるから切っちゃっただけではなくお劖力によっお心が支配されたから癟人斬りは果たされたんだ 

 倧門口捕物の堎

 捕手が次郎巊衛門を远っおいる。

捕手四 田舎の奎だずいうこずだから、䜓は重いに違いねえが、ただ危ねえのは、その野郎がめっぜういい切物を振り回すずいう事だ。
捕手五 䜕でも銘は籠釣瓶ずいう傍ぞ寄るずすぐ切れるずいう事だ。

 立ち回り。次郎巊衛門は捕えられ、刀を剥ぎ取られる。

🌟💬【感想】
 ラストショヌ芋おしたったから、掚しが次郎巊衛門だったから、どうしおも可愛いずしか芋られなかった笑 序幕の可愛さなんずかならんかえ。めちゃくちゃずきめく。
 綺麗でかわいい男、正味私はあばたずか気にならないレベルで奜き。しかしながら、冷静だった男があそこたで怒りに狂うのは今回の八ツ橋の愛想尜かしの䞀件だけのせいではなく、劖刀の力ず今たであばた顔ゆえ排陀されおきたフラストレヌションのせいだず分かりたした。文字で芋おいるず、うっかりきれいな商人だず思いきやあの印象的な芋た目の次郎巊衛門。商人仲間になじられた時のように、心に来るタむミングで芋た目のこずを幟床ずなく蚀われおきただろうな。かわいそうに。
 なので、盎前たで冷静→怒り狂うの流れず、怒り狂いお乱れになっおいる様子に喜んでしたいたす。怒りずは膚匵する感情、ずいう、私の䜓感に合ういいお芝居だったな。「今たで可哀想だった次郎巊衛門、奜きにやれおよかったね」の気持ちで芋おいたしたが、今床芋るずきには「よくも恥蟱を䞎えたな」ず䞀緒に怒っおみたいなず思いたした。

 恥蟱、にはいろんな感情を乗せお。

この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか