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グレーな感情を操るバカリズムと秋元康

先日
旅先でたまたまラジオを聴きました

流れてきたのは秋元康氏が
パーソナリティを務める番組
(毎週日曜日13時)
「いいこと、聴いた」
日曜日の昼に大人の雑談をする
コンセプト

注)ラジオのネタバレがあります。

バカリズムの頭の中

この日のゲストはバカリズム氏
(以下、敬称略します)

私はバカリズムが好きです

ゲストが分かり
車窓から見える宍道湖の景色を
見ながら耳はラジオへ傾きます

バカリズムの頭の中を覗いて
みたいと思っていました

脚本を書くときはどういう事を
考えているのかな

頭の中を知るには

バカリズム脚本のドラマを
見るのがいい

素敵な選TAXI
架空OL日記
ブラッシュアップライフ
...

パーソナリティの秋元康は
バカリズムが活躍していく先に
向田邦子賞を受賞したことへの賛辞を述べて仕事のスタンスを訊きます

僕は臆病なんで
保険かけたくなっちゃう

バカリズムが云いました

そうなんだ
臆病なのか...

親近感が沸きます
確かにあれだけの緻密なセリフ回しを描けるのだからわかる気がします。脚本も大胆というよりきめ細やかで、オチも静かです。バカリズム自身、書いた内容が果たして大衆へ通用するのか気になり、大丈夫かなと確認したくなるそうです

大ヒットした
ブラッシュアップライフは
主人公あーちん、なっち
みーぽんがまるで実在している女子達
のように自然な会話が繰り広げられていく

バカリズムの実体験も含まれている
のだろうか、天才バカリズムも実はタイムリーパーなのではないか

そんなことを思ってしまうくらい
見入ってしまうドラマだったのです

ブラッシュアップライフへの意気込みについても語ってくれました。
主演が安藤サクラに決まって

「スベるわけにはいかない」
「(視聴率)狙っていこう」

というプレッシャーがかかったそうです。しかし、イチ視聴者はそんな負荷がかかっているとは知らずにバカリズムの新作へ期待が膨らみます。生まれ変わりは、たとえ死んでしまっても人生はやり直せるという前向きなイメージですが、その前に一回死なないといけないわけで...その重いテーマを軽やかに描く試行錯誤の作業は大変だろうなと(勝手に)推察しています。バカリズムが自身の能力に溺れず周囲の声に耳を傾ける「自称・臆病者」だからこそ素晴らしい脚本が生まれ、主演/安藤サクラがバカリズムの意図通り(それ以上)に「あーちん」でいてくれたことに視聴者は感嘆します。自然な会話劇が楽しめるブラッシュアップライフは設定がフィクション、会話はノンフィクションドラマとして長く愛される作品でしょう。

バカリズムと秋元康が扱うグレーな感情

2人は仕事へのスタンスについて語っていました。バカリズムは自身がスベっちゃダメなタイプだと言います。スベったら周囲が笑わなくちゃ!と焦り気を遣わせてしまうタイプの芸人だと認識していて、千原ジュニアや麒麟の川島さんも同じ仲間だと打ち明けていました。いじられキャラではないという事かな。現在、キャリアを重ねたバカリズムはさらに「失敗できない」ステージへ上がりました。
 一方、秋元康は1,000本ノックを打つように次々と作品を仕上げていくタイプのようです。放送作家として言葉の候補はいくつか用意していくスタイルで、たとえばAKBのヘビーローテーションというワードがハマらなかった場合、他の候補は〇〇という代案をいくつか準備します。どれが採用されるかは相手次第であり、クライアントのリクエストに沿うようです。

個人的に、バカリズムと秋元康は人間のグレーな感情を巧みに描ける職人だと思っています。このグレーについてはあくまで私見です。白黒つけられない優柔不断さ、思わしくない結果を彷彿させる意味ではありません。何となくの気まずさ、淡い恥ずかしさ、やるせなさはグレーな感情。頑張っても答えが出ないときだってある、それなら(答えは)出さなくてもいいじゃないかという経験は人生を振り返ってみて色々あります

何のこっちゃ訳ワカラン...私の説明自体にモヤがかって分かりにくいですね...だからこそ、言葉では凡そ説明が難しいであろう心の襞(ひだ)をドラマの中や歌詞に表現できるなんてプロは凄いなぁと感心しています

たとえば
バカリズムが描くグレーな世界

ドラマ
ブラッシュアップライフで
主人公あーちんは何度も人生をやり直します。4度目の人生で医大生になり、人類を救うであろう発見もして医学界に貢献しました。しかし、5度目の人生で気づきます。自分が役に立っていたと思っていたら寧ろ医学界の足を引っ張っていた可能性すらあると知り心の中でボヤきます

私がいない方が発見が早かった..

あーちんが恵まれているのは、その気まずさを吐き出して共有できる友達がいることです。友人は慰めるだけでなく一緒に恥ずかしがってくれる、そこがとても羨ましい関係でした。

秋元康が描くグレーの世界

正直に言いますと
バカリズムほど作品を追っていません。小学生の時に流行った夕焼けにゃんにゃんは周囲の男子がハマっているのを横目で観ていた程度。現場をガチャガチャにするとんねるずが理解できませんでした。AKBや乃木坂など大人数のアイドルに対しても何処か冷めた感情で見ていましたが、唯一欅坂は例外でした。平手友梨奈を中心としたダンスパフォーマンスは統率が取れていて惹かれます。サイレント・マジョリティや不協和音など世間に対する静かな不満が歌詞や振り付けを通してわかりやすく伝わりました。総選挙とかいうランク付けではなく、舞台を観る人がショーを楽しむことに演出が特化していて素敵なのです。
私が特に好きな欅坂の歌は
「風に吹かれても」

以下に少し歌詞を引用します

風に吹かれても
何も始まらない
ただどこか運ばれるだけ
こんな関係も時にはいいんじゃない
愛だって移ろうものでしょ?

欅坂46   風に吹かれても

始まりそうで始まらない関係
名前のつかない淡い間柄
風というチャンスが巡っても
上手く活用する勇気が出ない

そうこうしているうちに
チャンスは他の人の元へ
運ばれていく

グレーな感情が儚く渦巻いています

二人が語った仕事論
継続すること
自分に飽きてきても
やり続ける大切さ

2人のプロフェッショナルから
学ぶ静かな時間

ほんとうに
いいこと、聴いた!!


Junko Summer

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