見出し画像

仙台へ帰ろう

仙台へ帰ろう

これは私の幼少期の口癖

いつも母に

ねぇママ 仙台へ帰ろう
外出先でそう伝えていました

母は優しく
少し困ったような笑顔で言いました

Junちゃん ここも仙台よ

違うよママ
ここは仙台じゃない

そう
私は 自宅の名前が"仙台"だと
思い込んでいる子供でした

宮城県仙台市
ここが私の世界の全て
一生ここにいる
当時はそう思っていました

ごく普通の団地住まい
それでも 私にとって
居心地が最高の自宅 
それが ''仙台"

祖父母の家へ行くとき
東京の親戚に会いに行くとき
仙台を離れるのはその日だけ
用事が済んだら 仙台へ帰ろう

母がお友達と外で
長話しをしているとき
それはそれは楽しそうに
嬉しそうに
私のことは忘れたみたいに
幸せそうでした

早く終わらないかな

私は問いかけました

仙台へ帰りたい

そのセリフが
母達の話しの輪をさらに広げて
笑わせてしまうことを知らずに

仙台へ帰ることを願っていました

Junkoちゃん
仙台へ帰ろう
ホントね おばちゃんも仙台
帰らなきゃね

母の友人は
"面白いこと言うじゃない"
みたいな顔をするのです

笑わないで
仙台に帰りたい
私の本心でした

時が流れ
父が転勤になりました
行き先は東京
さすがにその頃には
"仙台"が東北地方の都市名である
ことを認識していましたし
仙台へ帰ろうと親にせがむことも
なくなりました

あの頃の口癖
"仙台帰ろう"は笑っちゃうだろ

私の面白エピソードとして
家族の思い出アルバムの
1ページに記録されました

今こうして振り返ると
"仙台"という響きが
私の中のノスタルジーを
呼びおこします

青葉城恋唄
七夕祭り
勾当台公園
定禅寺通り
藤崎スーパーマーケット

小さい頃を過ごした仙台
真新しい東北新幹線

たまに"仙台"と聞くと
耳を傾けてしまう

知人の話し
仙台に転勤になったからね
はじめて行ったんだけど
都会でビックリした
むしろ拠点にしたくなるくらい
見どころが多かったの

なんだか嬉しい
私が褒められたわけじゃないのに
認められたような気分

仙台はいいところ
さとう宗幸はいい人
松島の牡蠣は身が締まっている

ずんだ餅は普通
Junko Summer
個人の感想

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?