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おひなさま

父は入院しているが、毎年ひな祭りの日は実家に
帰ることになっているので、今日も実家へ。
祖父母が、いちばん上の姉が生まれたときに
贈ってくれた、七段飾りのひな人形。
もう祖父母が亡くなって、10年以上になるけど、
毎年この時期には実家にお雛様を飾っている。
毎年、同じような思いで話をしながら
2月の頭に皆でお雛様を飾り、3月3日に片づける、
すでに56歳の雛飾り。
もとは十分にとったと思うけど、
いまだに現役。

昭和の時代には、3月3日を過ぎて
お雛様を飾りっぱなしにしていると
いきおくれる、という伝承があったと思う。
母は真面目な人間なので、当日か翌日に
すぐに片づけていた。
そんな母の努力のかいがあったのか、
全員嫁にはいけたが
私は戻ってきてしまった・・・ごめんよ。

うちの子どもも、姉と妹の子どもも、
それぞれに大きくなり、みんな仕事とか部活とかで
ついてこずで、今年は母、姉、私、妹4人のみ。
みんな大きくなったなあと子どもたちの
成長を喜びつつ、久しぶりの母娘のみの時間。
近所のカフェでランチを食べ、お雛様の片づけをし、
父の今後はじめいろいろと話をしていたら
あっという間に夕方。

子どもの頃から、お雛様の日は、
さくらデンブののったちらし寿司に、
はまぐりのお吸い物、
そして不二家のぺこちゃんぽこちゃんの
いちごのお雛様ケーキが定番だった。
でも近くの不二家はつぶれてしまったから、
いちごケーキは思い出の味になってしまった。
すごくおいしかった記憶の中の味だが、
今食べたらどうなのかな。

父が退院したら、家族そろって写真館で
写真を撮りたい、と提案した。
私も50歳を過ぎたら、毎年遺影にできる
写真を撮っておくべき、と思ってはいるけど、
ふだんから写真を撮ることもなく、
このままでは、国家試験用に撮影した
スピード写真が遺影になってしまう。
(おそろしい人相のやつ)

遺影のためだけじゃなく、
家族での写真って年に一回くらいは
撮るっていいなあとずっと思ってる。
アメリカに住んでいる親せきが、
毎年クリスマス時期に送ってくれる
家族全員がそろって撮影した写真の使われている
カードみたいな。
ああいうのを撮ろうという話をした。

まだ当分元気で生きてるとは思うけど
あのときはこうやったね、
って同じ話を何回もして、
そのたびにまた同じ話して、って思いながらも
あたたかい気持ちになる、
っていいことやと思うしね。

そういえば、ふてほど、ね、
やっぱ昭和人間にはたまらんですよね。
「17歳に戻りたくて昔話をする、
 でも17歳には戻れないから昔話をする」
みたいなのあったじゃない?
でも、私、高校時代は暗黒時代やったので
ぜんぜん17歳には戻りたくない笑
とはいえ、昔話って自分の心の
あったかい場所に戻れるっていう意味で
やっぱりしてしまうよね。
それが、おじさんおばさんやねん、って
いうかもしれんけれど、
おじさんおばさんで何が悪いねん、って
思うよね?
若さにはかなわないこともたくさんあるけど、
たくさんのことを乗り越えてきた今を
楽しみつつ、過去を振り返るのは
なにも悪いことじゃない。
それを共有できる人との間で
楽しめばいいものを、
分からない人にも押し付けようとするから
うざがられるだけで。

こんなふうに思い出を共有できる存在が
いてくれることは、ありがたいこと。
うちの子どもたちとは、昨日すでに手巻き寿司で
前夜祭したので、今夜はあったかいお鍋を
囲んで、またひとつ思い出を作ろう。









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