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いまどきの若者ファッション考察。ジェンダーフルやマインドフルなファッションを生まれながらに身につけている気がする。モード学園講師暦30年から見えてくること。

モード学園 登壇暦30年


あの、ド派手なCMで有名な(今はそうでもないが)モード学園で はじめて教壇に立ったのは27歳。
その後、出産子育てなどで数年間ブランクがあったものの、58歳になった今もスタイリスト学科の講師を続けている。メイクアップアーティストクラスの兼任をしたり、特別講師として学部を越えて登壇したことなども多々あって、自分の古巣でもあるけれど常に時代の「今」を感じさせてもらっている「場」だ。

初めて教えた子たちとは、年齢もちかくて毎日が文化祭のようだった。

私が撮ったかわいい最初の教え子ちゃんたち。今はもう50代。笑 今も交流がある生徒が10人は下らないかなぁ。各界で活躍する様子は何よりの宝物だけど生きていてくれるだけでハッピー。
コロナかでの授業。急に現代へ。その途中の生徒さんたちの記録を全部載せたら本になるわ。


私にとって、生徒が仲間のような時期もあれば、我が子がちょうど彼らと同じ年くらいの時期もあったし、今じゃ孫とまでは行かずとも、もう可愛くて仕方がない対象。

おばぁちゃんがギャルソン販売員??

2023年 昨日の様子。

なんと私の隣のフリルブラウス男子のおばぁちゃんは、コムデギャルソンでずっと販売員をしていた方ならしい。思わず名前を聞いたわ~~!!
現在70代、10年位前までギャルソンにいたのだと。

いやはやもう、それだけで盛り上がらないはずはなし。
根掘り葉掘り聞いて、終いには彼女に会いたいと希望。笑
きっと生徒君は「めんどくせぇ先生だなー」と思っただろう。

でも私には、言わず語らずとも、なぜ今君がモード学園にいて
その服を着ているのか?がそれだけでわかってしまうんだよ、おばぁちゃんの影響を知らない間に受けてもいるからね。

継続してきたからこそわかる若者動向。

人間なんでもそうだが10年、20年、30年と継続してきたからこそわかることがある。ファッションの場合は、そこに時代のリアルクローズがそのままあり、服装だけではなくその時代の若者の空気感、価値観、動向、のようなものをあからさまに感じることが出来る。

そして 年齢ではなく自分が古くなってしまえば 彼らに何も教えられることなどないのだという現実を突きつけられるのではないか。
そういうことに気づく、感じること自体が、まぁ一番重要なファッションの肝なので。

でね、現代は「やらなきゃいけないだろうからやっている」大人達の SDGS論や多様性についての「堅さ」や 「わかりづらさ」なんかすんなり越えて、体で時代の変化を受け入れ、いや 受け入れるもなんか違うな
当たり前のように、柔軟で優しいマインドを持っていると思う。
なんというか 大人たちは語るだけで実践どうなんや?な イケてなさがしんどい、わざとらしいのだが。

ファッションの学校だから自己表現をすること自体は、30年前から変わっていないが「表現の中の境界線がよい意味で曖昧」になっている。 自分は男だ女だお国はどこだ、などの境界線を引いていない。
あえて強調する部分は、線を引かない自分の中にある価値観だけで勝負してくる気がする。

そして勝負という感覚もあまりない。
勝ち負けではなく、自分の価値観とのリンクを感じる人にアンテナがヒットし、その逆を認める力も肝要だ。
自分にはない個性感性を素直に賞賛できる優しさは現代の若者の特徴だろう。

今日着てきたものをプレゼン。思い入れのある服装で、という課題。

昨日の授業では パーソナルスタイリストの概念を講義したあとは、クラス全員が自分が今日着てきたもの、についてのプレゼンテーション&将来何になりたいの?という問いに答える授業だった。

例えばさっきの彼。
全身がピンクで髪の毛もピンク。筆箱やノートカバンに至るまでオールピンクで、そこに思い入れがあるという。

マインドフルな笑顔 ジェンダーフリーな風貌。じゃなぜピンクなの?など興味は尽きないわ。

マリリンマンソンのTシャツをオリジナルに自分で裂いて着てきた彼も
非常にジェンダーフリーな空気感です。

なぜマンソンか?のプレゼンと、彼の人生、家族のことなど話してくれて正直うなった。あぁなんて、マインドフルなんだろうと。
自分がそこにある、なぜそれを着る、が心の叫びのように聞こえてくる。

元はこのTシャツっぽいな ネットで発見。彼の思うがままにTシャツを切り裂いて着ている。
マリリンマンソンご本人、メイクの肝もよく捉えてますね、生徒君。


タトゥーも、なぜタトゥーを感じられるプレゼンだった

なぜそれを着るのか?には、それぞれの「素」があってこそ、スタイルだ。

彼の生きてきた事情をここで話すことはないが、
心にクルものがあった。そして彼の将来何になるの?のアンサーも、超格好良い。はい、応援します!!!

まぁ マリリンマンソンをとことん調べていくと、、何もわからないと思う人でも想像することができるのかもなぁ

マリリンマンソン知るなら、まずはこの人からってことになるわけで。


自分が在るか
そのファッションが好きか


全員のプレゼンが終わったあと、
◆自分があるな、と感じた人
◆単純にこのファッション好き!

を感じた2人に手を上げる、という投票をしてみることにした。

多くの票を集めた ヒョウ柄ベストの彼女と、シンプル引き算の何気ない装いだが
ダンスをやってきたこと、小学校高学年から足のサイズが変わらず、ダンスの際に履き続けてきたという愛用の靴を履いた彼女。


最終的に多くの人気を集めたベスト5.

画像ではよく見えないけど、それぞれの味、プレゼンとともにじわーっと感じた。
左から2人めの彼、ふつーなようで、パンツの2枚重ね。レイヤー君です。

細かいところ全部説明したいが、、いいでしょ、このサンダル、このネイル
パンツの丈感。ゴールドのパンツ。

特にメイクアップとヘアの色の入れ方のバランスがうまい。



選考には、愛を感じた。

最初はこの画像のように、一人を選び選んだ理由を伝え合う。↓
自分のプレゼンより、人を選んだその理由を語るほうが
全員 愛があった。
なぜ 君なのか。インスタグラムなど、自己表現の場も当たり前にある時代に生まれ、自分を出すことにはある意味慣れている。
しかし人を選びその理由を本人へプレゼンする機会など、ほぼないので(まぁ よければフォローするくらいな時代)やってみたら新鮮だったはずだ。

選ぶ理由に「今日寝坊してしまった」ことをプレゼンしたクラスメートを選んだピンク君。
正直な自分を感じるからと。自分が在る、の捕らえ方も様々だ。面白い。

ありがとう 選ばれると思っていなかった

選ばれた彼らに「感想を」と聞くと ありがとう 嬉しかった、と全員が。

そして、マンソン君も お隣のレイヤー君も(勝手にあだ名)
自分が選ばれるとは思っていなかったと。
マンソン君は、主張が激しいから、苦手な人が多いんじゃないかと思っていたと。

普段から服装以外も人は見ているんだよ

実はマンソン君、風貌からは想像があまりつかないような
超・礼儀正しい子であった。笑

4時間の講義後に、私は伊勢丹で顧客の服を選んでいたのだが、
偶然伊勢丹3階で再会。その際もちゃんと目をそらさずご挨拶するマンソン君。
当たり前のようだが、そういうときの空気感でお育ちが垣間見れたりもするもんです。

人を思いやる優しい人間

彼に手を挙げた(票を入れた)生徒さんが 選んだ理由にこういっていた。

一見怖そうで、あぁいう感じだけど、人を思いやる優しい人だから、と。

あぁなんかいいなぁ
きっとダントツ1位だったテンガロンハットの彼女とか、クラスメートのことを一番見ている子なんじゃないかなと思う。
要するにお世話を何気にしているはずなんだよね。
そういう感情を人選のとき、無視しないという現象が必ず起きる。
それがいいとか悪いとかではない。

こういうことも 持ち味なのだといいたいわけ。
でもこういうことは時代をこえて変わらんなと。

私が30年も登壇し続ける理由には色々あるけれど、こうした瞬間には
ありがとうがいいたくなるよ。

他にも・・・


お父さんが生まれて初めて買ったネクタイを着けて来たという子や
お父さんのチャンピオンT(スポーツブランド)を着てきた子も。
その気持ちが なんだか ほっこり。

それにしても お父さんの、という子が多かったのも時代か。サイズ感とか 今はオーバーサイズだからね。


こんな感じで授業やってます。

西畑もアシスタントで講義に来てくれてます。先日ゴルチェに行った際のボーダーを今日は違う感じで、マリンモードで着てみた。先生達はなぜ今日その装いなの??と問うてくる生徒ちゃんたちが可愛い。
そうこれね。この時との違いを楽しむことで、生徒にTPPOSMをレクチャーするという試み。

生徒がこのスタイリングを選んでくれたリアル。

自分が在る&好きなファッションを指名していくリレーで、
「私は先生がお洒落だと思う」と伝えてくれた生徒さんがいた。

絶対忖度じゃなく、ナチュラルに伝えてくれているのがわかって嬉しかった。というかホッとするよね。笑

そう、教壇に立っていれば正しいなんて事はない。

特にファッションはそういうものだ。
だから私は30年間立ち続けるんだろう。

「今日の先生 君らから見てOK?ちゃんとイケてるかな?」

この問いこそが、そしてそのときに感じる若者達の素直な反応こそが
古い人か
まだまだ受け入れられるか

そんなことを感じれる場が、尊いのです。
そして教育は、その先生と呼ばれる人達が、一番問われる場だからね。
生徒が伸びなきゃ、問題は先生にある。

みんな、ありがとうね。
沢山 学ばせてもらって、物凄くいい時間でした。
また、いくね。

お呼びであり続けること。

そしてなんと、講師室にあがるエレベーターな内で20代で担任を持っていたころのモードの同僚とバッタリ再会。きゃー びっくり 秋山先生!!!

お互い年を重ねましたね。
でもこうして再会できること、お互いいつまでも「お呼びな人」で
在り続けましょう。

それが一番。

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